第835.5話 それぞれの視点
レイ、サクラ、エミリアの三人は仲間と合流すべく密かに行動を起こし始める。
一方、ベルフラウ達は‐——
【三人称視点】
レイ、サクラ、エミリアの三人は仲間と合流すべく密かに行動を起こし始める。一方、ベルフラウ達はレイ達の居場所を調べるために行動を起こしていた。
「あー、我らが創造主ミリク様よ……わたくし達をお導き下さいまし……!!」
レベッカは床に膝をついて両手を上に出して天を仰ぐようにそう叫びながら怪しい動きをする。仲間達はその光景を後ろから眺めていた。
「ねぇ、ベルフラウ。レベッカは何をしてるの?」
ノルンは訝し気にベルフラウに質問を投げかける。対してベルウラウは遠い目をして投げやりに答える。
「女神ミリクと交信するための儀式だそうよ……原理は分からないから私に聞かないで……」
「神様を呼ぶ儀式ってのは確かにあるものだけど……あの子の場合、なんというか……ベクトルが違うと言うか……」
それから暫くして、レベッカは立ち上がった後満足げに口を開く。
「皆様、レイ様達の居場所をミリク様に教えて頂きました」
レベッカはそう言いながら皆の下へやってくる。
「あの、レベッカちゃん? 私の目にはただ大声で叫んだようにしか見えなかったんだけど……」
「いえ、そんなことはございませんよ、ルナ様。わたくしの声に応じてミリク様がお答えくださいました」
「そ、そう……それで、サクライくん達は?」
「どうやら魔物達から身を隠した後に密かに行動を始めたようでございます。おそらくわたくし達と合流するためでしょう。わたくし達と分断された場所に向かっているようでございます」
レベッカの解説にカレンが質問する。
「確認だけど、レイくん達の方はちゃんと三人揃ってるのよね? もし誰かが孤立していた場合、真っ先に助けに行かないとかなり危険な状況よ」
「レイ様とサクラ様とエミリア様は三人揃っております。そして、周囲に魔物の姿も確認できませんでした」
「そう。じゃあ、私達はこのままレイ達の方へ向かうのが良いわね。案内して頂戴」
カレンの言葉にレベッカは頷いて歩き出す。
「え、でもこのまま行ったら私達、魔物に見つかっちゃうんじゃ……?」
「良いのよそれで。私達が魔物を引き付けることでレイ君達は動きやすくなるだろうし、彼らは私達を探しているのだからこっちはわざと目立つ行動を取った方が効率的よ」
「一応、隠れながら動くことも出来るけど、レイ達にまで私達の姿が見えないと困るものね……」
カレンの作戦にノルンが補足を加える。
「では皆様、こちらでございます」
こうして、ベルフラウ達はレイ達を探すために行動を開始するのであった。
◆◇◆
【視点:???】
レイ達とベルフラウ達が別の場所で行動を始めた時、魔王陣営も動き出していた。
「………」
「……それではこちらは勇者レイの命を狙う事にするが、キミもそれで構わないな」
「……(コクン)」
「……相変わらず無口な女だ。何を企んでいるのか知らんが、こちらの足を引っ張るんじゃないぞ」
「……」
レイ達と同じように魔王陣営も作戦を練り、動き出す。片方が悪魔の翼を広げて行動を開始すると、残された方は小さくため息を吐いて呟く。
「……あんな奴にレイは負けない。だけど、あんなのでも多少の時間くらいは稼いでくれるはず。その間に私は……」
残された方も同じく翼を広げて羽ばたいて空を舞う。
「その間に、私もあの女に真実を聞き出さなければ———」
そして、残された者の姿もその場から消えるのであった。
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