第11話 師匠との修行
その日の夜。
夕食を済ませた僕は、また地下のドーム空間で、師匠に修行をつけてもらっていた。
今度は武器ありで、僕は右手にロングソードの握っている。
「ギガ・ウィズン!」
師匠は僕の剣撃をかわして、僕の背中に触れる。途端に、師匠の麻痺呪文が発動。僕は全身が痺れて、剣を握る手の感覚が薄くなる。
「まだまだぁ!」
僕は痺れた手足で、精一杯の剣撃を放つ。
師匠は素手でロングソードの刃を弾いて、受け流して、今度は僕のお腹に触れる。
「ギガ・プワゾン!」
毒呪文。お腹を中心に、全身を鈍い痛みが襲ってきた。
「ぐっ……」
「麻痺と毒を打ちこんだ。あとは混乱と眠りで終わりだな」
師匠が僕が状態異常呪文を四つ打ちこむ前に一本取る。それがこの修行の目的なんだけど、僕はただの一度も成功したことがない。
「なんのっ」
僕は一歩踏み込んで、師匠の胸元めがけて全力の突きを放った。
師匠は半身になって鋼の切っ先を避けると、僕の腕を脇にはさみこんで封じた。
「あっ!」
僕の対応は間に合わず、師匠は僕の胸に触れる。
「ギガ・パニシデント!」
僕は頭が混乱して、戦術を組みたてられなくなった。
「えーっと師匠から一本取るためにニンジンを塩茹でにして入浴剤がわりに牛乳を入れます。あと勇者と戦うときは悩殺用の生クリームを忘れないでください。師匠のおっぱいに触ったら僕の勝ちですよね?」
「どういう混乱の仕方だボケぇ!」
師匠の鉄拳が、僕の顔面を打ち抜いた。
痛みが鼻から後頭部まで抜けていって、僕は地面を転がってから壁に激突。
呼吸も止まって、すぐには目を空けられなかった。
頭上から、師匠の殺意がこもった声が降ってくる。
「貴様は……永遠に眠っていろぉ! テラ・シープト!」
常人なら永遠の眠りにつけそうな呪文を受けて、僕の意識は遠くの世界へと旅立った。
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