第78話 とある人達(その2)


 つづきです。


 とある家。バブル時代失踪事件現場付近


 銭形警視正

 「すいません。警視庁のものですが。」


 ?

 「う!誰だ! なんの用だ!」


 銭形警視正

 「大戸さん、お久しぶりです。銭形です。」


 大戸

 「おお!銭形くん! 久しぶりだな!まぁ上がってくれ!」


 部下

 「銭形警視正、ここって…」


 銭形警視正

 「しばらく、黙って聞いていてください。

 あなたは優秀な方です。すぐにわかるでしょう。」


 ………………………


 大戸

 「あれから、もうかなり時間がたった。今日はどうした。」


 銭形警視正

 「はい、かなり時間だけが経ちました。

 私はタツヤさんや、ゆみさんを忘れたことはありません。

 警視庁に入り、やっと警視正になって何か手がかりがないか今も探す毎日です。」


 大戸

 「なんだって!君は、今も探していたのか。私も手は尽くして来たのだが…」


 銭形警視正

 「重蔵おじさん、事態が動いたようです。あれと同じ事が起こりました。」


 大戸 重蔵

 「まさか、高校生の教室ごと消えた事件か!」


 銭形警視正

 「はい、そして総理大臣からもこの事件を調べるように指令が出ています。」


 大戸 重蔵

 「君も知っての通り、息子は事件を引きずって欲しくなかったから突き放したのだが、それが原因で家から飛び出してしまうとは……」



 銭形警視正

 「みんな、なにも出来なかったのが悔しかったのですよ。」


 大戸 重蔵(総理大臣・父)

 「そう言って、くれるのは君ぐらいだ。妻はあれから病んでしまった。」


 銭形警視正

 「実は、おじさんあの頃ハム無線やってましたよね?

 そこにあの時に変な人の会話らしきものが録音されていたのを、警察にダビングしたテープを渡していたのを思い出しまして、まだマスターテープありますか?」


 大戸 重蔵(総理大臣・父)

 「あるよ。まさかあれを…」


 銭形警視正

 「今、科捜研と鑑識が来ましたね。

 すいません。タツヤさんの家跡を調べます。」


 大戸 重蔵(総理大臣・父)

 「わかった。調べてくれ。」


 銭形警視正

 「あの時、警視庁はあの時の音声を単なる妄言としか取り合いませんでした。

 しかし、私には人が喋る言語としか思えなかった。

 今は、京などスーパーコンピューターとAI(エーアイ)が発達しました。

 解析できるかもしれません。」


 大戸 重蔵(総理大臣・父)

 「それに、…あれはなんだ?」


 銭形警視正

 「やっぱり、魔法陣に見えますよね。

 しかし、あと当時と今は科学技術レベルが少し違います。

 総理からの要請で、徹底的に調べろとのことですのでやりますよ。」


 大戸 重蔵(総理大臣・父)

 「元妻には、私が…」


 銭形警視正

 「大丈夫ですよ、あと元ではなく今もですよ。

 離婚届はあの後すぐに破られてましたから。

 うちの親経由で、連絡がそろそろ入っている頃ですね。

 総理とも、ときどき会っていたみたいですよ。」


 大戸 重蔵(総理大臣・父)

 「銭形くん、あの時の資料を使えるなら使ってくれ!」


 プルルルルルル!プルルルルルル!


 電話がなる。


 そして、大戸さんは受話器を取り、少し話しているうちに、泣いていた。



 ……………………………


部下

「総理のお父さんだったのですね。」


銭形警視正

「当時、なにも出来なかった。本当に…」


部下

「ゆみさんって…」


銭形警視正

「総理のお姉さんですね。

 そして、お母様は某企業の創業者一族の孫娘でした。

 しかし事件の後、創業者一族も健康を害しました。

 そして、バブル崩壊で総理のお母様は一企業を背負うことになります。

 重蔵さんと総理とお母様は仲が悪くなりましてね、総理は家を飛び出しました。

 お母様の路頭に迷う社員を出したくない方針に重蔵さんは、精神的重荷になると判断して、ゆみさんやタツヤさんそして自分(重蔵)の事を忘れろって言って、離婚届を渡したのですよ。」


部下達

「「「………」」」


銭形警視正

「そのテープを、デジタルリマスターしてください。

 そして言語学者に呼んで解析をお願いします。」


部下

「この写真に写っているのって、銭形警視正ですよね?」


銭形警視正

「はい、こちらがタツヤさん。左の方がゆみさんです。」


部下

「バックのモビルスーツは、まさか!」


銭形警視正

「そうです。当時、等身大プラモを作ってました。生きていて欲しいのですが。」


部下

「今回は用さんですか。甥御(おいご)さんでしたね。」


銭形警視正

「あの子のことなのですが、死んだとは実感できません。

 案外、この事件起こしたヤツをパイブ棒で叩いているかも?

 なんて思ってしまうのは贅沢なのでしょうか?」


鑑識

「銭形警視正、土地にプラズマ放射の跡が発見されました。

 後、ここだけ地場が狂ってます。」


銭形警視正

「わかりました。

 総理に正式報告します。現場検証を進めて下さい。」

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