第5話 月の名を持つメイドたち
この店では婦長を名乗る
次の日からミエルは早速
四人目は
店での仕事はさほど難しいものではなかった。新人である
「
「ハ、ハイ」
「あたしはこっちをやるから
「わかりました、
店では先輩としての自負があるのだろう、
「なんなんだよ、
ミエルはそんな思いを抱きつつもまずはこの店に溶け込むことを最優先にすべきだと自分にそう言い聞かせるのだった。
そもそも接客業、それもメイドだけでなく男の
この店の経営者である
しかし
それは店での仕事の流れもすっかり身についたある日のことだった。店の奥にあるバックヤードへと続く通路の壁に僅かな隙間が開いていることに
「ねえ
すると二人の様子に気付いた
「あら、いけませんわ。建て付けが緩んできてるのかしら。あとで
やはりそれは回転扉だった。壁に模した扉が開いたそこは思いのほか広い部屋だった。しっとりと落ち着いた雰囲気だったがしかしそこに窓がないことにミエルは違和感を覚えた。
すると訝しい目をしながら
「婦長様、よろしいんですか? まだ新人ですよ彼女たちは」
「今はお客様もおられないですし、それにいずれこの子たちにもここの手入れをしていただくことになるのでしょうから」
「そうですか、婦長様がそう言うのならボクもお手伝いします」
「ここは選ばれたお客様のために用意された特別な部屋なんだ。ボクたちはルームって呼んでる。ここでは婦長様がお茶とともに素晴らしい演奏を聴かせてくれる、本当に最高のおもてなしを提供しているんだ」
「これは私のおじいさまが残してくれたスピネットという楽器です。チェンバロに似たとても美しい音色ですのよ」
そう言って
ようやっと
「
「ご苦労様、
この日
案の定それに食いついたのは
あとはこの
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