第10話 嘘はない
初デートを終えた日の次の日。から
僕は彼女と一緒に登下校をし始めた。
それに合わせて周囲の人間も僕らの関係に気づく。
からかう者もいれば、興味もない様子の者、妬む者。
反応は様々であったが、そんな中でも嫌がらせがなかったのは本当に良かったことだった。
元より隠すつもりもなかったし、逆にそう思ってもらった方が彼女と一緒にいられる時間が増やせるので文句はなかった。
とはいえ、学校での生活は特には変わらなかった。(空気を読んで変わらないように努めたからだ。)
変化をしいて言うなら、彼女が僕のために毎日弁当を作ってくれるようになったことぐらいだ。
当然、彼女にだけ作らせるのもアレなので、たまには僕が作って彼女に渡した。
互いに決して上手ではなかったが幸せだった。
でも、そんな幸せな日々において、どうしても頭の隅で考えてしまうことがあった。それは
『数』である。
―――彼女が死ぬ日とその時間まで僕は聞いた。
そのX日までの日数をどうしても考えてしまう。
あと何回、彼女の手料理が食べられるのか?
そういったことをどうしても考えてしまう。
表には出さないが、どうしても雰囲気が出てしまうらしい。
その都度、彼女は明るく振る舞う。そして、その都度思う。
彼女を傷つけている。
彼氏彼女の関係とは、極論を言えば、互いを楽しませる関係である。
それが最大の目的であり、存在意義と言ってもいいのかもしれない。
それを、今、自分が出来ているのか?
そう考えると辛くなる。
楽しませようと努力するが、どうしても心が重くなり会話の流れが悪くなる。
でもここで、話の流れ的に唐突になってしまうが言わせてもらう。
僕は彼女が好きだ。
突然とハッキリと述べさせて貰ったが、これは紛れもない僕の本心である。
彼女の秘密を知って、なお、僕が思う純粋なる心である。
初デートの後、家に帰って彼女の話を整理して結論に至った『一つの答え』を持ってして、
僕は彼女が好きだ。
期限のある、避けれない時間までの間、僕は彼女を楽しませたいと思っている。
その気持ちに嘘はない。
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