第211話 序盤の森に現れるレアモンスター
「……依頼の通りだね。
大型のゴブリンのゴブリンウォリアー、
それに体が金色のグレートゴブリン、それと……」
「もう一匹は、キマイラメイジですね。
これも別件にあったユニークモンスターです。
探す手間が省けて助かります」
「よし、それじゃ早速倒そっか。
エミリア、上級魔法撃てば多分一撃で終わるよね」
「そうですね、ゴブリンウォリアーだけちょっと面倒な相手ですが」
「分かった、じゃあ僕が速攻で倒すから、残り二体は任せた!」
言いながら、僕は剣を抜いて、ゴブリンウォリアーへ駆けていく。
しかし、僕の目の前に、別の魔物。キマイラメイジが立ちはだかる。キマイラメイジは魔法を詠唱しているようで、僕に対して攻撃魔法を放ってきた。
『
僕の頭上に雷の魔法が落ちてくる。普通に食らえばそれなりにダメージは受けるだろう。でも、流石にこのレベルの魔法の対処は心得ている。
「ふっ!!」
僕は剣を振り下ろして、その魔法を叩き斬る。
同時に、僕の剣にスパークが走った。これは、雷の魔法剣を使用した際に起こる現象だ。今のは単純に魔法を斬っただけでは無い。
<龍殺しの剣>の能力の一つに、剣に魔力を込めることで威力を底上げするというものがある。以前なら、単純に威力を上げたり、少し射程を伸ばす程度の補助効果だったけど、今は魔法剣を併用することで、僕が使用できる属性の攻撃魔法であれば、敵の攻撃魔法を吸収し、そのまま自分の剣に蓄えることが出来るようになった。
つまり、キマイラメイジの攻撃のおかげで、
僕は自分の魔力を使わずに魔法剣を撃てる。
「ありがと、魔力を使わずに済んだよ」
僕はお礼を言いつつ、今受けた雷魔法を解放して、そのままキマイラメイジに斬りかかった。雷を付与された僕の剣撃を受けたキマイラメイジは全身を感電させ、そのまま無防備に僕の剣で切り刻まれた。
そのままゴブリンウォリアーへ向かっていき、僕は剣を構える。
ゴブリンウォリアーも僕を叩き潰さんと斧を振り上げるが、
「――<雷光一閃>!」
ゴブリンウォリアーの攻撃よりも僕の攻撃の方が早かった。
雷の力を得た、僕の突き技がゴブリンウォリアーへと突き刺さる。その威力は、ゴブリンウォリアーの鎧を易々と貫通し、そのまま腹に大穴を空け吹き飛んでいって、絶命した。
これで、二体倒したわけだけど、残りは……。
僕は後ろを振り返ると、エミリアに焼かれたのか、黒焦げになったグレートゴブリンの死体が転がっていた。どうやら既に倒したようだ。
「お疲れ様、エミリ――――?」
ねぎらいの言葉を掛けようと思っていたのだが、どうやらまだそれは早かったらしい。僕がユニークモンスターと戦っている間に、エミリアは別の魔物に襲撃を受けていたようだ。
エミリアは空を飛ぶ何かに向かって魔法を放ち、抗戦中だ。
「レイ、終わったのならこっち来て手伝って!
こいつ、結構強いですよ!! 後衛の私だけだと流石に面倒です!!」
エミリアの目線の先を見ると、そこには―――
「――――えっ、ドラゴン? マジ?」
「マジですよ。こいつがこの森の最後のユニークモンスターです」
「うわぁ……」
これは確かに、僕がいないとかなり苦戦していたかもしれない。体長4メートルくらいだろうか。翼竜のような羽が生えており、体色は濃い緑色をしている。
<能力透視>で確認すると……
Lv40 <グリーンワイバーン>
HP700/700 MP100/100
攻撃力340 物理防御250 魔法防御220
所持技能:飛行Lv7 炎のブレスLv10 ドラゴンの爪Lv9
所持魔法:特に無し
耐性:炎攻撃半減、物理攻撃軽減、状態異常無効
補足:空を飛ぶ翼竜型の魔物。
鱗は非常に硬く並の武器では傷つける事すら出来ない。
口から放つ火球の息吹も強力であり、火傷を負うだけでなく致命傷になる。
反面、魔法が使用できず、炎以外の攻撃には耐性がない。
なるほど、成体には遠く及ばないけど、
中堅未満の冒険者では絶対に勝ち目のない相手だ。
「エミリア、まずはこの子の動きを止めて」
「分かりました」
エミリアが杖を構えると、そこから氷の槍が数本飛び出し、翼竜に襲い掛かる。対する翼竜は翼で風を起こし、エミリアの氷の槍を迎え撃つ。
そして、翼竜の羽ばたきで、正面からの氷の槍は全て打ち払ってしまった。更に、ワイバーンは口から火球のブレスを放つ。
「エミリア、後ろに!」
僕はエミリアを下がらせ、剣に風の魔力を纏わせる。
そして、剣を振りかぶると同時に、今込めた風の魔力を解放する。
「―――!」
流石に結構な威力がある!
ドラゴンの火球は僕に到達する前に押し留めたものの、魔法を使ってるわけでもないから、さっきみたいに吸収も出来ないから厄介だ。単発ならともかく連発だと防ぎきれるか怪しい。
「レイ、大丈夫ですか?」
「うん……だけど、あんまり何度も食らいたくないね」
「それなら大丈夫です。もう準備は出来ましたから」
エミリアは僕が攻撃を防いでる間に、別の魔法の準備をしていた。
「周りの状況が見えていないですね。
正面だけで、頭上に展開されている魔法陣に気付いていないようです」
「
エミリアが詠唱待機していた魔法を起動すると同時、
上空から無数の巨大な水の塊が落ちてきて、翼竜に直撃した。
「グギャア!?」
この攻撃は予想外だったらしく、悲鳴を上げながら地面に叩きつけられる。
「レイ、後は任せましたよ」
「うん、ありがと」
動きを止めてくれたならもう十分だ。
僕は<魔法剣>を起動し、剣に
そして、そのまま翼竜目掛けて助走を付けて飛びかかる。
「<氷結飛天斬>!!」
空中で大きく飛び上がった僕は剣を大きく振り上げ、そのまま翼竜に勢いよくぶつける。大層な名前が付いているが、要はジャンプ斬りだ。それに氷属性の魔法が付与されているに過ぎない。
しかし、翼竜に剣が直撃する寸前に、氷の魔力で翼竜の頭は凍結し、そのまま剣の威力で氷ごと頭を叩き割った。
「ふう……」
一仕事終えて、一息つく。
「お疲れ様ですレイ」
「そっちこそ、ありがとうね」
お互いの健闘を称え合い、ハイタッチをする。
こうして、この森の探索は終了した。
僕達は無事に拠点へと戻る。
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