年代記

〇…2……年……月…日

人類は自らの過ちにより全てを…った。70……言われて……人口は…億を切り、もはや滅亡は免れ…。




 これはいつかの日記であろうか。

 既に先住民たちが自分たちと同等かそれ以上の文明を持っている事は確認済みであり、その上で自分たちと同じ文字を使っている事もまたしかりである。




〇2………年7………日

何とした事だ。…………の地に…族が出現した。猛暑……のみならず真冬……えも一…まとわず平然と……ている。……装置の故障により冬は…………もくだらないと言うのに、おかしい。あきらかにおかしい。これがもし……の……だとしたら、人類は……でもない……した……めて……い知ら…………。




 次は何かをの存在の出現を関知したような文章だ。

 猛暑、真冬。おそらくは気候の事だろう。

 ちなみにこの地下の気温は7℃であるが、三人の内誰も気にしていない。




〇……4…年9月……日

あまりにも恐ろしい数字が並ぶ。彼らの………を計算した所、時速……キロで……時間動けるのだ。しかも必要………-は成人男性……分のおよそ半分とも言う。

しかも瞬間最大速度は………キロであり、この……から……まで全速力で行けば……日少々、一般的な速度だとしても十……に過ぎない。これこそ、彼らが人類であって人類でないと言う…である。

それに知っての……、彼らの皮膚は明らかに…………う。極めて……と思いきや、極め…薄……なる。まるで皮膚と言うより……だ。それがもし彼らが……たりえる理由だとしたら、……こそ彼らが人類とは……生き物と言う事……………。




「自分たちが今こうして彼らを知ろうとしているように、この遺跡の住人もまたそうしていたのでしょうか」

「だろうな」

 男二人は冷静にその「分析」を眺め、先住民の知識のほどを理解する。

「でも気に入らないけどね、私らは人類じゃない訳?」

 その一方で、少女が少しだけつむじを曲げた。


 その通りなのだ。


「彼らが人類であって人類でない」とは、彼らこと自分たちが人類とは別の生き物であるかと言わんばかりのそれであり、明らかにまがい物と言う扱いである。




〇………9年5月……日

失われた……をもって連中を撃退した。まったく恐ろしい。人間の……があれとは…………わしい。人類はいつから秩序を……てしまったのか。

だがこの…………大地にて彼らは……した……や……を平気で摂取し、……も作り上げている。どうやら……、いややめておこう。

〇……6…年……月2…日

彼らの………力は異常だ。もし人類の最盛期たる文明を……て臨んだ…………結果は同じだった……し……。一部では彼らに……る……の支配者の……譲る…きとか言う話が出ているらしい。………鹿……!そんな…蛮…生き物に負けて……ものか!




 この二つは戦記だろうか。この地で起こったのかどうかはわからない戦いにおいて、前者は勝利し、後者は敗戦したものと思われる。


 そしてまたしても自分たちが人類であると言わんばかりに振る舞っている文章に、少女は改めて不愉快そうに壁を睨んだ。




〇…27…年1月1日

彼らはもはや…ア……………を完全に占拠したようだ。

それもこれも…………などという輩が彼らとの……を……したからである。

考えてもみろ。

…………でさえも、-………でさえも平然と動き、さらに……でさえも口にして………さないような存在がいつ何時人類を脅かすかわからぬと言うのに。

何より気に入らぬのはその姿だ。そんな存在と共生するなど、まっぴらごめん以外の何でもない。




 さらに次のそれでは、自分たちが人類であるとはっきりと明言している。

「まさかこの地に既に僕らが」

「そんなはずはない」



 この場所には、自分たちが人類であると確信していた何かがいると言うのか。



「生命反応はないんですよね」

「その点はすでに確認済みだ」

 人類を自称する何者かが、この遺跡にいたと言うのか。

 少女たちのみならず、男たちさえも顔に青筋を浮かべ出した。




〇…3……年1月1日

記念すべき……世紀の始まりであるが、そこに祝賀の空気はない。

人類滅亡はもはや時間の問題だ…………。最後の砦であった…………………アにも彼奴らは……し、圧倒的な力をもって支配権を拡大している。

…………………さえも占拠され、…………ンも…………ももはや人類の支配する所ではない。

そう言えばかつて日本と言う国で生まれた…………とか言う………では…ド……は滅んだそうだが、いっそそっちの方がましかもしれない。

……はなぜ、こちらのたった一つの要求を呑もうとしないのか。……なる………築く物として、最低限の……であろうに。




「人類」は、滅亡しようとしているのか。人類を名乗る先住民は事ここにおいてさらなる要求を行い、それが撥ね付けられたことに機嫌を悪くしているのだろうか。




〇……18年…2月…日

既知の事実……あるが、彼らには……心がない。

だからこそあんな風に……を平然と……できるのだ。

かつて確保した彼奴らの……を調べたところ、……………ドにも匹敵する硬度だった。……も、……もしかりである。しかも両者ともそれほどまでに……でありながら弾力を持ち、……のそれと同じだ。

その上彼らの……と…門を調べた所、……は一日に一度、……に至っては……に一度であると思われる。

これらの点から、彼らは我々よりずっと………に生きていると言わざるを得ない。

人類とは、もはや彼らの事だと言うのか?

いやふざけるな!私は、我々は認められぬ!




 次の日記は再び自分たちの生態について記されている。

 その上で自分たちが人類であると言う頑ななまでの意思を示し、必死に抵抗の意思を示している。

 もちろん、三人ともその文面に心を躍らせる事はない。ただただ、嘆息があふれるばかりだ。




〇……2…年……月9日

あれから100年、よくもまあ生き延びて来た……だ。もはや「人類」の……は避けがたい。だがなればこそ、この…リにかき集めた人類の叡智だけは守らねばならぬ。

一日でも長く抵抗し、……として連中にいかに……をむき出しにすることが恥ずべきことか教えねばならぬ。

そうして彼らが少しでも……から人類に近付くのであれば、我々は喜んで滅びよう。

〇……2…年……月…0日

交渉は不調に終わった。

何度訴えかけようとも「不必要」の一言があるのみだった。

ただ……する事のみを拒み、それにより無駄な犠牲を出す事の何がいいのか。

事ここにおいて我々は人類の最後のひと花を咲かせる事を決断した。

全ては自然から身を守るため、その意を示し異性に歓心を集めるため、身分の上下を示すため。最後の最後まで百度、いや千度………を訴え……た………関わらず聞く耳を…………った野……る……にこの世界を奪われる事は実に…しい。

だがどうにもならないのだ。

〇……2…年…1月1…日

AC元年。実に……しい名前だ!…万人だった……が昨日三千にまで減少し、もはや我々の敗北を完全に見切ったからか、あの……どもは……しおった!

……の終わりがこん……とは思わなかった、……たくなかった。確かに途中までは予想できたのだ。だがまさかこうなるとは。

我々を含め全ての………が死に絶え、……なき……になるはずだったのに。

……の手にはかかりたく……。自分で……選ぼう。

さらば……。次の次の地球の覇者が……を行う………な……物でありますように。





 そして最後の3枚。

「おそらく日付は並んでいると思われます」

「9日、10日、11日……」

「この日をもって自称人類は滅亡したわけね」


「人類」が最後に残した3枚。


 最初のそれからおよそ100年後のそれと思われる記録は、彼らの最後の抵抗を示したそれなのだろう事を、この三人は理解した。

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