コラム・大洪水

大洪水が起きた。信じられないことだが、理屈は通っている。

夏の暑い日のことである。太平洋の真ん中に隕石が墜ちたのだ。しかもただの隕石じゃない。陸が一つ増えたような巨大な塊の、その上部はほとんどが氷であった。

さて、大質量の衝突によって高波・津波が発生し、水温が上昇した。すると南極の氷も、北極の氷も、隕石の氷も一斉に解けて、今度は海面が上昇。先の津波を免れた都市や国も全て飲み込み、挙句、アルプス山脈をすっぽり飲み込んだところでようやっと収まった。

創世記のような大洪水だったわけだが、みんな終わったころには、あいにく鳩は一羽も生き残っておらず、代わりにペンギンが空を飛びまわっていたのである。

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