第13話 二人で色々確認します
【名前:聖城レン・ナイトメア】
【クラス:魔導師】
Lv:54
HP:1890/1890
MP:462/462
腕力:10(+8)
耐久:10(+66)
敏捷:111(+12)
技量:103(+15)
知力:346(+35)
幸運:10(+1)
武器:【銀閃の杖】攻撃8 知力15
防具:【夜空の冠】防御5 知力10
:【夜空の黒衣】防御30 知力10
:【夜空のブーツ】防御15 敏捷12
装飾:【銀の腕】防御15 技量15
:【真っ赤なリボン】防御1 幸運1
スキル:【スタッフストライク】【吸魔】【MP向上】
:【ファイアボルト】【フリーズボルト】【ファイアウォール】【ブリザード】
:【フレアアロー】【フレアストライク】【フレアバースト】
:【魔眼開放】【連続魔法Ⅲ】【魔力剣】
:【クイックキャストⅠ】【クールタイム減少Ⅰ】
「すごい……」
港町に戻って来た二人。
レンのステータスを、メイは口を開けたまま見つめていた。
各数値は、レベルが上がるごとに入る『10』のポイントを割り振っていったもの。
荒れ狂ってるメイのステータスに比べて、意図があって作られているのがよく分かる。
中でも特徴的なのは、以下の三つだろう。
【魔眼開放】:一時的に知力値を15%向上(装備品による補正含む)させる。
【連続魔法Ⅲ】:初級魔法を三連続で放つことができる。
【魔力剣】:魔力の剣を生み出す。攻撃力は知力値(装備品による補正含む)に依存する。
「すごさってことなら、メイの方が断然すごいんだけどね。私はソロ用に少し敏捷にも振っちゃってるから半端と言えば半端だし」
『星屑』は装備品やスキルによる補正が大きいため、そこで調整していくのが基本となる。
どちらの手持ちも少ないメイの現状は、特大過ぎるダイヤの原石と言ったところだろう。
「レンちゃんは装備もかっこいいよね」
「うっ」
途端にレンが、顔をこわばらせた。
「……これがカッコいいと感じるんだったら、素質あるから気をつけないといけないわね。『星屑』は魔法も撃てるし装備もそろっちゃうから、どっぷり中二病に引き込まれちゃうわよ」
「そうなの?」
「7年間ジャングルにこもって、出てきてすぐに中二病じゃ目も当てられないでしょう? だから、私の目が黒いうちはメイに同じ轍は踏ませない」
と、いざという時に目を金色にするレンが言う。
「本当はこの黒ずくめ装備も変えたいところなんだけどね……それなりにレアでそろえてるから変えにくいのよ」
黒ずくめの自分を見下ろして、ため息を吐くレン。
そんな二人が、酒場の前を通りかかった時だった。
「あ、見てレンちゃん! わたしのこと『ジャングルで育った野生児』って書いてる雑誌だよ!」
メイは店に置かれている雑誌を、再び手に取った。
「うぐぐ、やっぱり野生児は卒業したい……っ」
たとえクラスが【野生児】でも、やはり年頃の女子であるメイとしては恥ずかしい。
「へえ、よく撮れてるじゃない。まだ耳と尻尾が付いてないから、この時の方が野性味は薄く感じるわね」
「そうなんだよね……」
それは、今の方がより野生に近づいているという事だ。
メイの耳がうなだれる。
「でもその耳と尻尾、よく似合ってるし可愛いと思うわよ」
「そうかな、えへへへへ」
ぶんぶんと尻尾が揺れ出す。
実はメイも、耳と尻尾に関しては結構お気入りなのだった。
「実際その耳と尻尾、優秀なのよね。【アクロバット】は回避・翻弄に使えるし、そのうえ敏捷と技量が+20でしょう。アクセサリー枠でこの能力はかなりのものよ」
「そうなんだね」
「耳と尻尾を残して『野生からの脱却』を目指すなら、他の装備の見た目が重要になってきそう」
「うん」
「近いうちに大きなイベントもあるし、うまいことその辺をまとめられると良い結果が出せそうだけど」
「イベントがあるの!? 出たい出たい! レンちゃんと一緒に出られるんでしょう?」
「私はそうできたらいいなと思ってるけど。次は自然の多い場所が開催地になりそうだし、面白くなりそうなのよね」
「やったー! 決まりだね!」
メイはさっそく期待に胸をふくらませる。
「だからいま優先すべきは、まだまだ伸びしろの大きいメイの装備とスキル。報酬の【雄たけび】も使えるようにしておいた方がいいわ」
「【雄たけび】かぁ……」
「そのスキルを覚えているから始まるクエストもあるから、損はしないわよ」
「……う、うん」
メイはスキルブックの使い方を教わって、【雄たけび】をスキルに追加した。
「せっかくだし、ちょっと使ってみてよ」
「うん。いくよ…………がおおおお!」
「ッ!?」
メイが叫ぶと、巻き起こった衝撃が道端に積んであった木箱の山を崩し、道行くNPCたちを転倒させた。
「……なによこれ」
効果は範囲、しかも転倒が取れるほど。
「思ってた威力と全然違うんだけど。付近一帯ノックバックどころか転倒って……メイのステータス補正って本当にとんでもないわね……」
「レンちゃん……もう一回いい?」
しかしメイは納得いっていないのか、もう一度。
「がおおおお! もう一回。がおおおお! がおおおお! がおおおお!」
「どうしたの?」
深刻な顔のメイに、問いかける。
「レンちゃん! これ……絶対に『がおおおお!』って言うよ!」
そう言ってメイは頭を抱えた。
「がおーは野生児っぽいよぉ」
「あ、ああ、そういうこと。でもまあ『ボグシャアアアア!』みたいなリアル路線じゃなくてよかったじゃない」
「そうかなぁ……」
「それに叫び声自体は可愛いし。私は好きよ」
「本当!? それなら……いいかも」
褒められてメイは、うれしそうに「えへへ」とほほ笑む。
「【雄たけび】ってたぶん、【野生児】だからもらえたスキルなのよね。【遠視】を始めとしたメイの特殊パッシブスキルも【野生児】だから覚えたんだろうし、今後どうなっていくのか楽しみだわ」
「他にはいないの?」
「五年もジャングルにこもったプレーヤーなんて他にいないわよ。だから……」
「だから……?」
「この後さらにヒゲ、肉球なんかも出てきて、ドンドン野生化していく可能性なんかもあるかもね」
「ええっ?」
「ウォマエ、イイヤツ、コレ、クエ」
「言葉遣いまで!?」
「そして最後には……」
「ごくり。さ、最後には……?」
「理性を失い最強の獣となったメイが、自然にアダなす人類を粛清するために、私たちの前に立ちふさがるっていう……」
「そんなの困るよー!」
「ふふ、その時は必死に呼びかけないとね。メイが理性を取り戻せるように」
「それで一緒に過ごした日々を思い出すんだね。この金色の目……レンちゃんだ!」
「わ、私のナイトメアが世界を救うカギになるの……?」
思わぬオチの付き方に、白目をむくレンだった。
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