第16話 爆乳全裸美少女の正体は幼馴染!?


「……あれぇ? おっとくんですぅ」


「ひぐっ!?」


 喉の奥からおかしな音を鳴らして俺は硬直。こんな時の上手い対処法をその場で思いつくなんていう高度さは俺に無い。


「あ、来ていたんですねぇ。すいません、わたしねむっちゃってぇ」


 眠そうな、おっとりとした喋り方で、月見里はソファの横に立ちあがった。


「おっとくぅん血が、はな、ぶつけましたかぁ? まっててくださぁい、いまティッシュをぉ――」


 固定される俺の視線に、月見里がゆっくりとまたばきをする。


「? どうしたんですかぁ、おっとくん? わたしのかっこう、なにかへんですか……?」


 とろんとした目が、したたるように裸の胸を見下ろした。


「ぁっ…………」


 月見里の可愛い顔が、一瞬で桜色に染まった。


「ぃやァあああんっ! 良人くん見ちゃだめですぅっっ!」


 月見里は顔をうつむかせながら右手で局部を、左手でおっぱいを隠そうとする。が、足りるはずもなく、二ップレス程度の役目しか果たしていない。


 むしろ爆乳に手や腕が喰い込んで形を変え、さっきとはまた違った魅力をかもしだす。


「良人くん、目ぇつむってくださいぃ!」


 ますます顔を赤くしながら、俺に背を見せる月見里。たわわにはずむヒップラインに、俺は眼球が飛び出すほど目を開けた。


 仰向けの状態では唯一確認できなかった月見里の最後の神秘。サイズ、形、共に日本人離れどころじゃない。


 両手でも余る程大きな尻たぶが二つ、それでも下品さを一切伴わないのは、彼女のお尻が上にキュッと引き締まり、球に近い完璧なまるみを描いているからだろう。


 ボリュームには不釣り合いな形と張りが弾力を、振り返った時に揺れ跳ねたのがやわらかさを証明している。


 月見里のお尻は、おっぱい同様、弾力とやわらかさをしっかりと共存させているらしい。なんて欲張りな体だろう。


「あんっ!」


 耳まで真っ赤にした可愛い顔が肩越しに、俺の視線に気付いた。


 俺の目からお尻を隠そうと、両手でおさえながら反転。またおっぱいや、大事な部分が丸見えになってしまって、また両手で隠してから反転してお尻を見せてを繰り返す。


 月見里もかなり混乱しているらしい。


 一度反転するごとに『ぃやん』とか『ダメェ』とか『はうぅ』とか『はわわ』とか言って、最後には、


「ふえぇぇ……」


 と漏らしながら、俺と向かい合ったまま、その場にしゃがみ込んでしまう。


「み、みられちゃいましたぁ……みんな、ぜんぶぅ……」


 大きすぎるお尻とおっぱいを隠しながら、紅潮しきった顔でうわめづかいに俺の様子をうかがう月見里。


 顔の色はうっすらと全身に広がって、月見里の白い肌は全部桜色に変わっていた。


 あまりにも扇情的かつ、可愛い様子に、俺の中で醜い感情がさらに大きく堅牢になってしまう。


 スレンダーとグラマー。綺麗と愛らしい。弾力とやわらかさ。キュートとセクシー。

 決して混じり得ない両方を、月見里は全て兼ね備えていた。


「こ、こんな格好でごめんなさい良人くん。その、これは違うんです」


 学校の時と同じく、月見里はまた謝る。


「良人くんが来る前に綺麗にしようと思って、ご飯を食べた後お風呂に入ったら眠たくなっちゃってぇ。ちょっとだけソファで横になるつもりだったんですぅ」


 必死に言い訳をする月見里がますます可愛くて、俺のハートがマシンガンの集中砲火を浴びる。


 なんだ、この男の理想を詰め込んで擬人化したような娘は?

 初対面の男の為に普通ここまでするか?


「あのさ月見里、お風呂って、俺の為に?」

「そ、そうです。良人くんに、汗臭い子なんて思われたくなくってぇ」


 俺は、ようやく理解した。


 なんで月見里がここまで俺に無防備なのか。裸で寝ていたのは不可抗力だったみたいだけど、今の言葉でようやく俺は月見里の気持ちに気付いた。


 いきなり名前呼びで。

 俺とペアになって嬉しそうで。

 出会った初日に俺を家に呼んで。

 しかも合いカギまで渡して。

 そして俺のためにお風呂に入る。


 この子は…………俺の事が好きなんだ。


 初対面でも、世の中には一目ぼれっていうのもある。


 女顔で、女子から頼りないと言われ続けた人生だけど、好みは人それぞれだよな。


 月見里が俺の事が好きなら、それに応えなければ、という大義名分が俺の醜い欲望をさらに加速させる。


 イケるのか? イケちゃう感じなのか?


 そうして俺の中で妄想が暴走した時だった。


「だって、四年ぶりに会うのですから……」

「え?」


 四年ぶり?

 俺の脳が冷却。

 どういう事?


 まばたきをする俺を見上げながら、今までとはうってかわり、月見里が怒った顔をする。ほっぺをぷくっとふくらませて、機嫌を損ねた幼児みたいだ。


「むぅ。良人くん、やっぱりわたしのこと忘れているんですね。わたしです、月海心愛ですよぉ!」

「お前、あのツキウミ!?」

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