第二話 夢見る若菜

 僕は、花が好きだ。自分が、若菜だなんて可愛らしい名前だからだろうか。本当は、この名前も好きだ。だけど、「若菜」って呼ばれる度に、嫌にもなる。女の子みたいって、笑われるのが怖いから。真正面から言ってくる人はいなくても、何となく、馬鹿にされているのはわかるから。

 僕はこのクラスの生き物係で、主に植物を育てている。今、僕が水をあげているのはクリスマスローズという大人っぽい花。植物のことを考えている時は不思議と、強い僕でいられる。周りの目なんか気にしない。だけど時々夢を見る。集団の中に混じって大声で笑う僕の、あり得ない夢を。もしかすると、そういう明るい自分にほんの少しだけ、憧れているのかもしれない。

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