第38話 クズの対応

 夜、ラムダはその日の被害報告をまとめ、バトラの私室で読み上げていた。


「それで今回の勇者との交戦で重傷を負った兵士への慰労金と壊れた民家の修復代が」

「別にいいよそんなの」


 国の損害に対し面倒そうに、バトラはそう言い捨てた。


「で、ですが」

「怪我なんて回復呪文で治るし家だって全部国で保障してやる必要ねぇだろ」


 回復呪文でもあまり深い傷はすぐ治らないし、手足を切断された場合は神経が上手く繋がらず、障害が残る場合も少なく無い。


 そもそも国の為に戦い、回復呪文がかけられるまでの間激痛に苦しんだ兵士へのねぎらいが無いのは余りに酷い。


 民家も国を守る魔王軍がしっかりしていれば壊されずに済むのだから、ラムダからすればこれは国で失態であり、国で保障すべき事柄だ。


 しかしバトラにその気は無い。


「それよりもうすぐ俺の魔王就任式するんだからよ、その準備に金かけてくれよな、ほら、分かったらさっさと下がれ」


 ばっさりと切り捨てられ、ラムダは取り付くシマも無く部屋から追い出されてしまう。


「…………」


 自室へ帰る中、ラムダはこの国の未来、そして魔族の繁栄について思索する。

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