第73話 パイン街冒険者ギルド爆発寸前

パイン街冒険者ギルドマスター室


ギルドマスター

「ひー!」

 ドサッ


 そこには、バボン王国第2王子に首をつかまれ締め上げられた、ギルドマスターのなれ果てがあった。


バボン王国第2王子 ミルト・ラ・バボン

「なぜ、冒険者を屋敷に襲撃させた!答えろ!」


 気を失っていて答えない。


冒険者ギルド・バボン王都支部長 ワシャ

「王都支部権限で、コイツはギルドマスター資格を凍結だ。

 サブマスター・ドリズさん、君が今日からパイン街冒険者ギルドマスターだ。」


ドリズ

「謹んで、お受けします。」


ミルト

「状況は先ほど話しのだが、何か改善策はあるか?」


ドリズ

「とりあえず、前ギルドマスターは王都に連行してください。

 そして屋敷に謝罪に向かいます。

 襲撃した冒険者は、ハリツケの刑で見えるようにしましょう。

 街が盗賊団化しているとの印象を持たれている可能性がかなり高いので、これは大事な事だと思います。

 あと同行した王家の職員さんも、ハリツケの刑です。」


ワシャ

「言ってなかったが、同行した王家職員とは、王太子様だ。」


ミルト

「すまないが、そういうことだ。」


ドリズ

「わかりました。ではギルドマスターを辞任します。失礼します。」

 あっさりと出ていこうとするドリズ。

 ミルトの側の護衛が剣を抜く。


ミルト

「やめなさい。

 ドリズさん、この役はどのギルドマスターにも出来ないのです。

 これは、王家からの正式な依頼と受け取ってもらって構いません。」


ドリズ

「先ほど、献策した以外の交渉の突破口は思いつきません。

 却下の時点でお役御免です。」


ワシャ

「そんなことを、言わんで聞いてくれ!

 まだしゃべってはいないが、もうこちらも交渉方法がないのだ。」


ミルト

「あなたが、前勇者パーティーの一員で、あの屋敷のメイドをやっていたユミ・オオトと仲が良かったのは、調べました。

 不幸な事故だときいてます。ですが…」


ドリズ

「嘘をまだ突き通すか!」


 「この!不届き者が!」


 ミルトの護衛がドリズに襲いかかるが、

 ボキ!メキ!…………………………ドサッ


 護衛5人は、うめき声すら出せず倒れる。


ワシャ

(ここまで強いなんて、聞いてないぞ)


ミルト

(そういえば、報告書に注意事項が書かれてましたね。

 さらにまずいことになった。)


ドリズ

「ゆみを、前王が手篭めに出来なくて、無理矢理呪いをかけてロクでもない前第2王子(今の王の弟)の別荘へ奴隷に無理矢理してから売り飛ばしたのを知らないとでも、思っているのですか?」


ミルト

「聞いています。

 しかし、呪いをかけたのは我々ではありません。信じください。」


ドリズが、また部屋を出ようとするとワシャが立ち塞がるが、一瞬で倒される。


ミルト

「ゆみさんの呪いの事ですが、あのバカ兄によると、全く気づかなかったほど会話が成立していたみたいです。

 前は会話しただけで呪われたと記録されてましたが、王太子は呪われてませんでした。

 呪い避けのマジックアイテムも新品そのものでしたから、呪いに変化があったと思います。」


ドリズが、第2王子に振り返る。


ミルト

「今、皇太后達が前王を取り調べてますが、あれほどの呪いをかけられる物は宝物にもありませんでした。

 前王は奴隷としてこの国に来た時には、すでに呪われていたと。」


ミルト

「実は、あのバカ王太子は影の小隊を屋敷に送り込んでます。

 このギルドにも記録が残してあるはずですが、あの元前第2王子と2人の側近がゴーストからリッチになりかけて、影の小隊を送り込み、教会のものが結界を張って封じ込めました。

 戦力的には互角の武力があるもの達が、全く帰って来ていません。」


ドリズ

「あの時は、私も見ていたがあの影小隊が帰って来ていない?」


ミルト

「はい、今屋敷内部がどうなっているか、今の所有者が、どんな人間なのかの情報が不足してます。

 そして、屋敷の主はモンスターの大軍を退け、SS級のダンジョンを攻略しています。

 王家としても、目が離せません。」


ドリズの目が細まる。


ミルト

「そ、それと、これ!持って来てください。」


側付きの侍女がギルマス室の扉を開けて、何かを運んでくる。


お盆の上に食パンがあった。


ミルト

「食べてみてください。

 毒などは鑑定すればわかりますが、何も入っていません。」


ドリズの目が白く光る。鑑定スキルを使ったのである。


食べた!「これは !」

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