第6話



「…七宝

寝た?」


「いや寝てない。

何?

枕かわると眠れない奴?」


「いや…


何だか眠れない。

あんなん初めて見た。

七宝、

何で落ち着いてたん?

初めてやない?」


恐怖が追いかけてくる.

ねっとりと

ねばっこく.

覆い被さって支配されそうになる.

長い長ーい恐怖という舌に

ぐるぐる巻きになって身動きできなくなる。


「…いや…

何度か目よ。」


「何で何度も目にしてん…」

の…?…?

「あぁ

多分スカウト??

最近やたら見せつけられる。

否が応でも、

押っ始める。

だから、

観察してる。

手段とか流れとか手口とか.

手は出して来ないの知ってたよ。

青海波にも分からせたかったんよ。


定期とか…

どーだっていいんに,

お前,律儀に見せるんやもん.

あいつら関係ねーよ.

バス会社ちゃうし.

そっくりに疑似ったパチもん.」


「…お前…

ふざけんなよ!

何でだよ!

態とだったんやな!?

お前もグルじゃないかよっ!」


「肌で感じねぇと分かんねぇだろ!

あの惨劇ぶち当たって何か思わなかったか!?

あれ目の当たりにして呑気に、

どこにするーとか考えられるのか…

あれが果てしなく続くんだ。

地方の方が、

まだ生きやすいよ。

だからさ…

一緒に戻ろう。」


「お前は戻ればいいやん。

待ってる人がいるし、

帰るところがあるんやから。

…皆が皆そうじゃねぇんやわ。」


「だからっ!!!

それも知った上で、

一緒に行こうっち言ってんだろうがよっ!!!

っこんの分からず屋!!!

馬鹿がっ。」


「馬鹿っち言うなよ!」


「突っ込む所そこじゃねぇだろ!

いつも馬鹿馬鹿言うの、

お前やろうがよっ。」


「俺は良いんだよっ!」


「何でお前が良くて、

俺が駄目なんだ!

ふざけやがって!」


何で、寝る前に

こんなおかしなテンションで

言い合ってんだろ…

これ、あれや。

ただの八つ当たりや。

正直怖かった。

やから、七宝のせいに全部してしまいたい。


「…

分かった七宝。

お前が言いたい事も分かる。

とりあえず…

俺を寝かせたげて…」


「…うん、それもそうだ。

お休み…

今日一日大変だったな。」


あぁ…

マジで嘘みてぇな一日だった…


「お休み…」


あぁ…

何か寝た気がせん.

うあ…

ここ,どこだ?


「起きた?」


「あぁ,七宝…

どうやって学校来たんやっけ…」


「お前,昨日,

泊まったやん.」


「あぁ,そっか.

泊まったんやわ.

ありがと.

おはよ.」


「おはよ.

今更?

いいけど.



あぁ…

あのさ、青海波、

家…

俺降りてから、

2つ先のバス停っち言ってたやろ?」


「うん。

よく覚えてんね。

家探し、乗り遅れたんだよ。

あんなに出だし皆はえぇのな。

こっちの家賃っち

おかしいのな…

バカたけぇわ。」


「っ一緒住まねぇ?

大学近くなるし、

家賃半分でいいし。」


「ほー。

何それ、最高かよ。

裏あり?」


「ねぇよ。

いや、あるか。」


「…どっちなんよ

サムいな。」


「ねーけん!」


「あぁ…

でも散らかすし、

いびきかくかもしれんし、

彼女来れんくならねぇ?」


「…はぁ。

まだ、そんな事言ってやがる…

まぁいいや。

お前だったら丸っと許せるっ

以上!」


どうしよっか…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

正銘証明 食連星 @kakumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る