第20話 女番長が最高すぎる


 放課後、うつ病を併発した俺の元へ大麻から『あたしの家に来い』という地図付きのメールが送られてから三〇分後、俺は大麻の家の呼び鈴を鳴らしていた。


「来たわね、じゃあ上がってって……どうしたのあんた?」


 涙を零しながら俺は嘆く。


「純潔を汚された。もうお婿に行けない……」

「は?」

「俺はどうせ将来連中の玩具として生きるんだ。ぐすん」

「ちょっ、新川あんた顔に生気が無いわよ」


 ああ、こいつはなんていい娘なんだ。

 泉美と違ってホンモノの女だし。

 加奈子と違って『俺の嫁』発言しないし。

 千秋姉と違ってすぐ脱がないし。


「大麻(たいま)ぁ……」


 俺は救いを求めるように、目の前の美少女に抱きついた。


「なぐさめて」

「大麻(たいま)って言うなぁああああああ!」


 ヒザ蹴りがみぞおちにクリーンヒット、俺に九九九九のダメージ。

 そして後ろへ倒れた時に後頭部をコンクリにぶつけて追加ダメージ五〇〇〇。





「ってあれ?」


 俺は何をしていたんだ?

 泉美と加奈子に襲われてからの記憶がいまいち薄いな。

 えーっと、表札と大麻がいる事考えるとこの大きな家が大麻の実家か、こいついい家に住んでるな。


「よし、じゃあさっそく料理の練習したいんだけど……って、なんでお前は顔が赤いんだ?」

「そ、そりゃ、あんたがいきなり……なんでもないわよ」


 ぷいっと顔を背けて大麻は、


「早く入りなさいよ」


 と言った。

 はて? 俺が何をしたんだろうか?

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