第143話 時をわずかにさかのぼり
それは、メイたちがレンの家に集まる数日前。
「皆さま、『ヤマト天地争乱』お疲れさまでした」
地軍城の最上階。
銀髪のミステリアスな少女、チュートリアルAI【HMX-18b・ベータ】は丁寧に頭を下げる。
「ベータさん、おひさしぶりですっ」
「お久しぶりでございます。将軍として地軍を勝利に導いた手腕、お見事でした」
「みんなのおかげですっ」
「聖城レン・ナイトメアさん、ツバメさんも、素晴らしい活躍をされましたね」
「フ、フルネームはやめて……」
「皆さまには、ここ地軍城に戦果報酬を用意させていただきました」
ベータが手を上げると、たくさんの宝箱がドコドコと音を立てて落ちてきた。
「わあ……」
メイはさっそく目を輝かせる。
「お好きなものを、お選びください」
「今回も、各自好きなものを選んじゃいましょうか」
ここでもレンは、今後の使い方なんかに囚われず『好きなもの』を選ぼうと提案。
さっそく三人、積まれた宝箱を開いていく。
「わたしはこれにしますっ」
しばらくして、メイが一本の剣を掲げた。
選んだのは、白木の刀身に緑の装飾が生えるショートソード。
【蒼樹の白剣】:生きた樹木を刀身とする剣。植物系スキルがあれば武器にも便利な道具にもなる。攻撃力43。
「私はこれがいいわ」
レンは刀身のない、銀細工のような見た目の剣を選んだ。
【魔剣の御柄】:スキル【魔力剣】を強化し、属性魔法でも使えるようになる剣。『開放』で魔法を放出し、別の魔法に刀身部分を変えることも可能。
「では、これにします」
【天駆のブーツ】:壁歩きや壁走りなどのスキルを、そのまま天井でも可能にする靴。防御18 敏捷20。
ツバメは、機動力をさらに向上させる装備品を選択。
するとベータが、三つの巻物を取り出した。
「続いてスキルブックでございます」
「スキルブックまで付いてくるの? 気前いいじゃない」
「どんなスキルだろう……っ」
メイはワクワクしながら巻物を開く。
【帰巣本能】:フィールド上どこでも、東西南北はもちろん目的地などを視覚的に把握することができる。
「す、すごく……野生っぽい」
「変わったスキルね。私のはどうかしら」
【設置魔法】:他者の通過、または任意のタイミングで魔法を放出する魔法陣を設置することができる。
「地面なんかに魔法を設置できるのね。いいじゃない、色々使えそうだわ。ツバメは?」
【罠解除】:各所に設置された罠を解除できる。
「読んで字のごとくといったところでしょうか」
「なんか、少し癖のあるものが多いわね」
今回は戦闘用とフィールド使用の両方に効果があるものを手に入れた感じだ。
「どこかで活きそうな気もしますが……」
「ちょっと待って」
ツバメの言葉に、レンが動きを止める。
「癖のある装備品と新スキル。次の行き先にうってつけの場所があるんだけど……」
「どこどこっ?」
さっそくメイが目をキラキラ、尻尾をブンブンさせながら顔を寄せてくる。
「目的地点の方向が分かるスキルと、魔力剣の進化、設置魔法。そして天井を走る靴に罠解除。これが活きるところ」
「……レンさん、もしかして」
「ええ。グランダリア大洞窟…………通称ダンジョンよ」
「ダンジョンっ!!」
冒険の気配に、メイはいよいよワクワクし始める。
「帰るに帰れない『住人』と呼ばれるプレイヤーを生み続けてる、『星屑』の難所の一つね」
「確かに、それなら今回のスキルがそのまま活きそうです」
ツバメも思わず大きくうなずいた。
「ちなみに、皆レベルはどうだった?」
【名前:メイ】
【クラス:野生児】
Lv:217
HP:16438/16438
MP:372/372
腕力:801(+58)
耐久:555(+50)
敏捷:440(+30)
技量:404(+20)
知力:10
幸運:10
武器:【蒼樹の白剣】43(【大蜥蜴の剣】)
防具:【白花の鎧】耐久30 腕力15
:【白花のブーツ】耐久20 敏捷10
装飾:【猫耳・尻尾】敏捷20 技量20(【鹿角・尻尾】)(【狐耳・尻尾】)
:【召喚の指輪Ⅱ】
スキル:【ソードバッシュ】【投石】【装備変更】【キャットパンチ】
:【ラビットジャンプ】【バンビステップ】【モンキークライム】【四足歩行】【裸足の女神】【野生回帰】
:(【アクロバット】)(【突撃】)(【狐火】)(【幻影】)(【トカゲの尻尾切り】)
:【アメンボステップ】【ドルフィンスイム】
:【遠視】【聴覚向上】【嗅覚向上】【夜目】【雄たけび】
:【自然の友達】【密林の巫女】【蓄食】【帰巣本能】
:【クマ召喚】【クジラ召喚】
【名前:聖城レン・ナイトメア】
【クラス:魔導師】
Lv:71
HP:2268/2268
MP:775/775
腕力:10(+8)
耐久:10(+66)
敏捷:111(+12)
技量:103(+15)
知力:496(+30)
幸運:10(+1)
武器:【銀閃の杖】攻撃8 知力15(【ワンド・オブ・ダークシャーマン】)(【魔剣の御柄】)
防具:【夜空の冠】防御5 知力10
:【夜空の黒衣】防御30 知力5
:【夜空のブーツ】防御15 敏捷12
装飾:【銀の腕】防御15 技量15
:【真っ赤なリボン】防御1 幸運1
スキル:【スタッフストライク】【吸魔】【浮遊】
:【ファイアボルト】【フリーズボルト】【ファイアウォール】【ブリザード】
:【フレアアロー】【フレアストライク】【フリーズストライク】【フレアバースト】【フリーズブラスト】
:【魔眼開放】【連続魔法Ⅲ】【連続魔法Ⅳ】【魔力剣】(【魔力剣・改】)【魔砲術】【コンセントレイトⅠ】【誘導弾】【設置魔法】
:【クイックキャストⅠ】【クールタイム減少Ⅰ】【MP向上】
【名前:ツバメ】
【クラス:アサシン】
Lv:59
HP:3248/3248
MP:114/114
腕力:114(+49)(+45)
耐久:10(+48)
敏捷:393(+38)
技量:73(+10)
知力:10
幸運:10
武器:【グランブルー】攻撃50
:【ダインシュテル】攻撃45
防具:【ミスリルベスト】防御15 敏捷5
:【紺碧のローブ】防御16 敏捷18
:【天駆のブーツ】防御18 敏捷20
装飾:【シルクグローブ】防御5 技量10(強奪のグローブ)
スキル:【加速】【跳躍】【隠密】(【スティール】)【壁走り】【残像】【罠解除】
:【スラッシュ】【投擲】【電光石火】【アサシンピアス】【紫電】
:【ヴェノム・エンチャント】【四連剣舞】
:【二刀流】【ダブルアタック】
:【アクアエッジ】
「メ、メイのレベルが10も上がってる……? あのイベント、経験値じゃなくてレベルアップが勝利側の将軍が受ける報酬なのね……」
勝者側には、『勝利軍経験値』が加算されるこのイベント。
ただ『将軍』は経験値ではなく、『レベルアップ』という形式のようだ。
「メイさんと一緒に行くダンジョン。これはいよいよ楽しくなりそうですね」
「ふふ、それは間違いないわね」
難攻不落のダンジョンだが、メイが目を輝かせている時ほど面白くなる。
「でも、一応あと二つほど取っておきたいスキルがあるの。それを手に入れてから向かいましょう」
「りょーかいですっ!」
「はいっ!」
未だ『ヤマト天地争乱』の偉業にわく『星屑』の住人たち。
そんな中三人は、早くも新たな冒険に向けて進み出すのだった。
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