第490話 ヘロヘロの大オババと帆山…

 (帆山視点です。)


 杉谷が、王都の下水工事を前に実行した。


 それは、今の既存の下水道の地下にもう一本下水道を掘って、下水の流量を2倍にするものだった。


 あとは、処理施設を2倍にしてスライムを4倍にしていたが…


 が…


 そう!


 王都の疫病の発生で、その…

 

 下水量が増えたのだ!


 そして…


 バボン臨時政府側の嫌がらせ政策により、疫病疾患者が、王都に流入を始めた。


 その数、王都の3倍!


 すでに野営地での野戦病院が広がっている!


 近隣の旧王都跡地を再整備してついでに、新王都(現在の王都)遷都時に吸収した近隣の街3つの旧街も、整備している途中だ!


 足りね〜


 人員が足りね〜


 だが、大邪神様が力仕事を積極的にやってくれるから、河川工事がたった一週間でできたのは良かった!


それも、川を3本もだ!


 井戸水が汲み上げ過ぎて、水位が下がってきたので、かなり水の供給が危なかったのだ。


 そして、なぜそんなにとんでもない事になっているのに、持ちこたえることができてるかって?


 どこかの商店が、激安でピンポイントで物資を流してくれるからなんだよな…


 いくつかの商店経由で、分かれてれ物資が流れているが、供給しているのはヨーガ商店だろうな…


 則子の話だと、あいつは凄腕の経営をしていたみたいだ…しかも…小学校から…


 ハァ…


 オレの立場が…


 まぁいい…


 今の苦境と忙しさが、何故か心地よい。


 さてと、10の旧街と旧王都の共通点…

 

 それは遷都の理由でもある、下水道が無い事である。


 つまり…何回も議題に上がっているのは、この国…下水道が、まじでない!


 そして、全く…労働基準って奴が法整備してないのだ!


 この2つは、まじで何回も議題になる!


 だけど…専門職が少ない…いわゆる人手不足が根本的原因だから…なかなか改善されない。


 マジで困った!


 オゾン発生装置かよ…


 日本でも、どこかの自治体が作っていたが、まぁあのパクリものを作るしか無いよな…


 実は、前に作った事があって稼働しているが…


 その…


 水槽用のエアポンプの先につける、パブル発生機にオゾンを送り込むだけのやつなんだ…


 いや…


 うん…


 日本基準だと…詐欺だと言われても…しかたないよな。


 それでも、水質は少しだが、良くなったのだが…


 イメージ図だけ描いて…フッカケ商店にオゾン発生器を発注した…


 いや…うん…まる投げです…。


 もう、教師のプライド?なんて焼却しました。


 今?下水道掘ってます!


 上水道と下水道製作には、錬金術師と鍛冶職人見習い達に頑張ってもらってます!


 なぜ錬金術師?


 土からアルミを精錬してもらっているから!


 アルミで固定金具を作るのと、ジェラルミン(飛行機のボディの素材)を作ってもらい、汚泥をすくい上げてスライム処理する広場?施設の素材にするためです。


 あとベッドのフレームとか、木造家の金具とか、かなり必要!


 鍛冶師には、銅の上水道の管を作ってもらっている。


 なんとかなるかなぁ?なんて思っていた…



 だが…


杉谷

「亡命者が来たぞ~!」


疫病患者の集団が、バボン臨時政権から追われてやってきた。


受け入れる!


それが、今の大邪神?政権の方針!


大オババ

「スライムは、確保出来た。じゃが…まずいな…

食料が、足りんぞ!」


最近は、大オババが真面目に仕事をしている。


大オババというだけあってます知恵が凄い!


硝酸塩とか、エタノールとか、すぐに作ってしまう。


そう!合成肥料とか、まじで簡単に作る。


だが、食料生産が間に合わないらしい。


そうだよな…


臨時政府側の貴族の奴ら…


畑を荒らして搾取するだけで、整備とか全くしない!投資しない!


栄養不足になった村民達は、抵抗力が無くなって疫病にかかる!


そうなると、臨時政府側の貴族は疫病に罹った村民を追放する。


追放するときに無理矢理、牢獄馬車と呼ばれる鉄格子の檻の馬車に乗せて、大邪神領に置き去りにする!


その繰り返しだ!



来客らしい…


フッカケ商会

「オゾン脱臭浄水装置を、お持ちしました!」


ハァ?


おい!発注したのは3時間前だぞ!早すぎね?


昨日の夜中にオゾン発生装置がパイン街から倉庫街に送られて来ていたらしい。


その荷物に手紙が添えてあった。


叔父さんのマサキからだった。


賢者と呼ばれているらしいが…


え?


とんでもないことが書いてあった。


ジャングラー国に話をしたから、取引しろ?


食料の事らしい。


なんでも、主(おそらく用賀の事だな)の代理様から許可が出たから、ジャングラー国の国王に要請して、食料を売ってもらえるようにしてくれたみたいだが…


前にバボン貴族達が勝手に、食料取引を断ったりとかするから微妙な関係になっていて、杉谷がてんてこ舞いで、貴族をシバキをかけているが、なかなか直らない状態だ。


今度は、大邪神様の認可状を出してもらう!


大邪神様は、治療院でヒールの連射をしていた。


簡単に認可をもらう。


国交正常化したいと。国書を出した!


なんとか食料問題が改善出来そうだ!


そして…ヒールをかけてもらい、身体が軽くなったので、冒険者ギルドに行った。


下水道作りのバイト募集と、薬草採取の発注と、ベット用の草の採取の発注だ。


それに、都市外周警備隊の期間契約をしないと!


最近ゴブリンが、暴れているからその警備だ!


もう、夕暮れか…


城に帰る。


最近、ある貴族の地下牢から救出された美人親子達が、城のメイド隊に加わった。


何でも、1番上の姉が、前の勇者パーティの一員に成ってから、バボン先王達に家族が拉致されて酷い目にあったらしい。


アンチバボン!いいね!


その事で、冒険者ギルトに生き残った家族の事での情報がないか協力を求めると明日、とある街の冒険者ギルドマスターが来るらしい。



忙しいな…


栄養剤替わりのスタミナポーション飲んで、その日は寝た。



 

 時の変わり目?とはこのことだろう!


 バボン貴族に監禁されていたメイドさん親子達の親族かもしれない方々がやってきた。


 うわ!美人だな!


 あれ?


 お!叔父さん?


 すぐに解った!うちの母親の爺さんにそっくりだったから!


 あの美人は、パイン街冒険者ギルドのギルドマスターやっているドリスさんらしい。


 わかる…なんてオーラだ!



 周りの空気が歪んでる!


 あ!ヤベ!


 マサキ叔父さんと、オババ達は仲が悪かったのだよな!


 うわ〜会合しちまった!


 マサキ

「オヤ!お久しぶりですな。オババと大オババ殿」


オババ

「戦争を起こすつもりはない。謝る。謝りきれんことは自覚しとる。」


大オババ

「同じく。だがこの身体を見ればわかるだろうが死ねないのだ! すまん。」


マサキ

「重ね重ねの事になるが主に、今の現状を報告している。そして黙って見るとの主の意向を得ている。だから、私も黙る。今、やっている事は間違いではないとの判断も得ている。だから邪魔するつもりもない。


それと既に知っているだろうが、巫女達はユグドラシル様に会われた。


そして、今修行中だ。


今日、私がここに来たのは、この薬を届けに来たのと、地獄管理者ヘル・タイガー様からの信書をサイザー様に渡すためだ。」



へ!?


地獄の管理者!!!!!!


急遽、大邪神様が来られ謁見となる。


大邪神(元大教皇 サイザー)

「そうか…ヨーはそこまで事態を先読みしていたか…


つまり…この疫病は、旧地球時代にバラまかれた生物兵器の残りを、また外道諸国連合の奴らが散布したということか…


 え?ワシ…人に戻れるのか?マジ?」


いろいろ書いてあったらしい。


詳しくは、知ってはいけないのだろう。


いずれ知ることになるが…オレの頭の情報処理が追いついていないから、また後だな!」


そして、なんと感動の再開をしいたメイド親子達の弟さんが下水道工事を手伝ってくれた。


すげーーー!


なんて速さと、そしてスタミナ!


鉱山夫をやっていたみたいだが、死を乗り越えてその経験が全てスキルになったらしい。


石が、豆腐のように切れて敷き詰められる。







二時間後…


出来たよ!できちまった!


はやすぎるだろ!チートではない!


マジものの熟練された経験と技術からの作業だ!


下手に手伝うと、足手まといになるから、かなりの熟練度の高い職人を選抜して補助に徹してもらったが…すごいな…


そして、次の都市も増設出来るように下水処理場が、3つも余分に出来た!



と、いうか…


「多分(下水処理場が)いるかもしれん」と、用賀が言っていたらしい。


そしてメイド親子共々、パイン街に移住していった。


お土産として、俺たちが開発した(冷やし飴)味のポーションを渡した。


マサキ叔父さんは、笑顔だった。




あー疲れたな…


今は、夕方か…


それから…


疲れたので、椅子に座り…



寝た…アレ!




ここは?



白いきれいな部屋だな…


ハァ…


このマルダスの世界に来た時の白い部屋が、

用賀曰く、汚いと言っていたのがよくわかるくらいきれいだな…


おお!清らかな光る人?がいる。


そうか…


オレは…まぁいろいろやらかしたが…

悔いは…


光る人?

『えー、死んではいないけど、死にかけ状態ですね! マルダス側の地獄から、挽回のチャンスをやってくれとか、珍しい要請が来てますね。


 ほ~! 死から救った関係者が百万超えて二百万人に今、なりましたか。


 体力の限界を超えて生命力を直に使ってって…


 あれま!珍しい人からも、沈黙を持って様子を見るなんて裁可が下りてますね。


 まぁいいでしょ!


 今から、地獄での手続きに入ります!


 おそらく復帰ですね!


 あ〜地獄に落ちるのではなくて、地獄で現世復帰の手続きすることになるから、おそらく大丈夫と思う。では!』



 そして、いきなり…


 真っ暗な世界になった。


 そして…


 ヒーーーー!


 ごめんなさい!


 ごめんなさい!


 ごめんなさい!


 ここがどこか解った!


 ここで働いている方を見てわかった!


 そして、今、オレは幽霊だと解った!


 大王様の前に出る。


大王様の側近様

「大王様、この者に対し、炎獄火炎大帝様から


「もう少し仕事させろ。」


そして、そのあの方は黙って見ると、観察処分らしき裁可が下りているみたいなのですが…


どうしましょう?」


大王

「鏡の前に立て!


うむ!酷いこともやらかしているな。


救命事業中の過労死扱いか…


電話をかけろ!」


大王様の側近様

「あの方の代理様ですね。すぐに!」










アレ?


ここは…?


あぁ…医務室か…


そして、見たこと聞いたことを大邪神様に報告する。


大邪神

「うん??? というわけは…ヨーは…そうだよな!管理者権限どころか…いや…これ以上は考えないでおこう。


 帆山の倒れた原因はムチの打たれすぎだな。


 血管の損傷が全身にあった。


 だが、我々は生きる事を許可されたのだ。


 この事業を進めよう!


 そして、杉谷と則子も休ませよう。


 病床の確保と、食料問題の改善と、看護の経験者が増えたから、現場が急速に改善した!


 あと、水の神様と精霊に謝りに行かないと。」



その後、大邪神様とオババが湖とか池とか周って祭壇を組んで謝罪していた。


日本では、古い慣習なんて思っていたが…


実際に水神様や精霊に会うと、

笑えなくなった。


日本でも、見えてなかっただけだったとは…


もっと、スライム増やして水をキレイにしますとか、謝り倒した。




スライム捕獲と、下水処理場をフル稼働させる!


処理水の池を作り魚を放流する。


生きてるな!


よし!


合格点なのでは?




それにしても、人間…住めるところがあるって、大事だよな…


重症でも、病院のベッドに寝るとかなり様態が良くなる。


そして、


(住む家を斡旋する!)

(バボン側よりも低い税!)

(しばらくの間は食料も、無料配給!)


これが、精神的な負担を軽くするのだろう。


全く、略奪とかが無くなった。


配給で足りない分は、屋台村で食べてもらう。


もちろん、起業?とか屋台を始める?とか大歓迎だよ!


魔獣討伐依頼をかなり出す。


だが、それ以上に…植物由来のソイミート?


確かに…食糧難の事を考えると、なかなかいいな…


地球でもヨーロッパは、積極的に導入しているらしい。


氷河期に備えているとか、いろいろ言われているが、タンパク質を安く供給量を多く提供出来ないと、都市人口を保てないから必然的な答えなんだろうな。


その頃…杉谷が、バホンの少し前に廃爵された元公爵邸の2重地下室を発見!


かなりの金銀財宝が出てきた!


まだ、没収されていなかった物が出てきた!


そして、その教訓から他の元公爵家関連施設を捜索すると、3重地下室とか、出るわ出るわ!


ウォー!


ヤバい国家予算が、なんとか立ち直ったぞ!



4日後…


バボン側からの亡命者が、途絶えた。


不審に思った杉谷が冒険者ギルドに斥候を雇って情報を収集してもらったらしい。


(その時、俺は2日間寝ていたみたいだ。)


亡命者受け入れは、冒険者ギルド本部にも受けがよく、国家対立には手を貸さない信条なのだが、救命施設と住宅の供給量の計画に必要な情報収集という名目で、クエストを受けてくれた。



バホン側の村…


人が、いなかったらしい…


そして、街も…


バボンの上半分の地域は、大邪神領に移動。


そして、下半分はパイン街に移動したらしい。



え?


おい!まさか!

(報告書を読み進める)


そして、バボン臨時政府の王都は人がほとんどいなかったらしい。


ハァ…


だよな…


駄目じゃん!


そして、オレは次の課題が、解った。


仕事を作らないと!


バザール?マーケット?

もっと商店街みたいな所を作らないといけないな。


あと、学校!増設!


結婚相談所!(オレの為でもある!!!)


日本経済不況の原因からも解っているが、不動産と土木事業が収益大にしてしまうと、必ず経済が失敗する!


もっと、広く多くの職種が認められて活動出来るようにしないといけない。


商業ギルドと、相談しないと。


それと、警備団とか治安をよくしないと。


2日に1日休む事になったが、


まだまだ忙しい!






□□□□□□□□□□□□□□□


その頃…バボン側では…


議会


某貴族

「病気になった者を追放する!


この正しき判断により!ついに我が領地を含め王都からも病人がいなくなり、健康的な都市になりました!



無断で実行したとか、かなり責められるが正しき事をやった我に、王と言えど失礼な事ではないのか!


う!


ゲボッ!」


「うわ! 疫病に罹っているぞ!


皮膚に斑点が出ているじゃないか!


なぜ、そんな酷い状態で議会に出てきた!」



「衛生兵!出動しろ!」


バボン国王

「貴様が、許可すら…議題にすら上げずに、勝手に追放ばかりするから、医者も自主的にパイン街に亡命したよ。


 もうこの国には、医者はいない。


 宮廷医は、倒れた。


 薬だけはある。


 だが、この国には民が半分以上いなくなった!


 どうするつもりだ!


 また、勝手に増えるとか言い出さないだろうな!


 民が帰ってくるような施策とかを、考え出せ!


 もし、出来なければ廃爵だ!」


議会は奮叫する!


だが、全然いい案なんて出ない!






 

それを伝え聞いた、パイン街の者達は開いた口が塞がらない状態になったらしい。




(再び帆山視点)


そして…ある日、大オババにブリードル帝国から、また?贈り物が来た。


大オババの残りの身体のパーツだった。


(本人が思っていたよりも、細かくバラバラになっていたらしい。)


大オババは、泣きながら身体を元に戻しそして疲労回復の為に2日寝た。


則子も疲労困憊で寝ていたが…


オババが則子を鑑定した結果…


なんと聖女のスキルである[聖女波動][聖女の吐息][聖女眼]を獲得していたらしい。


ただ階位の欄に、(聖女)って表記されるらしいが、(っポイ)ではなくなったが…


(中級治癒師)らしい。


まぁ…聖女の道はまだまだってことだよな…





□□□□□□□□□□□□□

バボン王国(疫病編)が一旦終了です。


バホンというか…マルダス世界も

デスムーン墜落編に向かいます。

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