第4話:チュートリアル

 



「よう、新人冒険者か?」

 転送された先はおそらく冒険者ギルド。

 アニメや漫画で見るような、カウンターがズラリと並び、壁には掲示板があり依頼書らしきものが貼り出されている風景。

 キョロキョロと周りを見渡す。

 ニコニコとこちらを見ているオッサン……現実リアルなら同い年くらいの筋骨隆々の、いかにもな男。


「俺の事か?」

 返事をすると、ちょっと驚いた顔をされた。

「子供かと思ったら、ハーフリングか?」

 子供などいないだろ?と、思ったがキャラとして作れるのかもしれないな。

 そういえば、名前を決める時に横に年齢が出てたな。

 変えられたのか!

 いや、変えないでこの見た目なら若返らす利点はないがな。


「子供じゃないなら、追い返すわけにはいかないな。職業ジョブは何だ?斥候か?盗賊か?」

 オッサンの顔から笑顔が消えた。

 アレは対子供用だったようだ。

「テイマーだ」

 何だその顔は。驚きと哀れみを混ぜたような、微妙な表情。

「何でそんなに小さいのに、最初からテイマーなんて選んだんだ。普通は他の職に就いて、ある程度実力がついてから選ぶものだろうが」

 小さいは余計だ。そして選んだ理由は悪友達に勧められたからだ。


 見た目は脳筋なオッサンだが、事細かにテイマーというものを説明してくれた。

 要約すると、自分より強いものは殆どテイムできないから、ある程度強くなってから転職して選ぶのが一般的らしい。

 あと、テイマーはレベルによってテイム数が変わるが呼び出した魔獣や動物はパーティー人数に含まれる為、パーティーから敬遠されやすいと。

 強くなると普通のパーティーより人数が増えるから個人でも戦えるらしい。


 多分、レベルが低いうちは悪友達アイツらにくっついている計画なのだろう。アイツら的に。

 でもオッサンはそれを知らないから、俺は単なる無謀な新人冒険者なわけか。

「大丈夫だ。アテがある」

 おい……何だその顔は。

「お前、にされてるんじゃないのか?」

 いや、何のだ?


 ヒョイっと軽々と持ち上げられた。

 子供を抱っこするように、オッサンの腕に座らされる。

「おい!俺は子供じゃないぞ!」

 抗議と抵抗をするが、体格差とおそらくレベル差で何の意味もない。

「とりあえず、冒険者登録だな」

 登録カウンターに連れて行かれ、カウンターの降ろされた。

 カウンターの中に足がプラプラしている状態だ。


「こんにちは。今日はお使いかしら?」

 受付嬢の笑顔が辛い。

「すまん。子供じゃない。冒険者登録に来た」

 そんなに驚かなくても……

 童顔か!童顔がいけないのか!?

 俺しかハーフリングがいないわけじゃないだろうが!!



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