どんな感じ?

「死ぬって、どんな感じなんだろうね」


やれやれ、いつもの面倒な綾の問答が始まったと思った。

たまに綾はこうやって死をちらつかせる。

しかし、鬱陶しくはない。


だって……


「きゃっ!咲ちゃん、何すんの!」


私は綾を抱きしめて、その唇に軽くキスをした。


「死んだらこうやってキスできないけど、いいの?」


顔を真っ赤にしながら、彼女は俯いて小声で

「嫌です」

と答えた。


俯いている頭を抱きしめて、撫でる。


面倒な質問があった時はこうやるにかぎる。


「バカかわいいよね、綾って」


憎まれ口を叩きながら、次にこの質問が来るのはいつなのかと考えていた。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る