第15話 無双の3主人公
オルファ達はメルとレオンも連れてバトラ達のいる本陣へ戻る。
今回の戦いで魔王軍の被害はゼロ、これ以上ないほどの完全勝利。
だが問題はその勝利がたった三人の魔王によってもたらされた事だ。
いくら魔王軍が強くとも、いくら人間の軍が弱くとも、重力系最下級呪文一発とただのランニングで兵隊を蹴散らし、四天王でも雑魚とは評せないミスリルゴーレムを最弱攻撃で一瞬にして鉄クズにしてしまう力。
ラムダ達四天王では、同じ結果は残せても、同じ方法と時間では絶対に成しえない。
「見事な戦いぶりだったろうバトラ王子? まずはこの勝利を俺らの手土産として受け取ってくれ」
オルファは、あくまで高圧的な態度で臨む。
こちらは東の魔王その人であり、相手はまだ南の魔王候補の王子様。
現時点では、オルファとバトラの間には絶対的な格差がある。
何も怖じる必要は無いのだ。
「それと、今回の選挙だけど」
ニコリと営業スマイルを浮かべて、
「我らファルガス大陸四大魔族大国の東西と北の三魔王は長女プリンセス・メルをウェスター王国の次期魔王に推す」
『ッッ!?』
四天王とバトラ全員に衝撃が走った。
アルム達も一瞬だけ驚いたが、すぐにその意味は分かった。
「な、何を言ってんだよ、オレらの国の事に他国の魔王が」
「勿論俺達は有権者じゃねぇ、魔王はあくまでも四天王達の推薦で選ばれるからな、だから確かに直接は関係無いかもしれないけど、俺ら三人はメルを推すし、他三国はメルのやり方、思想を全面的にバックアップする所存だ」
意味は分かる。
四天王とて馬鹿ではない。
オルファ達がメルの私室で何を話したかを考えれば答えは明白。
つまり三人の魔王はメルと同じく穏健派で邪神計画には一切手を貸さないと断言しているのだ。
この瞬間、四天王達はバトラが魔王になり、邪神を復活させても三人の魔王と三国を敵に回す覚悟が必要となった。
かつて邪神は東西南北の魔王四人の手で打ち倒された。
魔王三人を含めた魔族大国三国をまるごと敵に回せば、邪神が復活しても、大陸征服の野望はそれほど上手くいかないだろう。
オルファの発言が四天王達に確かな重圧をかけるのに成功した瞬間だった。
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