第92話 ボク、やってみる!
「それってどういう事ですか!?今回の撮影は確か姉妹コーデですよね?仮に容姿が女の子に近しいものでもさすがにそれは...」
「その辺は大丈夫よ~私が見間違う程だもの」
この業界に長くいる京子が見抜けなかったことに驚愕した。
しかし、大先生である彼女がそこまで言うとなると余程の人物なのだろう。そう自分を納得させて後に続くのだった。
◇◇◇
「連れてきたわよ~」
しばらくまっていると京子さんがもう一人の女の人を連れて戻ってきた。
「は、はじめまして!」
「ええ、はじめましてね」
さわやかな雰囲気をまとうその人が件のモデルさんなのだろう。
「ね?大丈夫でしょ?」
ほら言ったでしょというような表情をした京子さん。モデルさんはボクを上から下まで見たと恐る恐る聞いてきた。
「ほ、ほんとに男の子...ですか?」
「む、一応男です」
そ、そんなに男っぽく無いのかな...ボクって
ん?男っぽくってどんな感じだっけ?よくわからないや
「そ、そうなんですか...先生、これやばくないですか?」
「そう?」
ほら、ボクが危惧したようにやっぱりだめなんだよ。案の定の反応を示したのを確認したボクは荷物を持とうとした時、そのあとに続いた言葉に思わず声が漏れた。
「こんなにかわいい子なんて、やばくないですか!?」
「え?」
「でしょ~ゆうき君、ヒナからの許可は取れたわよ!改めて代役お願いできないかしら?あ、もちろんお代は出すわよ!」
「そ、そんな大丈夫ですよ!ボクはただ手伝うだけなんですから」
「同じことをする私がお給金もらって、あなたが貰えないのはおかしな話よ?」
「その通り!しっかり払うから安心してちょうだい。それで...この話受けてくれるかしら?」
言った条件をすべてを満たした上で断るなんてことは出来なかったボク。だけど、念のため父さんに連絡をすることにした。
りんと:<どうした?>
すぐに出てくれた父さんに今あったことを説明する。
りんと:<大体はわかった。まあ、京子ちゃんが持ってくる話だから問題はないだろうしな。お前がやりたいのならいいぞ>
ゆうき:<ほんと!?じゃあ頑張るね!>
りんと:<おう(こいつめ...途中からやりたくなってるじゃないか)>
ここで父さんとの電話は切れた。
「その様子だと受けてもらえるかしら?」
電話が終わったところに京子さんがそう聞いてきた。
たしかに最初は不安が強かったけど、まだ知らない世界を見れると考えると楽しみの方が優ったボクはこう返した。
「はい!ボクでよければやらせてください!」
「勿論よ、ありがとうね、それじゃあみんな!セッティングを始めるわよ!」
ボクの返事を聞くと京子さんは周りに指示を飛ばし始めた。京子さんの言葉を聞いて周りが動く。その様子はとてもかっこよくボクの目に映った。
「さて、ゆうき君はこのお姉さんについて行ってちょうだい、後の指示もこの人に聞いてね」
「わかりました」
「よろしくねー」
スタッフさんの一人に案内されてボクは奥の方へと向かって行った。
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