第14話 女剣士との思い出
珍しくフィリアから動揺が見て取れる。
「お前は昔からみんなを守る為に必死で、一生懸命で、その為ならどんな努力も惜しまなくて、いつだってみんなの為だけに悪と戦い自分の二の次、勇者学科の誰より勇者してたのがお前だ」
優しい笑みを見せて、ウィルトはフィリアの両肩に手を置いた。
「誰も傷つけず悪だけを倒す救いのヒーロー、六年間見続けた俺の友達フィリアはそういう奴だよ」
フィリアの顔に赤みが挿して、手の平から剣が落ちる。
ガシャン、という音が夜の街にしみ込んで、また静寂が戻る。
「お前との思い出は今でも鮮明に、ハッキリと覚えているよ、俺が騙して無理矢理連れてった海で……」
ウィルトの鼻から赤い雫が流れる。
「『水着ポロリ事件』とか『全裸で風呂場から飛び出し事件』とか間違って俺のベッドに潜り込んじゃった『男女同衾(どうきん)事件』とか『俺の部屋で生着替え事件』とか」
「なぁっっ!!?」
フィリアの顔が首筋から耳まで爆発しそうなほど赤く染まって耳から煙が出た。
「もうお前のアレもコレも全部ハッキリと覚えてるしアソコもココもドコも色艶までしっかりと鮮明に」
「うわぁああああああああああ!!」
ばっこーん!
「ぎゃああああああああ!!」
鋭いアッパーカットが飛びだしウィルトはぶっ飛び、だが一緒にぶっとぶ買い物袋へ宙を泳いで追いつき、自分を下敷きにしてアスファルトに沈んだ。
「よかった、卵は潰れていない、袋に入れる時に卵を一番上にしておいてよかったぜ」
ふぅ、と息をつく。
「思い出っていえばクロエやエリカとも結構タナボタだったよなー『春一番事件』とか『ノーブラノーパン事件』とか『トイレの鍵故障事件』とか『脱衣所泥棒事件』とか」
緩み切った顔で思い出に浸り、
「それ考えるとサーシャって防御が鉄壁過ぎるよな」
と、口を尖らせる姿に青筋を立てながら、フィリアは立ち去った。
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