第960話 ロリが一番えっちな村

 前回のあらすじ。

 お布団には勝てなかった主人公。


 お布団の誘惑から覚めたレイは迷惑を掛けた仲間達に全力で土下座して許してもらい、無事に朝食を摂ってからヒストリアの村へ出た。


「わぁ……レベッカみたいな恰好している人達がいっぱい……」


 昨日到着したのが夜だったので、レイ達はこのヒストリアの村の景色を初めて見る。


 ヒストリアは隠れ里ということで、住民の殆どがレベッカの白い変わった民族衣装を身に纏っていた。


 しかし、よく見るとレベッカの衣装と比べると少し違う。

 

 レベッカの服は白を基調にしているが、村の人達の衣装は黒や赤など色とりどりだ。


 装飾もレベッカと比べると煌びやかさが一段階落ちており、何処となくレベッカだけ特別感があった。


 何より、村の人の他の女性と比べて露出度が明らかに……。


「レベッカって村の中では特別扱いだったりする?」


「一応、神子という扱いでございますので。この装飾も神様に仕える者ということで特別な刺繍と色になっております」


 レイの問いにレベッカは胸に手を置いて自身の衣装の説明をする。


「大地の女神ミリク様の現身……という理由もあって、ミリク様の衣装に限りなく近いものになっております」


「(……なるほど、だからそんな露出がエグいんだ)」


 特に足のスリットの切れ込みがミリク様並である。惜しむ点はミリク様と違ってレベッカは未だに出会った頃と容姿が殆ど変わらない幼女寄りの体型である事か……。


「じぃー……」

「……」


 ちょっと邪な事を考えていたら何故かレベッカとノルンに睨まれていた。


「な、何?」


「レイ様……わたくしを見て頂けるのはとても嬉しいのでございますが……」


「貴方にしては珍しく視線に嫌らしさがあったわ。女の子に嫌われたくないならせめて凝視するのだけは止めておきなさい?」


「は、はい。すみません……」


 二人に注意されてレイは大人しく謝るのだった。


 それからしばらく僕達はヒストリアの村を見て回っていた。


 衣装などは他の村と大きく違うが、他に印象深い点は狩猟が盛んな所だろう。


 時折村の人達が得物を持って村の外に出ていったり、村の中にも弓や剣、槍などの武器が飾られていたりする。


 レベッカが最初に所持していた弓矢などもこの村で拵えたもののようだ。


「それにしても若い人が少ないわね……外に出ているのかしら?」


「……見た感じ、レベッカよりも年若い子供の姿が見られない。もしかして子供の数が?」


 ノルンはレベッカにそう質問する。


 するとレベッカは目を閉じて「ノルン様の仰る通りでございます」と肯定した。


「なるほどね……レベッカちゃんが必死になるのも少し分かるわ」


「隠れ里ゆえ、この村に訪れる旅の方が少ないのもありますが、狩猟に失敗して命を落とされる方も一定数いるのでございます……。

 事態を重く見た村の方々はこの村の事を外界に広めて、この村に訪れる人を増やして村を発展する事を目指しているのですが……」


「レベッカの旅の目的がそれなんだっけ?」


「村が貧困に窮していたという理由もございますが、主な理由はそうでした。こうしてレイ様達がこの村に遊びに来て下さったので、この調子で他の方も訪れて下さると幸いなのですが」


 レベッカは苦笑して話すが、今の所この村で旅人らしい人を見た事は無い。


「……と、少々込み入った話をしてしまいました。申し訳ございません」


 レベッカは表情を緩めて普段の愛らしい表情に戻る。


「ある程度を村を見回ったら、わたくしの父上と母上が住んでおられる神殿へ向かいましょう。少し村から西に離れた滝の近くに建てられております」


「神殿……」


「はい、わたくしが神子であるように、父上と母上も昔は同じ役割を持っておりました。皆様に会っていただきたいので、是非お立ち寄りくださいませ」


 レベッカは笑顔で僕達に神殿に寄る様に勧めてきた。そして最後にこう付け加える。


「特にレイ様は」


「え、僕?」


「はい♪ 父上と母上にはレイ様の事を沢山手紙に書いてお送りしておりましたので、是非お会いしていただきたいです」


「そ、そうなんだ……」


 なんかレベッカの両親に会うのが凄く緊張してきた……。


「さあ参りましょう! あ、でも神殿へ行く前に先に村の大滝へ寄るのですがよろしいでしょうか?」


「え? ああうん、別に良いけど……」


 突然話が変わった事に僕は戸惑いつつもそう返事を返した。

 そして僕達は村の西にあるという滝まで足を運んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る