第2話 魔力元素についての考察
知ってのとおり、魔術や奇跡は空気中にある
この
このように
なぜなら万物に干渉し、森羅万象に変化をもたらすことのできる物質――
例えば死者を蘇生させるなどの自然の理に逆らう大がかりな魔術を行う場合に対象の死体に
だが、魔術師の
例えば死体の腐敗が止まる。蠢く死体として蘇る、いや動き出す。死体が爆散したり、灰と化すこともある。最悪の場合、死体が消滅することもある。
だが、
例えばコップ一杯分の水を浄化するのは魔術師にとっては朝飯前だろうが、海全体を浄化するには、それこそ術者の身近に大量の
しかし、この
この白い塊は魔術を扱えるものにとって、願えば、ほぼ全ての願いが叶う願望機といえた。土塊を砂金に変えれる者がいれば、一生涯、生活に困ることはあるまい。幾らでも金塊が生み出せれるようになるのだから。
魔術師達から、ここまでの報告を聞いたチアノは素晴らしい発見だと思った。だが、この固体化された
それは、この白い塊に、直接、触れた者は肉体を取り込まれ、やがて消化されるようなのだ。何故、この様な現象がおきるのか?
この世には、悪魔、魔物、亜神など、この世ならざる者どもが数多くいる。その大半は異界の生物だ。
異界の生物は住む次元、根源とする力、この世界と物理的法則や構造が違う世界の生物などの理由で肉体の維持ができず、この世に具現化できない。
では異界の生物を、この世界に定着させるにはどうした良いのか。まず、彼らに対して、この世界に生ける者の肉体を提供し、彼らが元いた世界の姿に戻るための土台とする。
異世界の生物は多量の
また、変換後も肉体が現地に適応しないようであれば適応させるため、常に幾らかの魔力元素マナが必要になる。
見方を変えれば異世界の生物共は
魔術師達が部屋に残された日記を解読したところ、この廃屋の主は異世界の生物を召喚し、未熟な状態の彼らを一つに合成し、自我、意志、知覚など魂といえるもの全てを対消滅させ、残ったものも何らかの精神的摩耗により消滅させることにより、悪意を失った大いなるものを創造しようとした。
彼が神々が集う
しかし、悪魔を純粋化させたからといって対義にある天使は誕生しなかった。悪魔から根源たる悪意という意志を無くし、虚無的な存在に純化させると、悪魔を悪魔たらしめる存在意義がなくなり、同一性が失われ純粋なエネルギー体と化し白い不定形生物として暴走する。台座と結界は虚無的不定形生物に対する封印だった。
この不定形生物は
勿論、人間も魔術で傷つき、奇跡で傷を癒される。
もはや少女の救出は絶望的だろう。今回ばかりは
魔術師達から報告を受けてからチアノは待っていた。この事態に、唯一、対処できる人物を。
「まだ、来ないのかしら?」
(もう待てない。このままロープで強引に引っ張り上げてしまおう)
このままでは少女の命も危うい、
「傭兵隊長サラトゥス、お招きにあずかり参上いたしました!」
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