第2話「俺の幼なじみが良い子すぎるんだが」

俺とモカはギリギリ学校に間に合って、靴箱で別れることになる。

「じゃあお兄ちゃん、放課後にここでね」

「おう、店の手伝いもあるし、早く帰らないとな」

「そうだね、朝のホームルーム始まるまで、あと5分だしお兄ちゃんは急いだ方がいいよ」

「そうだな」

俺の教室2年2組は3階にあるためこの時間帯では相当体力がない奴でなければ遅刻は確定になるだろう。うちの学校は全体的に大きく、1階から3階に上がるまでには階段を合計246段上がらなければいけないからだ。

「さてと、登りますか」

そう言って俺はその階段を軽く2分程度で登りきる。俺は身体能力は昔からかなり高い、両親の遺伝であろう。うちの父親はかなりの戦闘狂であり、母親と会うまでは格闘技や賭け試合で生計を立てていたらしい。

今の所父は、生涯で1敗しかしたことがないというのだ。そしてその1敗をしてしまった相手と今はカフェを営んでいるのだから、刺激の強い人生を送っていると思う。そして、そんな2人の間に産まれた子供たちは大人ですら余裕で倒してしまうほどの戦闘力と身体能力を手に入れてしまったわけである。

「うっし、ギリギリセーフ」

「もう!またこんな時間に来て、遅刻したらって考えないの?ラテは」

俺が教室に入って安心していると、親同士からの付き合いで幼なじみの甘味あまあじシュガーにいきなり説教されるのだった。

シュガーは名前通り、結構チョロくて甘々な性格をしている。よく言えばピュアだが、

悪くいえば、信じやすく誰にでもついて行くからいつ何が起きてもおかしくない。

「大丈夫だよ。いつもこの時間帯で遅刻したことないんだからさ。」

「まぁ、そうだけどさ。心配になっちゃうんだよ。ラテは昔から自分が強いのを分かってて行動してるから、悪い人とかにはグイグイいくタイプだし、学校来る時に何かあったのかなってさ」

「心配しすぎだ。それに何かあったとしても俺がそう簡単に怪我をするかよ。昔から一緒にいるんだからそれぐらい分かるだろ?」

俺がそう言ってシュガーの方を見ると

「そ...それは分かってるけど..さ

もしも...ラ...ラテが怪我しちゃったら...

私...すっごく悲しいし...心配になる...よ」

そう言いながら大粒の涙が目からこぼれ落ちている。

「お、おい泣くなよ。俺が悪いみたいじゃないかよ。心配かけてるのはゴメンと思ってるしさ、本当に大丈夫だから泣かないでくれ」

俺はそう言いながらシュガーの涙で濡れた顔をハンカチで拭いてやる。

「うん...ありがとう...」

昔からシュガーはかなり心配性で、俺の喧嘩の後とかも何故か途中から情報を聞いて見に来たシュガーが泣き出して俺があやしてた。

「とりあえず、ホームルームがもうすぐ始まるから席につこうぜ。俺が席まで連れてってやるからさ。」

「うん。ありがとう、ラテは優しいね」

「お、おう」

そんなにいい笑顔で素直に言われると恥ずかしくなってしまう。俺の幼馴染は本当に昔から変わらずいい子のままなんだなと思いながら、俺はシュガーを席に連れていき、その後俺も自分の席に座り、担任を待つのだった。

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