第17話 むしょうに鈍器が欲しい
「それで、現代によく見られる食行動の例は?」
次の日の朝、昨日逃げだした加奈子は何食わぬ顔で本日行われる小テストのポイントを聞いてきやがった。
ここまで神経が太いと憎しみより呆れが上回る。
こうして勉強に付き合ってやっているのも多分そのせいだ。
「それぐらい分かるよ春人、ヤケ喰い、ドカ喰い、バカ喰いそして生き倒れ!」
「欠食、間食、ダイエット、孤食、夜食、中食だ」
「当たらずも遠からずだよね?」
「一問も合ってねえよ!」
「食べないって点でダイエットと生き倒れは同じだよ!」
「同じじゃねーよ!」
そもそもダイエットとは食事改善により体を健康にする事を指す言葉で体重を減らす事では無い。
そのへんを現代人は言葉の意味を履き違えている。
もっとも大多数の人が間違った意味で使っていればその間違った意味が本当の意味へと変化するので油断は禁物だ。
「最近ダーリン成分を写真と妄想から摂取しているあたしは偏食(へんしょく)ぅ♪」
「逃げた裏切り者が抱き突くんじゃねえ!」
俺のヒジ打ちをひらりとかわして泉美は、
「違うよダーリン、あれはダーリンならきっとあの場を切りぬけられるって信じていたからだよ、これも愛のなせる技だよね♪」
「俺は今、悪魔への愛でいっぱいだよ」
「そんな、あたしに悪魔っ娘スタイルで迫って欲しいだなんて、ああでもダーリンの為ならクローゼットの奥に眠るアレを出しても」
「持ってるのかよ!?」
なんて奴だ。
きっとこいつは他にもあらゆる変態アイテムを持っているに違い無い。おまわりさんこいつを捕まえてくれ!
「って、そういえばお前ら昨日大麻が俺に何の用事だったのか聞かないのか?」
途端に、加奈子と泉美の顔が改まり真顔で、
「え? 何言ってるの? ボク達を巻き込まないでよ」
「そうだよ、あたし達の平穏を奪わないでよ」
なんだろう、むしょうに鈍器が欲しい、でなければ刃物。
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