第15話 全裸の彼女と目が合った


 一糸まとわぬ全裸である。


「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」


 人間は感情が強過ぎると頭が真っ白になって、何も感情が出ないと言うけれど、俺は空白の天井もブチ抜いた。


俺の理解力、脳味噌の情報処理能力を遥かに超えるが故に、俺は動けなかった。


 月見里の首から下、雪のように白くきめ細かい肌はみずみずしくて、産毛一本無いつるつるの、さわれば吸いつきそうな程に艶やか玉の肌がどこまでも続いている。


「ッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッッ」


 俺は全身の血液が沸騰して、鼻の奥が痛くなってくる。


 グラマーとスレンダーを両立させたボディバランスは完璧というよりも、ファンタジーの域だ。


 形が良く均整の取れた細い指先を持つ手足はスラリと長くあくまで華奢。なのに太ももは全体のバランスを崩さない程度にムッチリと肉付きが良くて、唾液腺が刺激されてしまう。


 太ももから続くセクシーなラインが描く安産型の腰幅、とは相反するようにすぼまった砂時計のようなウエストでは、チャームポイントとなる可愛らしいおへそが魅力的だった。


 メリハリとギャップで構成される月見里のカラダは、もっともボリュームある部位の四方を華奢過ぎる部位で囲んでいる。


 繊細な腕とお人形さんのように可憐な肩、頼りないほっそりとしたウエスト、細い首筋と、無邪気であまりにも幸せそうな寝顔、その中央に威風堂々そびえるものに、俺は奥歯が砕ける程噛みしめた。


「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 メロン大の、いや、特大のマスクメロン大の白いおっぱいが、月見里の息づかいに合わせて上下する。扇情的な律動を刻むおっぱいに、俺は焦点を合わせたまま、手に汗をぐっしょりと握りこんで、また開く。


 こんなものが……この世に存在するのか…………?


 凝視すれば、ごく薄くだが青い静脈らしきものを確認できる白さ。その頂点は控えめで幼さすら感じさせる、桜色の魅惑に彩られていた。


 全身の血液が沸騰して、鼻の奥に血の匂いが充満する。


「~~~~~~~~~~ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!」


 おっぱいのやわらかさは脂肪が、弾力は母乳を作る乳腺が司っている。


 日本人のおっぱいは脂肪が多くて、やわらかくてよく揺れる反面、仰向けになると重力に負けて潰れてしまう。対して西洋人のおっぱいは乳腺が多くて、弾力に溢れすぎて硬めだが仰向けになっても潰れない。


 どちらも一長一短。なのに、月見里のおっぱい規格外の量感を誇りながらも決して潰れずに弾力を強調しながら、やわらかさを主張するていどにふんわりと、少しだけドーム型に近くなっていた。


 視覚情報というか、空気越しにも伝わる弾力とやわらかさ。


 爆乳のエロ画像なら見たことがある。でも、生である事を差しい引いても、月見里のおっぱいには常軌を逸した魅力、いや、強制力がある。


 月見里を見れば、俺と言う人間の想像力がいかに貧弱なものであるかが思い知らされる。


 まして今は、下着すらつけていないし、はいてもいない。

 鼻からは熱い血潮が溢れて返って抑えられない。


「つき……み、さと…………」


 俺の中で、醜い感情が溢れだす。


 この先の人生を全て捨てるような、低俗な感情。


 でも、残りの人生全てを引き換えにしても、なお釣り合わない程の誘惑が視界いっぱいに広がっている。


 俺の中の悪魔が、放送禁止用語を叫ぶ。天使は堕天使となり、発禁用語を熱弁する。俺は、奇跡的に論理的思考が働いた。


 論理的に考えて、残りの人生よりも月見里のカラダのほうが遥かに価値がある。これほどまでに強制力のあるカラダを前に何もしないのは論理的ではないと。


「ッ」


 だからこそ、俺は何もしない事にした。

 月見里のおっぱいをもめるなら、寿命が半分になってもいい。

 月見里の好きなところに顔をうずめられるなら、終身刑にされてもいい。

 月見里を好きにできるなら、死刑になってもいい。

 でも、


「すぅ すぅ すぅ えへへ」


 月見里の平和な笑みを失うことに比べれば、こちらの方がよっぽど大切だ。


 彼女を好き放題にして、俺が死のうがそれはいい。でも、月見里を好き放題にして、傷付いた彼女の顔から笑顔が失われるのは嫌だ。


 俺の両目から血涙が溢れる。


 口惜し過ぎて、噛みしめた奥歯が砕けた。


 握り拳の中で、指が手の平をえぐって第一関節まで肉に突き刺さる。


 新妻良人、一五歳。


 人生最大の興奮と自制を体験した日だった。



 次の瞬間、月見里の爆乳が波打った。



「……ぁ……ん…………」


 四肢を放り出したポーズのまま身じろぎをして、甘い声を漏らす月見里。


 俺は金縛りにあったように動けない。


 月見里に集中して、槍のように刺さる俺の視線が、月見里のとろりと眠たそうな、蜜に溺れる視線と交わり溶けあった。


 俺の熱い視線を瞳の奥まで受け入れ、彼女のまぶたが、真昼のように開いた、と言っても、元から眠そうな目なのであまり変わらない。


「……あれぇ? おっとくんですぅ」


「ひぐっ!?」

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