第498話 出遅れたバカの喚き!

 マルダスで起こった、地球への援軍行動。


 しかし、ホロン王国とバボン国王がその動きを知ったのは、援軍出発直前の見送りの日であった。


 完全に出遅れた両政府。


 だが、パイン街に苦情を言えるような立場ではない。


 ジャングラー国に問い合わせる。


すると…会議参加要請の国書が出されていたらしい…


しかも、両政府共に…



バホン王国は、国王に謁見できず先王に渡したらしい…


ホロン王国は、国王の身代わり君が受け取っていた。


頭を、抱える国王達…



パイン街に、実はホロン国王がいることを、バホン国王と、ブリザード公国以外知らなかった。


そのことを、ブリードル帝国もジャングラー国も、大邪神も後で聞く。


だが…ホロン国王が、用にかなり他の国王達がやらかしていた事も謝っていた事が、商業ギルドの受付嬢とブリザード公国情報で聞いて、逆にホロン国王に対して感謝と謝罪の国書を送ってきた。



さて、立場が無いのはバボン国王…


先王は、簀巻きにされて移送中…


国民の半数は…亡命…。


残ったのは…うるさい、戦わない貴族出身者だけで編成された軍が多数…。



今回の失敗の原因である貴族至上主義派の奴らが、国王を責める責める!



ついに…


遂に…


ツイニ…


国王が、キレた…


そして、また別の心の制御の紐がキレた!




バボン国王

「わかった! お前たちの主張はわかった。


黄金部隊(だったっけ?覚えてない!)


無敵貴族隊(ふざけた名前だよな~)


戦闘の用意をせよ!


我らも遠征軍を派遣する!


オイ!ギャランべー!お前が総大将だ!


オレは、今からパイン街に行って謝ってくる。


出兵だ!3日後には出発だ。」



臨時政府になり、人手不足につけ込んで成り上がり、軍務大臣になった貴族至上主義急進派の男が、


ギャランべー・ド・トース(だったかな?)


であった。


たしか?没落した元公爵家派トース家子爵の長男であった。


出世の為なら何でもしてきた男で、生き字引的な役割をしてきた為に、汚職洗浄を逃れて政界で生き残ったのだが、実は後継者をこっそりと王も育てていたので、そろそろ言いたい放題のギャランべーをしめようと、思ってはいた。



ギャランべーは、オレの春が来たぞ!なんて叫んで準備に執務室に帰って行った。


急いで、マイークラー街の冒険者ギルドに魔導通信でパイン街に緊急の出兵の事で行くことを告げて、すぐに許可を取るように言う。


冒険者ギルドが、なんと言おうと通知だけ出せ!と命令する。


そしてバボン国王は、馬車に乗って出発した。



今から出発して…移動に一日半かかるよな…


まぁ寝ないで帰って来たら、間に合うか…


絶望的な状態での、計画である。



ホロン国王は、パイン街でこれまでの国王達がやらかした事を、自分の責任も含めなんとか、挽回の機会を欲しいと用殿や、代理管理者様…

そして、見守り役のミノタウロス軍団にも陳情していたから、かなりスムーズに地球援軍出兵が進んだ事が、ブリザード公国や商業ギルドの情報からわかった時点で、ほぼ英雄扱いになっている。


だが…それに比べオレは…



あぁ…あれは、第2関所か…


アレ?第2関所?



ハ?!



景色が、ものすごく早く流れている?


え?


第2王子?ミルト・ラ・バボン(女性)

「ハイ!お父様!胃薬です!


一気に飲んで下さい。あと3時間でパイン街に着きます。」


バホン国王

「ハァ?オイ!ミルト!なぜこの馬車にいる!


え?御者はルルト(三女)がやっていのか!


どうして…」


ミルト(バボン側)

「王国民が、疫病に罹ったけど貴族が対応義務の職務放棄をした時点で私達は、パイン街に行きまして野戦病院の開設を頼みました。


その時に、用様の代理の管理者様から、こういった事が起こる可能性が有ることを、用様が既に予想されていた事を聞いて、高速馬車用の道の整備を既にしておりました。


私達が、なんとか管理者様に会ってもらえるようにしますが、後は国王陛下の言葉と行動次第です。」



このとき、父とは言わず国王陛下と言った娘の言葉に、何か恐ろしい事が起こる予感を、バボン国王はしていた。


だが、派兵そのものが既に恐ろしい事をであるので余計に胃が痛くなる。



3時間も経たずに、わずか一時間で着いた。



ルルトが馬にハイヒールをかけて、疲労回復をさせていた。


そして、パイン街の大門に入る。


通れるのか??


ルルトが、馬車から降りる。


門番に何かを手渡す。


そして…地面に座って短剣を抜く所が見えた!



ハ……………!


イカン!


まさか!



だが…………、私が馬車の扉を開いて出ようとした時に、腹に短剣を突き立てようとしていたミルトの前に人影が現れ、短剣を手で止めていた。



ヘル・タイガー

「主からの、命令です。なりません!


剣を収めなさい。」


そして、御者台でもものすごくオーラをまとう方にルルトが怒られていた。



そして、パイン街に入る。


私…バボン国王は、情けなくて情けなくて、これまでの用殿に取っていた態度から思いつく事を全て謝罪した。


そして、今回の成り行きも、洗いざらい自白?自供?説明?もういいや!とにかく、しゃべったのだが…



反応が…アレ?


冒険者ギルドグランドマスターのマットがいた。



マット

「ルルト姫が、ここに爆走していた時に、変な集団をムチで蹴散らしていたのを覚えている?」



ルルト(バホン国王三女)

「ハイ、(われは、王よりも偉い)とか言っていたような事を言っていましたが、こちらも用様の予言の通りの事が起こっていたので、迷わずムチでシバいて、道を開けたのですが…」



バホン国王

「国王よりも偉い?  ここに来るときの道の途中?あ! まさか…!」



ミノタウロス・ボルッキー将軍

「あれ、バホン先王達だよな! あれを見て爆笑していたのだよ!」


ヘル・ウォッカ

「フフフフフフフ!いいでしょう。

タイガーも爆笑でしたし、やっとバボン国王も主が何を怒っていたのかをわかって来たみたいだから、今回は私が動きましょう。」


ヘル・タイガー

「いいのか? 主は今、デストピアのネズミ退治をしているからなぁ。


 返信が遅れるだろう?直接いくのか?」


 デストピア…!バボン国王が、事の重大さをやっとわかって…いや…貴族達の報告のいい加減さをやっと身にしみ出した。


 そして、改めて今の世界情勢と地球情勢を聞くことになる。


 確かに、これまでのやらかした事の挽回のチャンスだが…


 あれ…景色が…ぼやけて…



 ドサッ!


 バボン国王が土下座したまま、倒れた。



 命の危険はない。


 寝不足と、疲労だ。


 ヘル・ウォッカは転移で、でかけて行った。


 バボン国王は、用賀邸の客室で寝かされる。


 そこに、地球からヘル・キャットの使い猫と、共に新たな地獄管理者達がやって来た。


 ヘル・キャットの使い猫は、ユグドラシル達からミルトとルルトの苦労話を聞いていたヘル・キャットが、意志の疎通を正確に早くするために部下の猫を派遣したものだ。


 



 そして、ここデストピアでは…


 用!達は、こっそりと城の兵士達の後をつけていた。


 兵士A

「オイ!なぜこんな事をしないといけない!


あの、騙され勇者の現状確認なんて…」


 兵士B

「聞いたか?今回の賭博の絶望パレードが、失敗したらしい。


 しかも、ネタバラシ中だったそうだな。

 

 国王と、王族が行方不明。


 魔王役達も行方不明。



それで、ひょっとしたら他の奴を探している可能性になったらしい。」



兵士C

「それだけではないぞ!


次回の賭博の仕込みの勇者が、隣の国の暗殺部隊と入れ替わっていたらしい。


つまり、召喚勇者四人が行方不明だ!」



兵士A

「オイ!それだと、次の賭博どうするんだよ!


出走勇者がいないじゃないか!


まさか!だから、コイツラを解き放って、別の賭博を開催するのか?」



兵士C

「その可能性もあるな!


なるほど、お前頭いいな!


そんな発想は、なかったぞ!」



その三人を、呆れ顔で追跡する用達。




そして来たのは…墓場だった。


あれ?


死ねないのに、何故墓場?




すると…


日本式の墓石が、場違いに数基あった。



兵士が、墓石にムチを打つ!


兵士A

「オラ!喋れ!」


バチン!


すると、墓石が自ら苦しみ出すようにネジったり動き出す。


兵士C

「無理だよ!念話すら出来ない、坊っちゃんだったからな!


 まぁ、日本式の墓石にしてやったのが、まぁ俺たちを笑わせてくれたな礼だ!」


兵士B

「どうだい? 力も無い!念力すら無い!そんな奴が、チートスキルもらって、やりたい放題出来て、そして聖女達とハーレム?


 いい悪夢(ゆめ)だっただろう?


 お前が、勇者の特権とか使って、カワイイ女の子を鎖で縛って襲ったのが、


 実は既に女がネズミの集合体にすり替わっていて、幻術にかけられたお前がネズミを襲う姿を画面越しにライブで見た時は、腹がねじれるくらい笑ったぞ!


 いやーあれは笑った。」



それを聞いた墓石は右に左にブレて、なんとか兵士にふれようとするが、そこにムチを撃たれる。


そんな、元勇者の確認を10体分した兵士達は、城に帰って行った。


用は悩んだ。


襲ったのか…


このまま地球に直接送っても、この墓石の呪いは解けるのか?


そして、解けても…


うん、一度呪いを解かないといけないから、マルダス世界に送ろう。


そう決めて姿を表す。


墓石達が、びっくりしたような反応をする。


すぐに、簡単に説明してマルダス世界の特設保護センターに送った。



その時、転移して来たものがいた。


ヘル・ウォッカだ。


事情を聞くと…


用!

「次元跳躍の出兵の許可かよ…。自己責任を徹底してくれよ!


 ハァ…


 なにかのボーナスステージとかと、間違えてるよな~。」




ミルト(バボン側)の腹切り未遂を聞いて、使い猫の行動許可を出すことになってしまった。


 ウォッカが帰った後、拉致被害者を探しを再開した用達であったが、なかなか手間のかかる仕事になったと用達は、ため息をついた。





 

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