第15話 隠し扉と秘密の通路
「どうして
店の慌ただしさが気になってバックヤードから顔を出した
「今日はモニタリングされてないわね。もしかしてあの子、信号が傍受されてることに気付いたのかしら」
「
「今日は午後イチで『おもてなし』が入ってるわ。その前になんとかしないと……とりあえず私はチラシをプリントするからそれを配りに行かせましょう。そうね、一〇〇枚もあればいいかしら」
「ちょっと待つね、
「なんとかって……」
「
パソコンモニターの前で不安そうな顔を見せる
一方、店では
「婦長様、まだ
「大丈夫よ
「わかりました、婦長様がそうおっしゃるのなら。よし、それじゃ
あくまでも
ミエルは
部屋の奥から左回りに進んで行くと
「確かこの部屋の真上は……そうだ、倉庫だ。なるほど、倉庫とこの部屋は秘密の通路でつながっているんだ」
そう考えたミエルは
ミエルは何事もなかった風を装いながら
「ごくろうさま。それでは
ミエルは相変わらず楽器の手入れに没頭する
ミエルが部屋を出るとそこでは
「
「それなら
「いえ、倉庫ではなくロッカールームです。さっき見たら少し散らかってる気がしたので」
「わかった。とにかく今日のボクはここから目を離すわけにいかないんだ、よろしく頼んだよ」
ミエルは
階段を上がりきったミエルは右ではなく左に進む。そこにあるのは倉庫のドア、彼はその前に立って耳を澄ませる。念のためにドアにも耳を近づけてみる。どうやら中には誰もいないようだ。続いて音を立てないようゆっくりとノブを回してみると、やはりドアにはカギがかかっていた。
ミエルは軽く深呼吸すると左の靴を脱いでその場にしゃがみ込んだ。脱いだ靴の踵を捻るとそれはきれいに外れ、その中には数本の小さな針金のようなものが収められていた。
彼はそこから先端が曲げられた一本と真っ直ぐな一本の合計二本を手に取ると、ドアのカギ穴にそれを差し込んで器用に内部を探る。すると間もなく軽い手応えが彼の指先に感じられた。ミエルはすぐに道具を片付けると靴の踵を元に戻して解錠されたドアノブを回した。
しかし倉庫の秘密に気を取られていたミエルは、自分の背後、ロッカールームのドアの隙間から自分を見つめる目があったことにまったく気づいていなかった。
倉庫の中は静まり返っていた。ミエルはすぐにルームの間取りを思い浮かべる。
「確かこのあたりだったよな」
ミエルは見当を付けたあたりの床に目を向けた。はたしてそこにあったのは床に入った正方形の切れ目だった。おそらく床下収納庫のフタであろう、彼はそれを開けようと試みるも、しかしカムフラージュされたそこには持ち手すらなかった。
ミエルは右足の靴を脱いでその踵を取り外す。中から出てきたのは小さなカッターナイフ、彼はその小さな刃を床とフタの間に差し込むとテコの原理を応用して力を入れてみた。するとフタは微かに持ち上がる。ミエルはすかさずそこに爪を立てて板張りのフタを持ち上げた。
収納庫は空っぽだった。ミエルは手にしたカッターナイフをひとまずエプロンのポケットにしまうと収納の内側にある引き手を掴んでゆっくりと持ち上げてみた。ポリ製のボックスは思いのほか軽く、あっさりと持ち上がった。埃っぽい匂いがミエルの顔を覆う。その向こうには六〇センチ四方の真っ暗な竪穴が口を開けていた。そしてそこには鉄製の梯子が真っ暗な下階へと延びていた。
やはり倉庫と
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