第520話 (幕間)勇者ギャランべーの誕生?

  精霊・妖精界


 そこに、多くの精霊と妖精にいざなわれて、やって来た一人の男がいた。



 元バボン臨時政府大臣ギャランべーである。


 ギャランべーは、未だに貴族が特別なものであり、全ての平民がひざをついてひれ伏す、全ての女が喜んで自分のもとに来るのが当たり前であると、根拠もなしに思っていた。


 そして隠していたが、実は精霊魔法使いであった。


 隠していたのは、ギャランべーの実家にバレたら、間違いなく実家の腹違いの妾の母親をもつ長男に、正妻の末っ子に近い自分が利用されると、徹底的にこき使われる事が、明白だったからである。


 あの、女性保護の法律が出来てから、なんとか自分の立場を保全しようとしていた自分が相続第一位の嫡男から、第十位まで落ちてしまった。


 その中で、かなりの苦労の末に身に着けた力であった。


 権力者となり、実家に復讐をしょうと計画していたので、討伐軍収集の時に長男から第八男まで出陣の徴兵命令書を出した…


 そして、奴らの前で隠していた精霊魔法で大邪神を倒し、実家の奴らを全く働いていないと断罪して爵位を取り上げ、そしてミルト姫か、ルルト姫を妻にして王になるという計画が…


 ギャランべー

「クソ!計画が!全て駄目になった!


実家の父親は、お前がなんとかしろとか言って長男達を出兵させなかった!


何がなんとかしろだ!


それに、大邪神を倒すどころか、なんだあの極寒の大地で戦え?私達が咎人の末裔?


ふざけんな!


オイ!精霊マタ!


本当に、ヨー・ヨウガをここに連れて来れば、俺を王にするのだな!


本当にルルト姫か、ミルト姫を妻にできるのだな!


ついでに、実家のクソ共を処刑するのだな!


お前達の言うことが、嘘だった場合は(精霊)契約違反だから、貴様らの存在が危うくなるのだぞ?


俺も、かなりの危険を犯すのだから、嘘でしたなんて事は、通じないぞ!


わかっているよな!」



精霊マタ

「(クッソー、精霊の言うことをきいたのは、コイツだけとは…とんだ計算違いだ!


 なんでオレが ギャランべーを王にしないといけない?


 なんで、魅了スキル担当でもないオレがバボン王室の姫をこいつの伴侶になるようにしないといけない?


 まぁ…実家に仕返し?


 自分の力でぶっ殺せよなぁ…


 オレがブーストするから、簡単にクズの丸焼きにできるだろ!


 まぁ、なんとかして協力者を連れてこいなんて命令したのは精霊王・妖精王達だからな。


 陛下達に責任をとってもらおう!)





オレの、能力でできると思う?


無理でしょ!

これは、精霊王達と妖精王達の命令だから、全ての精霊・妖精が動いたんだよ!


お前の願いをかなえるのは、王達の管轄だよ!


まぁ、お前1人だけだから、願い事は言いたい放題だろうよ!


追加の願い事を、考えて置くことだな!」



ギャランべー

「追加だと! 精霊王達の出した願い事だと言うのか!


 フハハハ!


 いいだろう!


 詳しく聞こうじゃないか!」



そして、精霊王達の前に来たギャランべー。


だが、このとき精霊マタもギャランべーも、すっかりバホン王が首にかけた、宝具の事を忘れていた。


つまり…これまでの会話とかがバホン王は、もちろんパイン街にも筒抜けなのである。



風の精霊王

「精霊マタよ、他の精霊達はどうした!

なぜ1人だけなのか!」


精霊マタ

「陛下!他の精霊達のことなんて知ったことではありません!


 俺だけでも陛下の命令を遂行出来たのは、かなりいい事じゃないですか!


 ヘヘヘヘヘヘヘヘ、


 命令通りに連れて来たので、あとの報酬とかの約束は、陛下が保証する事になります。


 先に言っておきますね。


 ヨー・ヨウガをこの精霊・妖精界にギャランべーが連れてきた時のコストに見合う報酬は、


 ギャランべーを人間界の王にする事。


 ギャランべーの妻にバボン王国のミルト姫か、ルルト姫とする事。


 ギャランべーの実家に復讐する事。


 

 これが、最低限の条件。


 そこに、あと2つは条件が付きます!


 これは、ギャランべーのする事に対してのコストを、精霊・妖精界のパブリックカウンターで測定したものですので、ギャランべーの無茶苦茶な、要望ではありません。


 正当な対価の要求です。


 なので、精霊契約になります。


 そして、既に精霊マタの管轄を超え陛下達の管轄になっておりますので、ここからはギャランべーと陛下達との交渉になります。」


そう言って、レッドカーペットから外れる精霊マタ!


しかし、王達の側近がそれを止める!


火の精霊王の側近

「精霊マタよ!なぜ許可を得ず下がる!


その、ギャランべーなる者の担当は、貴様だろうが!


 そして、なんだその要求は!


 王の前に不敬であろう!


 奴を、謝らせるのがそんなコストになるわけないだろうが!」



精霊マタ

「コスト計算は、不正が出来ません!


そして、陛下の管轄に既になっているのに、下がるなと?


それこそ、陛下に不敬をせよとの強要ですね!


それに、貴方の管轄の精霊達は、誰もここに連れて来ていませんね?


陛下の命令に明らかに反していますね?


どういうことですか?


精霊マタは、精霊法に則り火の精霊王の側近に対して降格を要求します!」



火の精霊王の側近

「なんだと貴様!!」


火の精霊王

「うるさい! 確かにコストを計算したが…


カウンターが振り切れた…


事態がさらに酷くなったか…


オイ!貴様!側近だとえらそぶっているが、精霊マタの言うとおり、仕事していないな!


仕方ない…


マルダス世界から、精霊ブイブイが変な伝言を持って来たな。


出頭しろか…


ミノタウロス将軍達の義息からか…


オイ!側近!偉そうに言うならお前が直接言ってこの事態を解決してこい!」


そう言うと火の精霊王は、横にいた側近をつかんで、マルダス世界に次元穴を開けて、投げ込んだ!



それを見た精霊マタとギャランべーは、真っ青になる。


土の精霊王

「ギャランべーとやら…報酬は、こちらの要望を達成した時に渡す事になる。


 だが、達成出来なかった場合は、精霊マタとともに処刑されるだろうな。


 覚悟しておけ。」




ゴトリ!



突然、王達の前に音の概念がない精霊・妖精界のはずなのに、音がした!


そして…


ほんの十秒位前に、強制的にマルダス世界送りになった。火の精霊王の側近が…



 首を切られて、槍がこめかみを右から左に貫通していた。


 胴体は、串刺しになっており、鉄の短剣で滅多刺しにされていた…


 しかも…死んでいない…


 生きている。


 死んでもおかしくない状態で死んでない。


 苦痛で、喋る事も出来ない状態…。



ヒィーーーーーーーーーーーーー!  


王達の側近達が悲鳴をあげる。


火の精霊の側近の戦闘力は、側近中でかなり強い!


それが、ついさっき投げ込まれた後に、

串刺しになって、返品の如く…レッドカーペットの置かれていたのだ!


気配がしなかった!


許可されたものしか入れない、この世界の中で1番厳重な場所の結界すら、役に立たなかった。



王達の顔がひきつる!


とんでもない事になった!


一瞬にして、精霊・妖精界にこのことが広がる!


風の妖精王

「時間が経つほど悪化する。


精霊王達よ!勇者選定の儀をするぞ!」


風の精霊王

「フー、やるか! ギャランべーよ!お前を勇者に選定する!


 お前の3つの願いを、ヨー・ヨウガを説得してここに連れて来た時に、叶えよう!


 いいか!ここに連れてくるだけではなく、儂らとの交渉する事を、了承をとって来るのだぞ!


 では!行って参れ!」


その時、ギャランべーの宝具から何かが王宮に放たれたのを、誰も感知出来なかった。


マルダス世界に送られる、ギャランべーと精霊マタ達…



精霊マタ

「俺は、違うーーーーーー!」


とか…叫んでいましたが、送り込まれました。


勇者ギャランべーが、直接パイン街に空から降下していきましたが…


バン!


パイン街の結界に弾かれたギャランべーは、マイークラー街の広場に全身打撲と全体の半数の骨が骨折する状態で、発見されました。


街の衛兵によって、治療院に運びこまれたみたいですが…


どうなるやら…





 

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