第2話 爆乳師匠とのバスタイム


「よしレイヴ、お前も脱げ」


 師匠が反転。僕の視界に、師匠の威風堂々たる爆乳が飛びこんできた。


「しっ、ししょうぉおおおおおおおおおおおおおお!」


 師匠の、特別に大きいお尻よりもさらに大きなおっぱいが、隠すことなく余すとこなく僕に突き出されている。


 師匠の爆乳はその大きさに見合った情報量を持っていた。僕のちっちゃな脳味噌の処理能力なんて簡単にオーバーして、頭のなかがヤケドしてしまう。


 粘膜の毛細血管も焼き切れて、鼻の奥が血の匂いでいっぱいになる。


「ほい」


 師匠の手が僕の服を引っ張ると、僕はコンマ一秒で裸になっていた。パンツもはいていない。


「しっ、ししょうぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


 僕は一握りの名誉を守るべく、両手で股間を隠しながら、前屈みなってしまう。両手で押さえることができない僕の鼻からは、真っ赤な血が流れて止まらない。


「なんだバカ弟子。お前は風呂に入る前からのぼせているのか? ほら入れ」


 師匠は僕の左手を強引に取って、お風呂場へと足を運んだ。


 うぅ、恥ずかしいよぉ。


 風呂場への戸を開けると、そこは外だった。


 玉石を敷きつめた地面に、竹で周囲をぐるりと囲まれた空間。天井はなく、青い空と竹塀から顔を出した木々が開放的な風情を生み出している。


 昔、師匠が極東の島国にいた頃に気に入った、露天風呂、というものらしい。


 ただし、周囲には最強クラスの防御結界と不可視結界が張ってあるので、外からは誰も入れないし覗けないらしい。


 そして僕は近くの木桶をふたつ手に取ると、ひとつを温泉の近くに置いた。そう、温泉だ。


 師匠と僕の家は、湯脈のすぐ近くに建っている。


 そこで師匠は、魔法の力で自分の家の庭に湯脈を繋げてしまったらしい。


「よし、では頼むぞ」


 師匠は、僕が置いた木桶の上に豊満過ぎるお尻をむっちりと落ちつける。


 僕はいつものように、もうひとつの木桶でお湯をすくうと、師匠の肩にやさしくかけた。


 それから続けて首、頭、腕、脚にもかけ湯をする。頭皮部分の毛穴がちゃんと開くよう、頭にはやさしく、でも多めにお湯をかける。


 続けて僕は、湯船のすぐ近くに常備してある陶器のなかからひとつを選ぶ。陶器のフタを開けると、なかには自家製のシャンプーが詰まっている。シャンプーを適量手に取って、僕は師匠の頭を洗いはじめた。


 師匠の髪や頭皮を傷めないよう、指の腹でしっかりと揉み洗いだ。


 すると、師匠がやや不機嫌な声で僕に語りかける。


「それにしても、あたしのもとで十年以上も修行してまぁだその程度とは不甲斐ない」

「す、すいません」

「男子三日会わざれば刮目して見よ。男子は三日の修行で別人のように化けるという意味だ」


 師匠の頭にかけ湯をしてシャンプーを洗い流すと、僕は別の陶器から液体石鹸を手に取る。それから、今度は師匠の首筋、そして肩、背中を手で洗いはじめる。


「ならば一ヶ月もすれば十回、一年もすれば一二〇回は化けられる! なのに先月よりちょっと魔力量が上がっただけとは情けない! 違うか!?」

「はい、その通りです師匠ッ」


 僕は申し訳ない気持ちでいっぱいになる。師匠の背中を洗いながら、その背中に頭を下げた。


 僕は捨て子だ。それも人間の。

 生まれてすぐ、森のなかに捨てられたらしい。


 それを師匠が拾ってくれて、育ててくれて、身を守れるよう修行までつけてくれている。


「それでレイヴ、今日の予定は?」


 僕は、師匠の腕を洗いながら答える。


「はい。朝食後、昨晩届いた論文に目を通し、その後ポーション作成。午前十時半に魔王城を来訪。ティア姫様に謁見後、魔王様と昼餐会。帰宅後の予定はまだ決まっていません」

「うん、そうか。ん? おいレイヴ、手が止まっているぞ?」

「え、いや、でもこれ以上は……」


 師匠の首、肩、背中、腕、お腹を洗い終えていま、もう師匠の上半身で洗っていない場所はひとつしかない。でも、そこは……


 僕は逃げるように師匠の細いウエストから手を離す。すると師匠は僕の両手をがっちりホールド。そして、


「ほら、ちゃんと全部洗え」


 僕の両手が、師匠のおっぱいに埋もれた。


 ずっしりと両手にのしかかる圧倒的な重量感。底なしにやわらかいのに、内側から押し返してきて、指を深く食い込ませるほど圧力は強くなっていく。


「ほら、こうやってだなぁ」


 師匠が、僕の手で自分のおっぱいを洗いはじめる。両手が火傷したようにジンジンと痺れて、僕はたまらず鼻血を噴き出した。


「はぶふぅッッ!」


 きもちい。きもちよすぎる。やわらかく、すべすべで、ぷるぷるしていて、もう、なんて表現すればいいのかわかりません。


 僕の鼻からとめどなく溢れだす血が、露天風呂の地面に敷きつめられた玉石を際限なく汚していく。


 けれど、その血はすぐに霧状にかわって、師匠の赤いイヤリングへと吸収されていく。


「なんだバカ弟子。まぁた鼻血出してんのか? 十六のガキが色気づくなんて生意気なんだよ」


 師匠は、僕の両手を豊満過ぎるおっぱいの谷間に挟み込むと、そのまま上下にこすり揉みこんだ。


「~~~~~~~~ッッッ!?」


 両手からの刺激で、僕の脳髄が湯だって動脈が焼き切れた。鼻血の勢いが良すぎて、玉石だけじゃなくて、いま洗ったばかりの師匠の背中まで赤く汚してしまう。


 でも、その鼻血も含めて、僕の鼻血はすべて師匠のイヤリングに吸収されてしまう。


「まっ、お前が血を流せば流すほど、あたしは魔力を蓄えられるから良いんだけどな」


 生き物の血には、魔力が宿っている。生き物の血を集めて魔力のストックをするのは、師匠の十八番だった。


「うぅ、師匠。やっぱり僕から魔力をしぼりとるためにわざとやっていませんか?」

「なんの話だ? ほれ、さっさと残りも洗え」


 そう言って師匠は立ち上がり、僕の目の前にセクシー過ぎるヒップラインが誇示された。その次の瞬間、師匠はくるりと僕のほうを振り向いた。


 しっ、ししょうぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!


「師匠の体を洗うのは弟子の務めだ。真面目にやれよ」


 師匠は怖い顔で僕を見下ろすけれど、僕に怯える余裕なんてない。


 師匠のお尻やふとももを手で洗いながら、僕は大量の血液を師匠に献上し続けた。


 最後に石鹸をお湯で洗い流すと、僕は師匠と一緒に湯船に浸かった。


 温泉はあたたかくて、ひとりのときは気持ち良く入れる。でも、いまの僕はひたすらに反省するばかりだった。


 あぁ、僕はなんてハレンチでいやらしい人間なんだろう。


 僕は後悔と自責の念でいっぱいで、ひとり猛省し続けた。


「そうだレイヴ。今日から修行の危険度を、もうワンランク上げるからな」


 師匠の眼は、悪魔のように光り歪んでいた。


 朝の軽い準備運動程度でも、振れれば致命傷の闇魔法を連発してくる師匠の修行。それを、もうワンランクも危険にされたらどうなってしまうのだろう。


 僕は、心のなかで誰かに助けを求めた。

   

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