第12話 Cカップ小学生!?



 休日の昼、太陽の下でアスファルトに四つん這いになり泣く高校生男子の姿がそこにはあった。


「うぅ、もうおムコに行けない」

「大丈夫、そしたらあたしが貰ってあげるから、ていうかみぃちゃん、そろそろ本気でうちの武美ちゃんと付き合わない?」

「いえ、それは遠慮します」

「もお、即答しないでよね、今武美ちゃんと結婚したら副賞として床上手なあたしもついてくるんだよ♪」

「床上手って、そりゃ旦那さんも死にますわ」

「うえーん! タッちゃんかえってきてー!」


 オーバーアクションで泣きじゃくる武子を見て、ユイがこっそり皆人に耳打ちする。


「武美さんのお父様は死なれたので?」

「いや、武子さんが絞り取り過ぎて腹上死した、五時間後に息吹き返したけど俺は死んだと思ってくれって置手紙残して寺入りして今じゃ毎日修業してるらしい」

「夫を出家させるって、凄いですね……」


 皆人のエロぶりとは違う意味で、またユイはため息を漏らす。


「だって夫婦の愛はダース単位で行うものでしょ!」

「いやそれは」

「確かに俺もハッピータイムはダース単位ですね」


 ぼそり「さすオナニ○ワールドグランプリの覇者」


「ユイちゃん、今何か言った?」

「え? ユイは何も言ってないよ、武子おねえちゃん♪」

「ならいいけど……」

「でも俺的にはむしろ武美より武子さんのほうをメインにしたいくらいですよ」

「ええ、そんなあたしなんてもうオバサンだし」

「いえいえ、顔もスタイルも武美に負けて無いし性格も良しとくればもう言う事無いっすよ!」

「もお! みぃちゃんたらうまいんだからぁ!」


 ぽん

 と武子の右手が皆人の胸を叩いた瞬間、空間が爆発、弾丸のように打ちだされた皆人の体が向かいの塀に貫き民家の家にヒビを入れながら上空へバウンド、バック転のように高速回転しながら床に頭からべちゃりと落ちる。


 これで死なないのは世界広しと言えど皆人だけだろう。


 ユイは武子を見て、間違いなく武美の母だと認識し直した。


「お、おにいちゃんだいじょうぶ?」


 とりあえず心配する演技をするユイ、だが武子は慌てることなく。


「だいじょうぶ、こういう時はね」


 言って、武子が自分の背中に手を伸ばすと、ブラのホックが外れる『ブチ』という音がした。


「どおりゃあああああ!」


 その音に飛び起きる皆人、目はすでに血走っている。


「ほらね、すぐ起きたでしょ?」

「うわー、おにいちゃんすごーい(見下げ果てたドスケベ野郎ですね)」

「この声はスケベなお兄ちゃん! ついに舞子(まいこ)のお姉ちゃんとラブラブしに来てくれたのですか?」


 その時、金剛商店の奥からパイナップルヘアーの可愛らしい少女が現れる。


 身長はユイよりは高く、黄色いワンピースで隠れた胸は明確な膨らみが確認できるほど育っているが、幼い顔は実年齢を物語っている。


「違うよ舞子ちゃん、今日は約束の漫画を受け取りに来たのと武美にグローブを届けに来ただけだよ」


 にこやかに笑って対応する皆人とは対照的に、舞子は『なぁーんだそうですか』と残念そうに肩を落とす。


「それと舞子ちゃん紹介するよ、この子はユイ、俺の親戚の子で舞子ちゃんと同じ一一才だから仲良くしてあげてね、ユイ、この子は舞子ちゃんて言って武美の妹だぞ」


 もちろんユイはそんな事は百も承知だが、初対面という設定を無視してはいけない。


「こんにちは舞子ちゃん、あたしは三波ユイだよ♪」

「あたしは金剛舞子、将来の夢は漫画家、兼スケベなお兄ちゃんの愛人なのですよ♪」

「愛人?」

「ちょっ、舞子ちゃんそんなまた」

「何を言っているのですかスケベなお兄ちゃん、今武美お姉ちゃんとラブラブすればもれなく床上手なCカップの小学生がついてくるのですよ」


 この母にしてこの子あり。


 ユイの機械が予想した武美と結婚した場合の未来、武子、武美、舞子の三人と四P三昧というのだけは間違いではない気がしてならない皆人だった。


「まぁまぁ、それより早く漫画頂戴」

「はい、ではあたしの部屋に案内するのです、ユイちゃんも一緒に来てほしいです」

「ありがとうね、舞子ちゃん」

「じゃあ武子さん、おじゃまします」

「ゆっくりして行ってねぇー」


 皆人達がいなくなると武子はまた箒を手に取り、そして怪しく笑った。


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