女神様といっしょ！

第28話 お買い物タイム２

　―――次の日

　僕たちは商業区に買い物へ来ていた。

「レイくん、今日はどこに行くの？」

「ババラさんの魔道具屋に行こうかなって。一応買いたいものも決まってるし」

　理由は召喚士（ゴブリンサモナー）の対策のためである。

　積極的に戦いたいわけでないが、万一遭遇した時に為す術もなく全滅というのは避けたい。

「エミリアさま、具体的にはどう対策を講じるおつもりでしょうか」

「召喚士はゴブリンを召喚する以外にも攻撃魔法を使うという情報もありました。

　この際、魔法対策というのは必要だと思うんですよね」

「エミリア、当てはあるの？」

「真っ先に思い当たるのは、対魔法用装備ですかね」

　一応、ババラさんのお店にはそれっぽい魔道具が売られてた気もするけど…。

「他にも、防御魔法とかですかね、ベルフラウさんとか私が習得出来れば理想です」

「何で僕やレベッカじゃないの？」

　自分が防御魔法とか使用できるイメージが全く沸かないんだけどね。

「レイはそこまで魔法の才能を感じません」「酷い！」

　いくらなんでも直球過ぎる。

「いえ、冗談です。

　レイは魔法よりは前衛として働いてもらいたいですから」

「冗談でも今のはキツいって…」

「レベッカさんは確かに使えると良いですが、元々役割多い気がしますから」

　考えてみるとレベッカは弓の狙撃や補助呪文、攻撃魔法、更には盾や前衛もこなす。

　本人は否定するだろうがゲーム的に言うと文句なしの万能キャラだ。

　この上で更に魔法を覚えるとなると負担が掛かり過ぎる。

「私は索敵や鑑定などは別にして、攻撃魔法が主な仕事なんですよね」

　魔法使いだから攻撃こそ正義ってところは確かにある。

「レイ達と出会う前は私はソロでやってたんですが

　今のように人と組む前提で考えるなら他にやれるべきことを増やしたいです」

　……それに関しては僕も同じだ。

　僕は最初に教わったから剣を使っているだけで別に才能があるってわけじゃない。

　だから今は「魔法剣」の練習とかしてるわけだけど。

「ベルフラウさんは、この間のギルド登録のデータ見せてもらった感じヤバいです」

　ヤバいですって、いや確かにヤバいとは思ったけども。

「魔力SSとか何ですか、そんな胸が大きいのに何で魔法の才能すら私よりあるんですか！」

　ベルフラウをぐいぐい揺らすエミリア。

「や、やめて、エミリアさん！」

　姉さん力ないからああいう風にされると振り払えないんだよ。

「というか今日のエミリアテンション高くない？」

「装備更新の時は私はテンション高くなりますよ、レア装備集めも大好きですし」

「エミリアさまの機嫌がよろしくて、わたくしほっこりしております」

　ほっこりって表現はこの世界でもあるんだね。

「ベルフラウさんは浄化や回復がメインなので、

　誰かが怪我したり、敵がアンデットとかじゃないと意外と役割が少ないんですよね」

　一応、姉さんは女神パワーで植物操ったりもするんだけどね。

「基本的な役割が索敵と攻撃の私、

　回復と浄化がメインのベルフラウさんはもっと役割があっても良いです」

「僕は…」

「レイは前衛ですからね、役割として盾（タンク）も兼ねているので意外と重要です」

　自分でもこの辺りは意識して防御力の高い装備を選んでいるつもりだ。

「さて、話している間に着きました」

　僕たちは４人で魔女の家っぽいババラさんのお店に入る。

「ヒイーヒッヒッヒ！いらっしゃい！」

　相変わらず癖のある笑い方しますね。

「ババラさん、魔法をいくらか対策できる装備とかありますか？」

「この間の魔法の霊薬のお代貰ってないよ？　まずはそれからだよねぇ」

「…………」

　無言でお金を支払うエミリア。かなりイラっと来てますねこれは。

「それで、何か良いものとかあります？」

「いきなり言われてもねぇ。そこの本とか見ていったらどうだい？」

　魔法の本でも買えという事だろうか。

「それも考えていますが元々の防御力も欲しいんですよ」

「特に僕は前衛なので」

　もし召喚士と接敵した場合、前衛の僕が真っ先に攻撃を受ける可能性がある。

　そういう意味では確かに僕が一番必要になるとは思う。ただ、お金があんまりない。

「ふむぅ…そうさなぁ……坊主はそこのマントとかどうだい？」

　視線の先を辿ると赤いマントらしい布が置かれている。

「多少魔法に対する耐性があるはずさ、少々値段は高いがねぇ…ヒッヒッヒ」

「確認してみましょうか？　＜鑑定Lv5＞（チェック）」

　魔戦士のマント(SR) 魔法防御+20 魔法攻撃力+20

　自然干渉魔法のダメージを1/3軽減し、自身の自然干渉魔法の威力を1/3上昇する。

「自然干渉魔法？」

「私たちが使う攻撃魔法の事です。それにしてもこれは強いですね…」

　そんなに強いんだ、じゃあ欲しいかな。

「正直私が欲しいくらい。これもう一つありますか？」

　今の所SR級で同じものを二つは見たことない。

「ババラさん、これいくらですか？」

「今溜まってる私の依頼全部今すぐこなしてくれたら金貨６枚にまけてあげるよ」

　ババラさん優しすぎる……。見た目悪魔だけど中身天使だよ。

「姉さんは？」

「この綺麗な服とか良いと思うんだけど……レイくん似合う？」

「えっと……滅茶苦茶似合う」

　肩が露出してて胸元が若干強調されてる白いドレスだった。

　スカートは模様の入った白いスリットと中に赤いスカートと二重構造になっている。

　だ、大丈夫かな、こんなの着せたらただえさえ目立つ姉さんが余計に目立ってしまう。

　でも、僕ももっとこの姿の姉さん見たいし…。

「姉に対してその反応はおかしくないです？」

　え、モノローグ見られた？最近エミリアは僕に対してキツイような気がする。

「全然そんなことないと思います」

　ちょっと綺麗で姉さんに凄く似合うって思っただけです。

「それはオマケしても金貨１２枚だが買えそうかい？」

「レイくんが似合うって言ってくれたので高くても大丈夫ですよー」

「一応鑑定しておきますね」

　聖女のドレス(SR+) 魔法防御+30 物理防御+30

　回復魔法の効果が25％上昇し、全ての攻撃に対して1/10のダメージを軽減する。

　通常の2倍のMPを使用することで回復魔法の射程が伸びる。

「それで、私はSSR級の装備ありますか？」

「どっかの難関ダンジョンでも潜ってきな、小娘」

　ババラさんちょっと怒ってる気がする。

「ならせめていくつか見繕ってもらえますか？」

「はぁ、仕方ないねぇ」

　そういってババラさんはいくつかエミリアに差し出した。

「それでは ＜鑑定Lv5＞（チェック）」

　マジックスカーフ(R) 魔法防御+10 魔法攻撃力+5

　魔法攻撃のダメージを1/5軽減する。

　マジックスカ―ト(R) 魔法防御+10 魔法攻撃力+5

　魔法攻撃のダメージを1/5軽減する。

　守りの杖(SR) 魔法攻撃力+25 魔法防御+10 魔法命中+5

　装備時に「＜魔法抵抗 Lv3＞」「＜物理抵抗 Lv3＞」の魔法を通常の2倍のMP消費で使用できる。

「全部で金貨１５枚な」

　割引なしだとこんな感じなんだろうなぁ…。

「エミリア、お金大丈夫？」

「前回の報奨金があるのでなんとか。最後の杖は結構良いものだと思います、が」

「が？」

「私だけ露骨にショボく見えます、嫌がらせですか！」

「文句あるなら今までのツケ全部払えや、クソ小娘！」

　お金全額払ってなかったのか、エミリア。

「ババラさま、私は盾かアクセサリーなどが欲しいのですが…」

「盾は専門外だけど、こういうのはあるよ」

「では ＜鑑定Lv5＞（チェック）」

　魔法の盾(R+) 魔法防御+20 魔法回避+10

　魔法攻撃のダメージを1/4軽減する。

　対魔のネックレス(R+) 魔法防御+10

　魔法封じ・束縛を1/2の確率で無効化する。

「これは魔法専用の装備だから、他だとあんまり役に立たないかもね、どうする？」

　レベッカは常時装備するわけじゃないから特に問題ないだろう。

「いえ、私にぴったりの装備です。おいくらでしょうか」

「合わせて金貨６枚、改良はしてあるが元々はそこまで希少な装備じゃないからねぇ」

　これで全員分の装備が買えただろうか。

「あとは魔導書が欲しいところですね。適性があるかも見ておきたいですし」

　魔導書の購入はエミリアに任せて、僕はババラさんの元へ行く。

「ババラさん、あの―――これください」

「ん？これは、お前の姉さんが買ってったやつじゃないか？こんなもんが欲しいのかい？」

「はい、使わないと思いますが、念のため」

　ほう……とババラさんはジッと見て、ニヤリと笑った。

「なるほどなるほど、確かに有効かもねぇ、わかったよ」

　どうも魂胆がバレたようだ。僕は苦笑しながら購入した。

　用事を済ませた僕たちは魔道具屋を後にした。

　ババラさんに採取依頼を催促されたので４人で今日中に終わらせることにした。

　◆

「エミリア、この草はどう？」

「それは毒消し草ですね、持っていきましょう」

　毒消し草はこのままでも使えるが、煎じて飲むと効果が強くなるらしい。

「エミリアさま、こちらはいかがですか？」

「レベッカさん、ナイス！それは魔法の薬草です！」

　魔法の霊水の材料となるらしい。これも同じくそのままでも効果はある。

「エミリアさん、これ持って帰っても良い？」

「食虫植物ですね…それ持って帰ってどうするんです？」

「オシャレでいいでしょ？」

　部屋に置くと甘い匂いのせいで虫が寄ってくるので逆効果だと個人的に思う。

「レイくんの部屋にも置いてみない？」

「結構です」

　代わりにお茶目な姉さんを部屋に置いておきたいかな。

　これらはババラさんの依頼とは無関係なもので、調合のために集めている。

　どうせ採取するなら自分達に必要なモノを集めてしまうというエミリアの提案だ。

「エミリアさま、これは何でしょう？」

「これはケムリ草ですね、燃やすと煙が出ます」

「エミリア、これは？」

「嗅ぐと幻覚を見てしまう草です、捨ててください」

　余計なことしてたせいで依頼が終わるまで時間が掛かった。

　New 魔戦士のマント(SR)

　New 聖女のドレス(SR+)

　New マジックスカーフ(R)

　New マジックスカ―ト(R)

　New 守りの杖(SR)

　New 魔法の盾(R+)

　New 対魔のネックレス(R+)

　New ケムリ草(N)

　 その他アイテムを１個入手