第4話「遊びに行くのが難しいんだが」
俺は部屋に戻って制服から私服に着替える。
今日は学校がすぐに終わったため、時刻はまだ午前10時を少し過ぎたほどだ。
友達と遊ぶにしてもこの時間帯から遊ぶのなら一緒に昼飯を食いに誘ったりして、そのまま商店街にあるゲーセンなどをぶらつくのが普通なのだろう。
だが、俺には他の奴らと違う事が2つある。
1つ目は俺に今年から一緒に帰る弟(妹)が出来たこと。
2つ目は俺がスマートフォンを持っていない事により家族に連絡が出来ないということ。
1つ目はまだいいとして、2つ目は今を生きる高校生にとってはかなりの痛手だろう。
俺の両親はかなりの心配性なので、帰る時間が遅くなることを事前に伝えておかなければ、誘拐や事故などありとあらゆる事を妄想して警察に頼りかねない。
そんな事になったら警察の方々には勿論、多くの人に迷惑をかけてしまう事になるのは、容易に想像出来てしまう。
ゲーセンに遊びに行った帰りにいきなり警察に声をかけられて自分を探しているなんて言われたら、もう俺はこの近場ですらまともに出かけることが出来ないだろう。
遊びに行こうにも行けない俺は「そろそろスマホ買った方がいいのかな」と1人部屋で呟くしかなかった。
家でスマホを持っているのは両親ぐらいだ。
俺は何度か両親にスマホを買わなくていいのかと聞かれた事があるが、下にスマホを持っていない弟や妹がいる以上は買わない方が喧嘩や悩みの種が増えなくていいと思った俺はいらないと答えていた。
だが、今年からはモカも高校生になって、両親からスマホを買って貰えるようになる。
俺一人だけが兄弟の中でスマホを持つのが悪いと思っていただけの問題な訳だし、モカがスマホを買うのならば俺もこの際一緒に買って貰った方がいいのだろう。
モカはともかく、俺はこの店で去年から正式に店員(アルバイト)として働いているし、
欲しいものは基本無いため貯金もあるので、
俺は自分のスマホを買う場合は通信料等は自分で出そうと思っている。
そんな事を考えながら、俺はとりあえず1階に降りるのだった。
「ラテ、すまんが今日は昼ご飯は食べてきてくれな。これから開店で作れる暇が無くなりそうだから」と1階に降りたと同時に父さんが俺に言った。
「分かった。
「お前本当に塩上亭で飯食うの好きだな」
「うん、ソルト兄さんの作る飯は塩加減が丁度良くて美味いんだよ」
「そうか、ソルト君に言ったら喜ぶな」
「うん、じゃあ俺はとりあえず塩上亭に行ってくるね」
「分かった、気をつけて行くんだぞ」
「はーい」
俺は父さんに食事代を貰って、子供の時からの俺のお気に入りの店である塩上亭へと向かうのだった。
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