第74話 パイン街冒険者ギルト爆発


  第73話の続き


第2王子 ミルト・ラ・バボン

「その食パンは最近、マドラー街で新しく作られたものです。

 それを作ったのは、あの屋敷の主です。」


ドリズ

「確かに、柔らかくて美味しさも評判以上だ。

 だが、この食パンを始めた[ボス]と言われる職人は金髪の少女だったはず。」


 コンコン!


 その時、ギルマス室にノックが響く。


ミルト

「どうぞ、師匠」


ドリズ

「師匠?あれ商業ギルドのマスターがなぜここに?」


商業ギルドマスター ミイナ・ヴァーミリオン

「ドリズさん、お久しぶりです。

 ミルト、そんな大きな声出したら、外まで聞こえてますよ。」


ミルト

「師匠すいません。」


ミイナ

「部屋かえませんか?3人で話したい。」


ドリズ

「わかりました。サブマス室使いましょう。」


…………


 ミルト

「ヨウ・ヨウガとヨー・ヨーガが同一人物なのかの確認は、国宝ハイパーサーチを使いました。」


 ミイナ

「ヨー・ヨーガさんが、食パンの店をマドラー街商業ギルドに任せる時にギルドカードを作ったのですが、ギルド職員に性別欄の選択の時に男だと言っていたみたいです。

 その後、マドラー街の恥部たる領主の息子が、手篭めにしようとして誤って焼き殺したらしいと、現地のギルドマスターから報告を受けています。」


ドリズ

「なぜ、あの物件を売りつけたのだ?」


ミルト

「私も、聞きたい。」


ミイナ

「その職員は、すぐに逃げ出すだろうぐらいしか、考えてなかったみたいですね。

 そして、呪われてしまい行方不明でしたが治療院に運びこまれていました。」


ドリズ

「まて!それでは治療院ごと呪いがかかるぞ!」


ミイナ

「それが、治療院も黒いモヤが出た時気づいて部屋を封鎖したものの、遅かったみたいで職員1人ごと建物が呪われたのですが、1日経たないうちに呪いが消えたらしいのです。」


ドリズ・ミルト

「「へ?」」


ミイナ

「その確認のために、遅くなりました。」


ミルト

「それと、ヨウ・ヨウガは召喚された勇者の1人ではないかと、思われます。

 そして、ホロン王国の〔結婚拒否〕に狙われています。

(結婚拒否)にはバカ兄をあてるので、ハリツケにするにはいかないのです。


ドリズ「(結婚拒否)!!あいつが! 仕方ないね。

 だが、屋敷の主の怒りを静ます別の方法を考えないと。」


ミイナ

「うちのドバカ姉からの情報なのですが、なかなかの好青年みたいですね。

 ただ女性には、距離を置いている感じだったと。

 さらに、ドバカ姉が作ったスタミナポーションで辺境伯の方々が荒ぶっていて、失礼なことは何一つしていないのに簀巻きにされてしまい、部下になるように強要されていたみたいです。」


ドリズ

「あんたも、結婚目当て?」


ミルト

「!」


ドリズ

「鑑定の時、あんたも見させてもらった。」


ミルト

「あの、他言は…」


ドリズ

「わかった。

 だがゆみさん達には、この世界の人間は迷惑かけっぱなしだからな。

 協力してもらうぞ。」


ミルト

「解りました。

 王は、友好な関係を望んでいます。

 兄が(結婚拒否)とさっさと結婚してもらったら、私のこの役も終わりなので、ヨウ・ヨウガ様と結婚も許可が出るでしょう。

 本人の意思があればですが。」


ミイナ

「とりあえず、ヨウ・ヨウガさんを全面支援する姿勢を示して、関係性を深めるしかないな。」


ドリズ

「わかった。ギルドマスターの話は改めて受けましょう。」


ミルト

「ありがとうございます。」


ドリズ

「それにしても、一見男としか見えないな。」


ミルト

「ちゃんと、女性ですよ、ほら。」


 ミルトが上着を脱いで見せたり、女3人がウフフな話をしていた時である。


 バボン王都支部ギルドマスターナットが、ドアをノックもせずに「おい!ここにいたのか…」 


 「「「キャー」」」


 その時、少し胸元のアクセサリーを見せていた商業ギルドマスターのミイナがナットに向けて、ファイヤーアローをぶっ放した。


 ドシン!


 哀れ!火力加減はされていたので、死にはしなかったがナットは黒こげで、全治3日に前後2日間の記憶喪失と、パイン街冒険者ギルドの天井が吹っ飛んだ。


 ミルトはナットが部屋に入った時には、元通りの旅装に戻っていたので、ナットに見られてはおらずバレなかった。


 この日はのちに、あまり仲が良くなかったパイン街の冒険者ギルドと商業ギルドが手を結んだ記念日となった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る