第19話 浜辺の女神コンテスト!


「さーて今月も始まりました浜辺の女神コンテスト! 今月も珠玉の水着美女達が集まっているから鼻血大放出で喜べ野郎共♪ 司会はみんなのプリティ・プリンセス、メルが務めちゃうぞ♪」


 湧き上がる歓声の中、メルが声を増幅させる魔導ステッキを片手にステージを手で差す。


 装飾が施された巨大なステージの上には三四人の水着美女にアルムとレアを含めた三六人が立って思い思いのポーズを取り、アルムだけ恥ずかしそうにうつむいている。


 水着コンテストは予選と決勝に分かれ、まず自己紹介だけした後、見た目だけで会場の男達が投票を行い、上位一〇人を残し後は脱落と言う血も涙も無い方法だ。


 無論、アルムとレアは魔王であることを言うと会場が灼熱状態になった。


 そうして当然一〇人の中にアルムとレアが残ると続いて質問有りの決勝が始まり、メルが順にセクハラ質問をし続ける。


 けれどウェスター国民の女性達はわざとらしく恥ずかしがりながらヒトによっては笑いながらあっけらかんとノリよく答える。


「では続いて三五番、西の魔王アルム・ウェスターさん、好みの男性は?」

「え、えっと、優しくて、包容力のあるヒトなら……」


 頬を紅潮させて言うアルムに会場の男達から奇声にも似た歓声が上がる。


 というか本物のトップアイドルであるアルムをこんな大会に参加させる事じたい過剰すぎるファンサービスだろう。


 未だ水着撮影をした事の無いアルムのビキニ姿などプレミア物だ。


 強制的に参加させたレアの功績はそれだけで今年のMVPに選ばれる価値がある。


「じゃあおっぱい膨らみ始めたのはいつから?」


 メルの鬼畜な質問に会場の男共が静止し目をギラつかせて、


「い、言えません!」


 湧き上がる歓声は今までで一番だ。


 この国の野郎共は確実に全員何かを患(わずら)っている。


「では続いてド本命! 大会史上最爆乳最露出度の爆裂エロティックダイナマイトレディ! 三六番、北の魔王様レア・ノーザンドさん、トップバストはおいくつですか!?」

「そうだな……」


 指を唇に添えて、焦らすように、たっぷりと時間を置いてから、


「一〇〇センチ……一メートルを越えているとだけ言っておこうか?」


 会場が総万歳状態だ。


 自らの欲望に正直過ぎる変態共は何度も万歳を繰り返しながらその手は空気を揉み続ける。


「では続いて、未婚の魔王レアさんですが、恋人はいますか?」

「現在進行で城に四八人の妾がいるぞ」


 なんてエロイ女だ! と会場が湧くが、しかし今まで程では無い。


 確かにエロエロお姉さんは高ポイントだが、男と言う生き物は独占欲が強く、エロイ体と性格でかつ貞淑で自分以外の男を知らないでいて欲しいと思う。


 女からすれば妄想も甚だしい……


 故に、男遊びが激し過ぎるとマイナスポイントになってしまうのだ。


 これで優勝はアルムの物かと思われた次の瞬間。


「もっとも、我のベッドに男が入った事は一度も無いがな」


 ケダモノ共が沸騰した。


「女同士とはなんという背徳感!!」

「うおぉおお! ムチムチのエロボディが絡み合う妄想が止まらねぇ!」

「そしてまだ処女っ!」

「まだ男を知らない体っ!」

「これほどのエロい体と性格で経験豊富でかつ男を知らないとは!!!!」

「二次元の産物では無かったのか!? 伝説上の存在では無かったのか!!?」

「うぉおおおお! エロ処女キターーッッ!!!」


 今この場にヒュドラの大群が来ても一瞬で焼き殺せそうな熱量である。


 何故か男達に混ざって女性と子供の観客も大興奮だ。


 きっとそっちの世界のヒトだろう。


 子供達は意味はよく分かっていないだろうがその場に流されてとにかく盛り上がる。


 結果は当然レアの優勝。


 トロピカルアワビ一〇〇個はレアに献上された。

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