第24話 魔王VS四天王 開始
「よし、次だ」
レアからレオンの性格、特性、レアの感じた全てを聞き、オルファは行動に移した。
次の日の朝、廊下でレオンの姿を見つけたオルファはその背中を呼び止める。
「なぁレオン、ちょっと封印の塔に行きたいんだけどいいか?」
「オルファ様……ですが封印の塔は我が国の重要文化財、それに無礼を承知で言わせて頂きますが、オルファ様はメル様に与(くみ)する穏健派、邪神復活に関わる封印の塔へのご案内は出来かねます」
「だからラムダに許可取って来てくれよ、魔王不在の今、封印の塔に手を出す事はできないけど見物っていうか、近くに行くことは魔王候補と四天王筆頭二人の許可でできるってメルから聞いたぜ、メルからはもう許可貰ったからさ」
「ですから先程申し上げた通り、そのようなお取り継ぎは」
「大丈夫俺一人だから、魔術の天才のアルムでもお前らの目を盗んでこっそり封印のし直しなんてできないんだ、剣と魔術半半の俺に何ができるって言うんだよ、心配ならお前が完全武装して一緒に来いよ、逆に俺の剣は預けるからさ」
そこまで言って、ようやくレオンは折れた。
「わかりました。ではラムダ様の許可が取れたならば、私が直々にご案内致します」
「ありがとな」
王都から南西に四〇〇キロ、魔の森の中にその封印の塔はあった。
鬱蒼と木々が生い茂る獣道を二時間以上も歩き、真昼だというのに背の高い樹木が太陽光を遮り薄暗いところから急に開けた場所に出る。
「……あれか」
木々の生えない広大な草原には何故か霧がかかり、霧は上にいくほど濃く太陽光をまた遮り、森林の中の空白地帯に出ても薄暗いままだ。
だが霧が特別濃いわけではないのもあるが、その威容は霧の中でも一目で分かる。
五〇メートルはあろうかというその高さは魔王城の物見やぐらにも匹敵する。
ただし塔と言っても中に入る事ができるわけではない。
二千年前の建物なので中の事はまったく分からないが、漆黒の禍々しいデザインの壁面に窓はなく、入口と思われる場所も塞がれているように見え、とてもではないが開く感じはしない。
ヒトが住む為の物ではなく、大陸を滅ぼしかかった最悪の邪神を封印する為の物なのだから当然だが、その禍々しいいびつな形状もあって、言い知れぬ圧力を感じる。
この時、オルファは魔王専用の金刺繍の黒コート姿。
対してオルファの魔剣を預かるレオンは両腕に盾が取り付けられた紺碧の甲冑に全身を包み、腰にはレオンの剣と一緒に自身の愛剣を挿している。
その剣が放つ魔力から、レオンの剣が王国最強の騎士に相応しいソレである事は一目で分かった。
「へぇ、これが封印の塔か、俺の国の奴とはあまり変わらないんだな」
一歩、二歩と塔に近づき、レオンに背を見せて、さらに腕が不自由になるよう自ら腕組みをして、塔に注視しているのが分かりやすいよう見上げながら、
「やっぱたっけーなー……ごほっ」
ザンッ!
オルファがフロントステップターン。
反転し、背後を振り向きながら前へ進み出て、レオンの剣をかわしながらその動きを捉える。
「(計算通り!)」
魔族至上主義者で邪神復活まで目論む代々四天王筆頭を務めるラムダ。
その性格とオルファが会議の時に見たラムダの人物像、今までの状況を鑑みればレオンに自身の殺害を命令する確率は低くないと踏んだ。
当然、魔族至上主義故に魔王である自分を引き込もうとする可能性もあるので絶対ではないが、ここで何もしてこなければまた別の方法を考えるつもりだった。
だがラムダは命令したのだろう。
そしてラムダに忠誠を誓うレオンは王国の為にと剣を振るったのだろう。
しかしレオンは一撃目をかわされると押し黙り、そして腰に挿したオルファの剣を投げ渡した。
「……どういう事だ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます