第23話 ホロン王国ペルト街防衛隊の悲劇2

迫りくるモンスター・恐竜軍団。


 その数およそ30万。


 ゴブリンジャイアント付き。


 ホロン王国の会議は荒れた。


 宮廷魔術師軍団総長の魔力により、使い魔から送られてくる、その映像は会議の出席者達を絶句させた。


 しかし、その沈黙を破る者があらわれる。


 近衛第2部隊代理隊長ルンバである。


 「陛下、発言をお許し下さい。」


 「うむ。」

 

 


 「王都から撃ってでて、領都前の街道を開放して、ペルト街近くのこの平原で陣を組みましょう。」


  近衛第3部隊隊長カルキが挙手する。


 「カルキ、かまわぬ。」


 「ハ! ルンバどのの案では平原で迎え撃つつもりだが、ゴブリンジャイアントはどう対処する。無駄な抵抗としか映らんぞ。」


 ルンバが挙手する。


 「うむ。」


 「まず、ここまで戦線を上げます。

 そしてその間にここに橋をかけます。

 ゴブリンジャイアントがくれば、魔術師部隊一個師団がここから遠距離魔法のモンスターヘイトをかけこちらにおびき寄せ、ゴブリンジャイアントが橋を渡る時に、別働隊の大魔導師団第3隊の必殺の集団攻撃魔法エクスプロージョンで橋を爆破! 

 ゴブリンジャイアントを谷に落とします。その後総攻撃をかけます。」


 オオ〜! ガヤガヤ ガヤガヤ 


 カルキが手を上げる。場が静まり返る。


 「うむ。」


 「誰がその役をやるのだ? 口で言うのは簡単だが、はっきりいうとキツイぞ。」


 ルンバが手を上げる。


 陛下がうなずく。


 「第1はここ王都の防衛の要です。

 第3と全諸侯は、勇者召喚をしたというブリードル帝国に対して防衛戦線を作らないといけません。

 もう国境には帝国の兵が集結しています。

 いつ動くかわかりません。

 行くとすれば我ら第2でしょう。

 ちょうど最近我が隊は新参者達だけの部隊が3万います。数だけではなんとかなります。」



国王「もはやこれしかないか。よしルンバよ頼むぞ。」

 

 「ハ!」


国王「死ぬなよ。」


 悲壮な会議は終わる。



 ………………………………………………


 ペルト街の攻防は激しさを増していた。


 食料はある。だが疲労も貯まる。そしてゲースがこちらに向かってきているらしい。たった100騎でどうするつもりか?


 だがゴブリンジャイアントが座りこんだのがのが確認された。


 朗報だ。あれが来ないだけでもまだ希望がある。


 そこに王都から防衛隊隊長には懐かしい鳩がやってきた。


 近衛第2隊専用の鳩だ。そして簡単な地図に描かれた布陣を見て何をしようとしているのかをわかった。


 谷にゴブリンジャイアントを落とすつもりだ。


 それしかない。だが緑の巨人との戦闘を見ると谷を飛び越えるくらいできるだろう。


 防衛隊隊長の苦悩は続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る