6話
「あなたは犯人の顔を思い出して、どうするつもりですか。」
どうするつもりなのか。それは私にもわからない。ただ、あの犯人の顔がわかれば、私の中でずっと引っかかっていたものを取り払えるのではないか、そう思うだけなのだ。うまく説明ができないでいると、彼女も何も言わず、静かに手元の粉をいくつか選んで、作業を始めた。私のすべてを見通しているかのように見えた。
「一つ、お断りしておきますが、私は香りを売るだけです。その香りで何を思い出すか、どういう感想を持つか、それはお客さん次第です。」
「ええ。」
複数の色の粉を水に溶かして作られた液体は、黒烏龍茶のような色をしていた。彼女は優しい表情で手渡す。
「どうぞ。」
おそるおそる鼻を近づける。嫌な汗と埃の匂い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます