第46話 とんでもないものが飛んできました

モデルテストも無事に終わって早くも一週間。あれから陽彩さんとは連絡を取り合っていて、あと少しで出来上がるとの連絡があった。3Dが完成次第計画は一気に進む。これは草薙さんから聞いた話だけど、3Dが完成した後に決まっているイベントはこれだけあるらしい。


・3Dお披露目ライブ

・セカンドプロダクション全体イベント『future!feat.Second Production』

・セカプロ公式chでのお料理企画


ライブに向けてレッスンも本格化してきて、より一層厳しい物になってきた。


確かにキツかったりはするけど、ボクの限界を考えてレッスン内容は調整してくれているし、学校の都合で急遽休むことになってもボクを責める人はいない。本当にありがたいことだ。


今日もまた機材の練習のために事務所に来ていた。これからのことを考えると一から自分で準備できるようになっておきたいと思ったからだ。


その練習中、草薙さんが声をかけてきた。


「ゆうきくん。急で悪いけど少しいいかな?」


「え、はい。大丈夫ですよ」


「ありがとうね、社長も待っているから」


「な、何かあったんですか?」


「それはお楽しみだよ」


いつもより硬いテンションでいた草薙さんだけど、なにか悪いことがあった様子にも見えない。少し不安になりながらも先導する草薙さんの後に続いた。



◇◇◇


「お、きたか」


もはやいつも来ている場所となっている社長室には六条さんと部屋の主である父さんが待っていた。


「急に呼ばれたけど、どうしたの?」


「ふっふっふ、気になるかい?」


ニヤニヤと笑う父さん。


「それは...まあ気になるけど」


「だろ~実はな...」


いつものように軽く言う父さんだったが言葉の最後には表情が硬くなる。


「今夜みんなで焼肉いこうかなぁ~って」

「帰る」


「俺も」


「お疲れさまでした~」


「まてまてまてまて!冗談、冗談だから!三人とも戻ってこーい!」



「で、本当の用件は何なの?」


「ああ、それはだな...」


変な冗談のおかげなのかはわからないけど、肩の力が抜けた...気も抜けたけど


「オファーが来たんだよ」


「?」


何のことかわからないでいると草薙さんがボクに詰め寄る


「テレビですよ!テ・レ・ビ!」


「....へ?」


「要約するとあれだ。【氷柱ゆい】にテレビ出演の依頼が来たんだ」


「....」


「あれ?思ってたより反応が薄いですね?」


「え~と....つまりどういうこと???」


言ってることは分かるの。ただ、理解したくない。


「六条が言った通りで、【氷柱ゆい】にテレビ出演の依頼が来たんだぞ?」


「マジなの?」


「「「マジ(です)」」」


「聞くだけ聞くよ....」


今までも色々あったけど、スケールが違う。

もうボクには叫ぶ元気はなかった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る