6話

「あなたは犯人の顔を思い出して、どうするつもりですか。」

どうするつもりなのか。それは私にもわからない。ただ、あの犯人の顔がわかれば、私の中でずっと引っかかっていたものを取り払えるのではないか、そう思うだけなのだ。うまく説明ができないでいると、彼女も何も言わず、静かに手元の粉をいくつか選んで、作業を始めた。私のすべてを見通しているかのように見えた。

「一つ、お断りしておきますが、私は香りを売るだけです。その香りで何を思い出すか、どういう感想を持つか、それはお客さん次第です。」

「ええ。」

複数の色の粉を水に溶かして作られた液体は、黒烏龍茶のような色をしていた。彼女は優しい表情で手渡す。

「どうぞ。」

おそるおそる鼻を近づける。嫌な汗と埃の匂い。

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