特別篇 みんなのお願い聞いてみたいな【七夕企画】

今日もいつも通りに学校に来ていると、ふとこんな会話が聞こえて来た。


「ねーねー今日七夕じゃん?」


「そう言えばそうだったね」


「推したちが列挙して配信するからさぁ~」


「あー、それはつらいヤツだ」


「そーなの!誰のを見るか選べないよぉ...」


(あそっか、今日は七夕だっけ...)


休み時間だったのでスマホを開いてセカプロのみんなの配信予定を確認してみる。

(やっぱり、みんなやるんだ)

そこに映し出されている予定表には、自分のチャンネルを持たないマネちゃん以外の全員が七夕企画を予定していた。


(みんなが配信するならボクはやらなくてもいいかな)


そんなことを思いながら、もはや日課になりつつあるピピッターを漁る。元々そこまで見る方ではなかったが、最近話題のネタや流行のゲームなどの情報集めのために見るようになったのだ。最初は少し面倒に思っていた時期もあったけど、中々面白い投稿が散見するので見ていて飽きない。


すると中にこんなつぶやきがあった。


『ゆいちゃんは配信やらないのかな?』


『ゆいちゃんが七夕配信するなら仕事なんて放り投げてみるのに←おい』


それを見た瞬間、ボクの手は自然と動いていた。


◇◇


氷柱ゆい/セカプロ2期生 @Turara_Yui

すっかり今日が七夕だってことを忘れてたぁ

ボクも夜に配信するから見に来てほしい...かな?

因みにみんなのお願い事ってなんだろう?

コメントで教えてくれるとうれしいな


◇◇


そうしてあっという間に学校が終わり、夜になった。

せっかくの七夕なので、背景とかをいつもとは違う感じにして...っと


準備が整ったボクは最早慣れ親しんだ配信スタートボタンをクリックした。


◇◇◇


『しずにい、しずねえのみんなこんばんわ!セカプロ2期生氷柱ゆいです!』


【コメント】

 :こんばんはー

 :ひゃっはー!新鮮な水が飲める!

 :配信してくれるだけで私が救われるっ!


『ピピッターでも言ったんだけど、今日が七夕だってことをすっかり忘れてたんだよね〜』


 :少し歳を取るとすっかり忘れてしまう

 :歳は取りたくない:( ;´Д`;):


『だからボクは授業を片手間に考えました!』


 :授業受けてw

 :草


『みんなのお願いを読んで、それが叶うように一緒にお願いしようって!』


 :ええ子や...

 :あんなこと書いた私にどうか罰を

 :後光が眩しすぎるっ!


『ということで、さっそくお願いを読んでいくね!』


【テストに+20点ください】


『あーすっごく分かる。たまに少し残念な点数の時あるもんね』


 :わい毎回残念な件

 :甘いな、俺なんか絶望だ

 :こないだ再履修食らった、、、

 :ゆいちゃん勉強できてえらい


『みんな沢山お願いを書いてくれたから、ちょっと早足で読んでいくよ!』


【ボーナスください】


 :やめて

 :俺にもくれえええ!

 :ボーナスなんてなかったウン


『社会人の人かな?お仕事頑張っててえらいよ!たまにのボーナスぐらいあっても良いよね?このお願いもどうか叶えてあげて!』


 :今の言葉でもう10連勤いける

 :明日部下にボーナスあげようそうしよう


『お、次のお願いもボクすっごく分かるよ!』


【夏キャラピックアップが仕事しますように】


 :あー

 :天井まで回せば100%

 :こういう時に限って出ない


『これはボクも毎回思ってることだね、ボクの好きなキャラがピックアップの時に限って出ないの!』


 :物欲センサーがしっかり働いてるなぁ

 :↑そんなもの折れてしまえ


『次のピックアップでみんなが欲しいキャラが出ますように!ついでにボクも!』


募集したお願いを読み上げること約一時間後、ゆいの配信に突撃する者が現れた。


<アイン>『ここにくれば願いが叶うと聞いて』


<ゆ い>『うわあ!アイン先輩!?』


<アイン>『ゆいちゃんやっほー』


<ゆ い>『アイン先輩、配信は?』


<アイン>『もちろん終わらせ...終わったから来たよ〜』


 :嘘つけぇ!

 :「ちょっとゆいちゃんとこ行ってくるからここで配信終わる!」って言ってた

 :草


<アイン>『ねね、私のお願いも聞いてもらっていい?』


<ゆ い>『う、うん』


<アイン>『じゃあさ、私に聞いてみて!』


<ゆ い>『えっと?』


 :素晴らしくめんどうで草

 :めんどくさい彼女だこれ


<ゆ い>『え、えっとアイン先輩のお願いってなんですか?』


<アイン>『え?そんなに気になる?そうかそうか〜そんなに聞かれたしょうがないよね〜うん』


 :律儀に聞いてあげるゆいちゃんの優しさ

 :そしてクソアザムーブをかましていくぅ笑笑


<アイン>『私の願いはただ1つ!それはゆいちゃんとおふ』


<六道>『そこまでだ』


<ゆ い>『ろ、六道さん!?』


<アイン>『じゃましないでよー!』


 :乱入者追加でーす

 :六道ならワンチャン...


<六道>『勝手におじゃましてごめんな』


<アイン>『自覚あるなら帰れー』


<六道>『お前がな!』


 :まーた始まった笑笑

 :ゆいちゃんの反応を見るにガチのアポ無し凸でしょ?大丈夫?

 :はいはい!予言します!20秒後にもう一人来る!

 :んなわけ


<マネちゃん>『はーい、おふたりともそこまででーす』


<ゆ い>『もう驚かないよボク』


 :笑笑

 :三人目笑笑

 :俺の予言当たったんだが!?


<六道>『マネちゃんも止めに来てくれたんだな』


<マネちゃん>『いえ、私はただ...ここに来れば願いが叶うと聞いたので』


 :草

 :www

 :だれも止めない笑笑

 :じゃあ俺もう一つ予言するわ!全員来る!


<ゆ い>『ええっと、、どうすればいいのこれ』


<ク ロ>『お困りかい?』


<ゆ い>『あ、クロさん...いらっしゃい』


こうしてゆいの七夕配信は日付が変わるまで行われた。


そして、アポ無しでセカプロ全員が突撃してくるというかつてない暴挙が行われたのだった。


◇◇◇後日◇◇◇


<ゆ い>『みんなやりすぎ!!』


<全員>『『ごめんなさい』』


7月8日の午後、事務所の会議室で大の大人が7人も正座させられていたとスタッフは後に語った。

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