第117話 話し合い——③
更新遅くなりました┏○┓
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その言葉に三人は唖然とするしかなかった。
「ということは...ボクは二人の喧嘩に巻き込まれて家を追い出されたの?」
少し肩を震わせたゆうきがそう聞く。
「もう少し詳しく話をさせてちょうだい」
恵子はそう言って話を続けた。
まとめると、蒼贔屓の恵子とゆうき贔屓の恵子が喧嘩して、蒼贔屓の恵子がゆうき贔屓の恵子に対しての嫌がらせとしてゆうきに強く当たっていたという事らしい。
まったく、バカげた話だ。
「...もういい」
そう言ってゆうきは家を飛び出した。
無理もない、もっと重要な何かで自分に強く当たっていると思っていたのだから。
その理由を聞いて「だからしょうがない」と自分に言い聞かせて納得しようとしていたのにさっき聞いた言葉には重い理由もなく、ただ子供の様に喧嘩の巻き添えで被害を受けたのだ。
ゆうきの中は悲しみやら怒りやらで感情の暴風で荒れていた。
一方、家主がいなくなったゆうきの家では...
◇◇◇
「お前正気か!」
りんとが玄関が閉まりきっていないにも関わらず声を荒げた。
「まって!まだ続きがあるの!」
「そんなものは知るか!」
どうやら恵子はまだ言いたいことがあったようだが、そんなものはお構いなしにりんとはまくしたてる。
さっきの会話を聞いて普段大らかな性格のりんとも堪忍袋の緒が切れたのだ。
「お父さん待って!最後まで聞こうよ!」
蒼はりんとを止めようとする。そのことにりんとは大きく疑問を持った。
「なぜ止める!」
「お父さんも知ってるでしょ!お母さんが言葉で伝えるのが下手なのを!」
「それとこれとは話が別だ!」
そうして二人はやいややいやと言い合いをしていると恵子が口を開いた。
「もう、いいのよ」
言い争う二人の声に比べてとても小さい声にだったが、それはしっかり二人の耳に届いた。
「お母さん!何言ってるの、しっかりゆーくんに伝えなきゃ」
「その結果がこれなのよ?あの子が希望を持って接してくれたのに私はそれを無に返した。うまく言葉にすることが難しいなんて言い訳で誤魔化されるものではないわ」
そう言う恵子は後悔や自責の念で眉を下げた。
それを聞いた二人は黙ってしまった。
恵子はおもむろにポケットから紙を取り出しなにか文章を綴りそれをりんとに渡した。
「あの子に渡してくれないかしら?渡さずに捨ててもらっても構わないわ。そこはあなたに任せます」
「おいっ...」
動揺しながら聞こうとするも言葉を遮りながら恵子は言った。
「私はこれで帰るわ。ここにいない方がいいでしょう。もう金輪際あなた達には近づかない、勿論あの子にも。...だから、安心して下さい。信用してもらえるかはわからないけれど」
そう言葉を残し恵子は家を出た。
その様子を二人は只々見ているだけだった。
玄関に立つ恵子の背中がどう見えたか、これは二人にしかわからないことだ。
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