第23話 麻耶の過去

「ねぇ、麻耶?」

「どうしたの?沙也加ちゃん。眠れないの?それとも、、、」

「私は麻耶の心配をしてるの。精神面で少しでも思い出して辛くなかった?」


あ、、、

私の事、心配してくれてるんだ。

"あの事"を思い出しちゃうから。



『なんでこんなことも出来ないの?!?!』

『ごめんなさいごめんなさい殴らないで、、、お願いします、、、』

『け・い・ご・で言ったらもしかしたら許すかもよ〜?』

『私が悪かったです。すみませんでした。殴るのはやめていただけ、、、』


バシッ!


『あらぁ、手が滑っちゃった。そんな目で見ないで汚らしい。さっさとどっか行って!』

『はい、、、お母様。』

『はぁ、もう。なんでこんな"出来損ない"を産んだのかしら。』


そう、私は虐待を受けていました。令嬢だからしっかりしなさい、令嬢なのにこんなことも出来ないなんて心外、とか色々言われて殴ったり刺されたりしていたんですけど、1番は"敬語"でした。1度でも敬語以外の言葉、俗語等を使うともう1日は家には入れません。

どれだけ外が寒くても、どれだけ外が暑くても。

私は前に交通事故で車に撥ねられ、意識不明の重体に陥ったことがあるんです。

ようやく目が覚めた時、お母様の第一声はこれでした。


『そのまま死んどきゃよかったのに。』


そこでもう私は親に希望を捨てました。

ある日、家から閉め出されていた時に声を掛けてくれた女の子がいたんです。その子が沙也加ちゃんなんですけど、コソッとおにぎりを渡してくれたり、コソッと一緒に遊んだり、とても楽しい時間を過ごせました。

しかし、それも束の間。沙也加ちゃんと遊ぶ毎にヒートアップする虐待を止めるべく、1度お母様に聞いてみました。


『虐待をやめてもらうにはどうしたらいいんでしょうか。』

『これは虐待では無いのよ。でもぉ、あの学校に入れたらやめてあげないこともないわよ?』


それがここ、陰陽樹中学校のことでした。

それから私は猛勉強し、運動神経も努力でもっと伸ばし、今に至るんです。

なので、どうしても敬語を辞める事は出来ないんです。昔からの悪い癖でもあります。


「大丈夫だよ紗也加ちゃん。ありがとうね。」

「うん。じゃあおやすみ。」

「おやすみなさい。」

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