第18話 野村医療研究所3


「ところで、早紀の診察はどうしましょうか…」


 美雪の発言で、皆、診察途中だったことに気が付いた。早紀は、さっきから恥ずかしい格好のままで放置されていたのだ。


 改めて、美雪が早紀を透視した。


 結果、スミレと全く同じ体の構造。違うのは、妊娠していないというだけ。

 おそらく、精子は無いだろうということになった。が、精嚢せいのうのような器官がある。精液の様なモノは出るはず。

 その中に本当に精子が含まれていないか、念のため、調べてみた方が…との亜希子の意見。早速検査することになった。


 とはいうものの、出るはずだから出せと言われても、早紀も大いに困る。早紀は今まで、男女の付き合いどころか、自慰行為もしたことが無いという…。


 「男と女、二つの器官があるなら、二つとも試せばよい。両方できてお得だ」などというお気楽な主張は、片方しかない者が考え付くこと。

 思いがけず両方を持ってしまい、自分は女なのだろうか、男なのだろうかと思い悩んでいる者にとっては、どちらを試すのも怖いのだ。


「あ、あの…。私は出したことがありますよ。絶頂に達した時に、男性のみたいに噴きだすんです」


 と、スミレが恥ずかしそうに言う。

 彼女も、自慰行為はしたこと無かった。だが、彼女には、両方を試させてくれるパートナーがいたから分かること。

 その「男性みたいに」という彼女の比較対象は、総司。早紀は既に診察台から降りているが、総司はまだ部屋の外に出されたまま忘れられていた…。


 経験者のスミレの分泌液を採取してという意見も出たが、妊婦にそんなことをさせるのは気が引ける。

 それに、問題はスミレでは無く、早紀の方だ。スミレの方を調べても完全に早紀も同じとは断定出来ない。ここは、やはり早紀の分泌液を調べるしかない。


 ということで、次に皆の視線を集めたのは、舞衣。


「ここは、一つ、正妻様のお力で、早紀さんのアレから分泌液を採取してもらって…」


 慎也の言葉に、舞衣が目をく。


「だ、だから!私にはレズの気はありませんってば!」


 当の本人、早紀も訴えた。


「私も女同士って抵抗あります! してもらうなら、旦那様にしてもらいたい!」


 この発言を受け、当然ながら、次の視線が集中したのは慎也だった。


「仕方ないよね…」


 慎也は項垂うなだれた。



 慎也と早紀は、別室に移動した。

 まだ慎也は、早紀とは体を合わせたことが無い。そんな早紀から、分泌液を採取せよという不埒ふらちな指令だ。


 早紀は既に全裸になって、ベッドに横たわっている。

 性交しようというのでは無い。皆が部屋の外で待っているし、その中には、早紀の父親も含まれるのだ。こんな状況で性交なんか出来たもんではない。

 分泌液のみ採取すればよいのだが、何故なぜか早紀は全裸になっている。

 なのに、自分は服を着たままというのは、恥ずかし気にしている早紀に対して申し訳ない気がして、慎也も服を脱いだ。

 「性交はしないよ」と、予め、早紀に告げた上で…。


 慎也は、横たわっている早紀におおいかぶさり、ゆっくり唇を合わせる。

 舌を入れると早紀も入れ返してくる。

 恒例の「愛の宣言」も終えた。


 早紀の豊かな胸をむ。早紀は顔を真っ赤にしてもだえる。

 早紀の股間のモノはアッという間に、大きく立派にそそり立った。

 慎也のモノも、同じく大きくなっているが、比べると、早紀の方が…。

 少し、いや、明らかに、大きい…。


 これは、男として、ちょっとというか、かなり、くやしい事態だ。そして男同士でからみ合っているような、何とも倒錯した気分になってくる。

 口にくわえて、刺激すれば良いのかなと、慎也は思った。が、やめた。分泌液を採取しなければならないのだから、勃起状態の早紀のモノにゴムをかぶせる。


 行うは、彼の必殺技だ。人差し指を早紀の秘穴へ……。


「ひい~、慎也さん! も、もしかしてこれ…。うわさのフィンガーアタック……」


「ごめんよ。これが手っ取り早いから…」


 慎也は、指をゆっくりと動かす。


「ひい~!ひどいです。私、処女なのに!」


 処女というが、特に痛がるでも無いし、出血も無い。これは、特殊な体の為か…。


「あ……。うあ……。だ、ダメ……。こ、これ、すごすぎる! う、うそ、うそ、うそ!ダメ~!!」


 早紀の絶叫!

 と同時に、ビュッ、ビュビュビューッ!!

 ゴムが弾け飛ばんばかりの勢いで、早紀のモノから透明な液体が噴出した。

 かなりの量で、あふれ出てしまいそうになり、慎也はあわてて指を抜き、ゴムの方を抑えた。

 すぐ早紀からゴムを取り外す。そして、それに大量に溜まった黄色味がかった透明の液体を、扉を少しだけ開けて隙間から外へ、ゴムのまま差し出した。


 外からは、亜希子がそれを受けとる。


「うわ、すごい量!」


 皆、それを見て一様に驚いた。男性が一度に出す量よりも、はるかに多い。


 亜希子はすぐに、その分泌液の検査にかかった。

 慎也はベッドに戻り、体を痙攣けいれんさせている早紀の、立派なモノを拭いてやった。


「慎也さんのバカ~! 指だけでイカせるなんてひどすぎます!私、初体験だったのに…」


「いやいや、早紀ちゃん。これをカウントしちゃダメ。早紀ちゃんの初体験は、まだだよ。その日を楽しみにしててね」


 不満顔でにらみつけている早紀の頭をでながら、慎也は優しく言った。

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