第2話殺し屋デーク東洋

岡崎は殺し屋に電話した。

「もしもし」

「あっ、先日、殺しを申し込んだ岡崎です」

「何だ?準備は整ったのか?」

「はい。金は2階の寝室の金庫に入っています。大丈夫でしょうか?デーク東洋さん」

「任しとけ、今夜、権田のジジイを殺せばいいんだな?」

「はい。自殺に偽装して下さいよ」

「分かっている。じゃ、切るぞ」

なんて、頼もしい殺し屋なんだ!デーク東洋さんは。


デーク東洋は深夜1時に豪邸前に着いた。葉巻を燻らしていた。

「相手はジジイか……物足りないな」

岡崎はベッドの上で、イビキかきながら寝ていた。

デーク東洋を信頼しているのだ。朝、警察に電話すればいいのだ。

外は今季最低の気温だ。デークはカイロで指先を温めた。

今回の仕事に差し支えるのだ。

計画はこうだ。

寝ている権田のジジイをクロロホルムで失神させて、体内にカリウムを注射し心臓発作に偽装するのだ。


しかし、寒い。デークは自販機でコーンポタージュを買った。

「やっぱ、冬はコーンポタージュだぜ」

缶のコーンポタージュは、底にトウモロコシがへばり付いている。デークはトウモロコシを食べる為に歩きながら顔を上にして缶の底を叩いていた。


ドゴッ!


デーク東洋は足元見てなかったので、側溝に足を取られ、地面に後頭部を強打し、絶命した。

たかが、コーンポタージュの底のトウモロコシに気を取られ転倒しそれで即死とは……。


翌朝、岡崎は6時に起きた。きっと、デーク東洋は仕事をきっちりしただろう。

2階のジジイの寝室に、ルンルン気分で向かおうとした。

「おはよう、岡崎先生」

岡崎は口から心臓が出そうになった。なんで?なんで?

「先生、トイレはこっちだよ」

「お、おはようございます」

「昨日、良く寝れた先生?」

「はい」

「まだ、若いねぇ。近所に夜中、パトカーや救急車が止まってうるさいのなんの」


あの、デーク東洋失敗しやがったな?

まさか、夜中のパトカーや救急車はデークだったりして。

まさか~。

しかし、2週間連絡が無く作戦は失敗したのだと悟った。

次だ次。まだ、殺し屋はいっぱいいるはず。

岡崎はまた次の計画を練りだしたのである。

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