第136話 ゴーレムだらけ

 探索を引き続き続ける僕達。

 周囲の壁や碑石などに書かれている古代文字をノート写す。

 また、全てではないが移動した場所もマッピングしていく。 


 途中、罠があったり、落とし穴のようなものがあったが、

 <罠感知魔法>アンチトラップを使用しながら進んでいた。

 そのため、無事に切り抜けることが出来た。


 そして、途中の通路で別の魔物と見掛けた。


「あれは……ゴーレムですかね」

 複数の金色に輝く石で出来た兵隊のような魔物が徘徊していた。

 金のゴーレムは通路を規則的に動いて、見張っているようだ。


「多分、侵入者用の見張りなんだろうね」

「どうします?」

「そうだね……ガーゴイルのように気配を消して僕が行くよ」

 そう言って僕が物陰から出て近づいていくと……。


『ジリリリリリリリ!!!!』

 金のゴーレムから突然大音量を音の響き渡った。


「うわっ!?」

 思わず驚いてしまったが、どうやらこれは警報装置のようだ。

 ゴーレムは首の部分だけこちらにぐるりと反転させて、

 機械音声で言葉を発した。


『侵入者発見、侵入者発見、直ちに迎撃せよ』

「不味い、見つかった!!」

 僕達は即座にその場から逃げ出した。


 ◆


「何なのよあのゴーレム!」

「いきなり音が鳴るなんてビックリしました」

「侵入者が近くにいると鳴る仕組みなのでしょうね」


 あの魔物は気配や視覚で周囲を感知するわけでは無いのだろう。

 <シーフ>の技能を以ってしても欺くことは出来なさそうだ。


 あの騒音は他の魔物を呼び寄せるためのアラームだろう。

 もし戦闘になって手こずれば違う魔物に襲われる可能性もある。

 進むなら速攻で行かないといけない。


「とにかく先に進もう。このままだとキリがない」

「でも、またあの音がなったら……」

「強行突破か、感知されない位置から一気に仕留めましょう」

 エミリアの言葉にレベッカは強気に答えた。


 依頼は遺跡の踏破だ。これ以上時間を掛ける訳にはいかない。

 僕達は更に奥へと進んでいく。


「――いたわ!」

 さっきの金のゴーレムが相変わらず通路で徘徊している。

 僕達は曲がり角の通路で待機して、ゴーレムが近づく瞬間を待つ。


「今だ!<剣技・風魔法Ⅱ>風圧破

 僕が放った魔法剣がゴーレムに直撃し、胴体部分が真っ二つになる。

 しかし、ゴーレムはスパークを上げながら……。


「――皆さん、距離を!!」

 レベッカの言葉で僕達はゴーレムから距離を取って離れる。


『自爆プログラム作動』

 頭部部分と胴部分のつなぎ目が外れて、ゴーレムは爆発した。

 爆風が収まると、ゴーレムがいた場所には大量の金が散らばっていた。


「……これって、本物の金かな?」

 どうやらゴーレムの内部は歯車や鉄の骨で出来ているようだが、

 外殻は金で出来ているようだ。


「拾い集めてどこかで売却しましょう」

「よし、拾えるところまで回収しよう」


 そう言って僕達は金をかき集める。思わぬ収入を手に入れた。


 ◆


 その後も、何度か金のゴーレムと遭遇したが、

 爆発を警戒するために魔法で遠くから倒すことにした。


<炎球>ファイアボール

<闇の集束>ダークフォトン

 エミリアとレベッカの攻撃魔法が放たれる。

 二つの強力な魔法がゴーレムに直撃し爆発四散した。


「みんな、他のゴーレムが来る前に金を回収するのよ!」


 金のゴーレムの残骸からは金以外の素材が剥ぎ取れたため、

 とりあえずそれをレベッカの<空間転移>で回収していく。


 また、ゴーレムの核は魔石を原動力にしているようで、

 良質な魔石をいくつか入手することが出来た。


「これ全部売ったら結構な金額になりそうですねぇ!!」

「えぇ、旅費もしっかり稼げそうです……!」


 ……盗掘者と同じような事している気がする。


 それから僕達は更に奥に進むことにした。

 今までよりも複雑に入り組んでおり、迷宮のようになっていた。


「ここまでくるとマッピングは難しいわね……」

 姉さんは進むたびにノートの方眼紙に書き込んでいたのだが、

 流石に全部は書ききれないだろう。


「進まなかった通路はもう書かなくていいよ」

「分かったわ。後でゆっくり確認しながら戻りましょ」

 僕達は分かれ道や行き止まりになった道を戻らずに進み続けた。


「……あれは?」

 進んでいる道の先は行き止まりだったが、宝箱が三つ並んでいた。

 そのうち一つは、他と比べて三倍ほど大きい。


「……何か怪しいから、

 横に置いてある小さい宝箱だけ開けてみようか」


 念の為、罠が無い確認したから中身を確認する。 


「……空ですね」

 中身は何も入ってなかった。


「ではこの大きな宝箱は何が入っているのでしょう」

 この宝箱は既に判別魔法で罠が無いことを確認している。

 しかし鍵が掛かっているのか開けることが出来なかった。


「レイ、鍵開けの技術は教わってないのですか?」

「流石に無理だよ、そこまで時間無かったし……」


 ティアさんに教わったのは<忍び足>と<潜伏>くらいだ。

 さすがに一日でそれ以上教わることが出来なかった。


「以前のエミリア様が見掛けた宝箱のような、

 音声で反応する宝箱でも無いようです」


「そうなると……うーん……」

 やっぱり鍵が掛かっているのでは、

 と僕は探るのだが、鍵穴らしいものは見つからない。


「どういう仕掛けかさっぱりだね……」

 僕達が悩んでいる時だった。


『――侵入者を排除する』


 突然声が聞こえたかと思うと、

 目の前の壁が突然開いて中から巨大なゴーレムが現れた。

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