第十一夜 6

! 花菜!」

 ――また、大婆様が母さんを呼ぶ。今度は何をするんだろう。


「父さん? どこ行くの?」

 ――ほこらのかたわらで、三毛猫になって死んでいた母さんが見つかった日、父さんは私を抱えて里を抜けた。


「花蓮が見つかってよかったなぁ。……ほんで、父親は?」

「見つかってないねん」

 ――違う。父さんは鴨川に放り投げられた。投げたのは、大婆様の隣の爺様。でも、信じてもらえない。


「花蓮、今度はあなたが、この婆のために尽くしてや」

 ――私は寂しくて、つい、指をしゃぶるようになった。大きくなっても止まらないから、アメを口に入れるようになった。



「花蓮! やめや!」

「私も母さんも、アンタの道具じゃない!」


 ゆきがスウゥゥッと風を納める。カッと目を見開き梅子を射す。――そして一言、泣いた。


「――げん!」


 切り裂くように放たれる白い閃光が、身を貫いた

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