第8話 ブリードル帝国の誤算(フロン視点)

 被召喚者達を各部屋に移動させ、見張りのメイドをつかせたあと。

 フロン王女は執務室へ入りソファーに座る。


 メイドが紅茶を煎れる。

 いい香りだ。

 しかし、鑑定書を見ていくうちに、眉間に深いシワがよっていく。


 帆山 之


職業   変態

クラス  盗賊

レベル  1


HP 30

MP 30

スキル  呼吸 覗く 貨幣探知 


称号   勇者になるかもっポイ



 杉谷 太一


職業   勇者

クラス  剣士

レベル  1


HP 35

MP 35

スキル  呼吸 剣の使い方 

     光魔法っポイもの


称号   勇者っポイ




 旧田丸 則子?


職業   聖女っポイ

クラス  自称女優

レベル  1


HP 32

MP 50

スキル  呼吸 癒やしっポイもの 

     デトックス 

     毒物及び劇物耐性 

     カロリーリミット


称号   聖女になれるかも


 なんだコレは?

 過去の被召喚者記録を見ても、こんな表示はなかった。

 初めてのパターンだ。

 杉谷?にしてもおかしい。

 これまでのパターンでは勇者はクラスとして表示される。

 だが、職業って?

 初めてのケースである。


 特に称号がおかしい。

 みんな勇者・聖女・賢者・剣聖・大魔導・聖騎士の文字が入っている。

[っポイ]ってなんだ!

 時々城下でばらまかれる、怪奇文書新聞記事並の表現だ。

 なれるかも?


??


 どう評価すればいい?


 だいたいこの世界ではレベル1で、全ステータス平均値は10である。

 だが過去の被召喚者は平均値は100だ。

 明らかに低いのだが、この世界基準では高い方である。

 

 微妙だ。


 これは父上(皇帝)に相談するしかない。

 あの執務室に行くのは気が重いのだが、仕方がない。行くか。



皇帝の執務室


ブリードル皇帝

「なんだコレは?」


フロン王女

「はい、明らかにこれまでのパターンとは違います。

 称号に勇者など、無視できないものが多すぎます。

 どうしましょう。」


ブリードル皇帝

「っポイとはなんだ! 

 かもしれないとは、いったい!何なのだ!」


フロン王女

「これでは選別する訳にはいきません。

 全員勇者パーティの訓練を受けさせるしかありません。」


ブリードル皇帝

「ハァ~、仕方ないか。

 こうなったら、全員勇者の訓練を受けさせろ。

 それで、行方不明の1人は?」


フロン王女

「はい容貌書きができ次第、冒険者ギルドに捜索を手配します。」


ブリードル皇帝

「よろしい。」


フロン王女

「では失礼します。」


 退室するフロン王女はため息を吐く。

 頭が痛いことだらけだ。 


    

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