第99話 ブリードル帝国の誤算2
ブリードル帝国内・宮殿執務室
帝王は荒れていた。
勇者達は有能ではないが、しっかりと戦闘をして我が兵士よりも、いい成績を残している。
しかし、敵が多い。
天候不順で作物も、少ない。
ポーションが、足りない!
なので、兵士が回復するのが遅い。
兵士が動けないのは、まずい!まずい!
そこへ、帝都の商業ギルドマスターが召喚勇者しか効かないが、下級ポーションの半値で中級の効果がある古文書に記されたポーションをバボン王国から仕入れられると言ってきた。
宮廷魔道士達が、そんなもの聞いたことが無いと口々に言う。
しかし、商業ギルドマスターが試供品だと言って5本持って来たらしい。
帆山という召喚勇者を連れてきて帝国兵士をと共に、その特殊ポーションを飲ませて効果を比べてみた。
帆山も、我が兵士も包帯だらけで見ているこちらも痛々しい。
帆山のキズにポーションを直接かけてみたら、キズが光ってゆっくりとだが治ってゆく。
しかし、兵士にはなんにも効果がなかった。
あと3人の兵士に試しても、同じだった。
皇帝
「うむ勇者専用か、だが経費は浮かせられるな、財務大臣どう思う?」
財務大臣
「は、いい案だと思います。
中級だと下級の4倍の値段ですが、これだと中級を買ったとしても8分の1に経費が削減できます。」
実は皇帝陛下、若い頃から武術は得意だが暗算とかは苦手であった。
皇帝
「よしギルドマスター、あるだけ買え!」
商業ギルドマスター
「はっは~。
あと陛下、賞味期限が一ヶ月なのですが半額で買える下級ポーションもバボン王国から仕入れできます。」
皇帝
「何?半額だと、ポーションで賞味期限なんて聞いたことないがなぜじゃ?」
商業ギルドマスター
「は、向こうの商業ギルドによるとすぐに使うなら、状態保存の魔術処理の工程と労力を省けば生産力が3倍になるらしく、今バボン王国と魔国付近に、オーク・ジャイアントが生まれた事態になっておりまして、大量にポーションを作っているらしく、横流しをしているのではないかと思います。」
宮廷魔道士
「陛下!賞味期限付きポーションなんて聞いたことないですよ。怪しいですよ。」
皇帝
「ギルドマスター?」
商業ギルドマスター
「はい、試作品を持って来ています。10本あります。」
実験は大成功であった。
皇帝
「品質もよい。
我が国のポーションよりも飲みやすいではないかな?
よし、城で製造しているポーションは備蓄にまわして、この格安ポーションで国軍を立て直すのだ!」
財務大臣
「経費削減にもなっております。
異議ありません。
それに、美味しいですな。コーラ味ですか、なかなか美味しい。」
当初の見積もりから安く回復するポーションの導入で、少しづつボコボコの帝国が復興していたが、皇帝は気が付かなかった。
コーラ味なんてこの世界にはなく、召喚勇者達はポーションビンに模様としてかかれたメッセージに気が付き、回復をはかって脱出計画を組み始めたことを。
安いポーションが、あまりに出回り過ぎて自国のポーション製造能力が強化されていない事を。
そして、ポーション代の為に軍事費が使われて、それがバボン王国に流れていることを。
ポーションを運ぶ為にやって来ている冒険者や商人の中にスパイがかなり紛れ混んでいることを。
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