現代人の願いを叶える装置

水白 建人

 

 げんだいじんかくがあったならば、それをたのはきっと、あなただ。

 まんきょうのようなライトをたくさんつけたそれは、あなたよりうんとおおきくて、あなたくらいのからだなんてすっぽりかげおさめてしまうなまりいろはこ

「《げんだいじんねがいをかなえるそう》だよ」

 ふわふわしたしろかみ博士はかせった。

「このレバーをいたらね、なんだってかなうんだ」

 あなたはしんじられない、とくびる。

ほんとうさ。ほら、うわさをきつけたおきゃくさんが、わたしのけんきゅうしつにやってきたぞ。よくておきなさい」

「ごめんください」

 ドアからあらわれたのは、あなたにうつくしいとおもわせるおじょうさんだった。

「あなたが、ねがいをかなえてくださる博士はかせ?」

「ほかにだれがいるんだい」

博士はかせ、どうかおねがいです。このおはなげんあたえてください」

れているね」

たいせつなおともだちが、わたくしのたんじょうおくってくれましたの……」

「ふむ、まかせなさい」

「まあ!」

「そーれガラガラポーン!」

 博士はかせちからいっぱいレバーをく。

 すると《そう》はかがやいて、くちからすとんとびんした。

びんえきたいはいっているね。おはなけてみなさい」

「はい。……まあ! まあ! こんなにもみずみずしくなりましたわ!」

「よかったね」

「このごおんわすれませんわ、博士はかせ!」

 おじょうさんはびんはなちながら、けんきゅうしつっていった。


「きみ、どうだね。ちゃんとねがいがかなっただろう?」

 あなたはしばらくかんがえて、たまたまうまくいったんだ、とそっぽをいた。

「《そう》のなかにいろんなものをようしておいて、ねがいをかなえられそうなものをえらんでしたんだって、いたいのかね?」

 きょうじゅはドアにける。

「じゃあ、もうしばらくていきなさい。おきゃくさんたちのねがいがかなっていくうちに、きっと、しんじたくなるだろうね」

 そうして、《げんだいじんねがいをかなえるそう》のまえつぎつぎきゃくさんがやってきた。


博士はかせ、60せいのボトルシップははいるかね?」

 あなたにかたいとおもわせるジェントルさんはった。

「そーれガラガラポーン!」

「な、なんと……! ついにコレクションがかんせいしましたぞ!」

 ジェントルさんはスキップしながら、けんきゅうしつっていった。


「わたし、かれがほしいんですっ!」

 あなたにわかいとおもわせるじょがくせいさんはった。

「ガラガラポーン!」

「――ウマちゃん、ってくれ」

「キャー! うそー!? かっこいいおにいさんがてきたー!?」

 じょがくせいさんはかっこいいおにいさんにおひめさまっこされながら、けんきゅうしつっていった。


「じじい、たからくじだ! たからくじのいっとうたのむっ!」

 あなたにあついとおもわせるフリーターさんはった。

「ガラポーン!」

たってるっ……! おくまんちょうじゃっ……!」

あまいなあセイジくん。あまあまや」

「なに?」

「175ちょうえん

 あなたにきたないとおもわせるおじさんはった。

「ガッ!」

うてみるもんやなあ」

 ふたりは1まんえんさつうみながされながら、けんきゅうしつっていった。


 どんなねがいもかなえてしまう。

 なんでもかんでもしてくれる。

 めくるめく《そう》のはたらきに、あなたもすっかりうばわれた。

 だから、ねがいをけたのだ。

 ながいようでみじかく、ひろいようでせまい、このくうはくに。


「そいつはできないそうだんだよ」

 博士はかせそうにたずねる。

「だってきみ、このだいひとじゃないだろう?」

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現代人の願いを叶える装置 水白 建人 @misirowo

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